そこまで必要ある? ウーバーイーツの運営が配達員に求めるさまざまな認証システム【チャリンコ爆走配達日誌】
顔認証はけっこうな頻度で求められます
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第105回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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ウーバーイーツユニオンの執行委員長をしていると、さまざまなメディアの記者の方からコメントを求められることがあります。
私も本業のライターとしてコメント取材をすることはありますし、取材を断られた時の「次の候補者探し」の大変さも知っています。なので、直接電話がかかってきたり、ウーバーイーツユニオンのホームページを通して依頼のあったコメント取材に関しては、答えられる範囲でコメントをしようと心がけています。
その中で最近「フードデリバリー配達員のアカウントが売買されていますが、渡辺さんの身の回りでもそのようなことはありますか? また、アカウントの売買についてどうお考えですか?」というものがありました。
「心当たりがないのにアカウントを停止された」という相談はくるのですが「アカウントを思ったほどの高額で売れなかった」との相談を受けたことはないので「ご期待に応えられなくてすみません。身の回りにアカウントを売るようなことをする人はいません」と話した後「ウーバーイーツは、アプリを立ち上げた際や配達の途中で面倒な認証作業をすることがあるので、アカウントを売買しても売る側、買う側、共にメリットはないと思います」と答えました。
さて、前置きが長くなりましたが、今回は配達員用アプリの認証の話です。認証と言えば以前「ウーバーイーツ配達でたまに現れる『暗証番号』案件はいったい誰得なのか?」で、注文者に暗証番号を聞くケースがたまにあることを書きましたが、これ以外にもウーバーイーツには認証システムがいろいろあります。
まず、配達前や配達中に突然現れる「顔認証システム」。こちらの画面が表示されたら、顔写真を送信して認証されなければ配達を行なうことができなくなります。認証はスマホの画面の枠に輪郭や目の位置を合わせて撮影するだけで終了しますが、この顔認証がけっこうな頻度で出現するため、ウーバーイーツはアカウントの売買を防げているように思います。
ですが、この顔認識のシステムがどのような基準で本人判定をしているかわからず、ある日突然認証に失敗して、アカウントが停止される配達員がちらほらいます。システムのバグによるアカウント停止は配達員の生活に支障をきたすので、銀行のモバイルバンキングぐらいの顔認証精度で作っていただきたいです。
また、料理を受け取った時にたまに出るのが「QRコード認証」。これは店から渡された商品の入った袋に貼り付けられた伝票のQRコードをスマホのカメラで読み込むという認証システム。
運営は「商品の入れ忘れなどを防ぐシステム」と説明しているのですが、不透明な封をされた紙袋の上に貼り付けられた伝票のQRコードを配達員が読み取ると、入れ忘れを防げるというのはどんな理屈なのか。これまで100回近くQRコードを読み込んでいますが、私はいまだに意味を理解していません。
そして、スーパーマーケットの店内で指示された商品を配達員がピックアップして配達するピック・パック・ペイで登場するのは「バーコード認証」。指示された商品と配達員が見つけたものが合っているかを確認するためのシステムで、生鮮食品などの間違えてしまいがちの商品が対象となっています。
間違えやすい商品に認証システムを導入することに異論はないのですが、生鮮食品は物価の変動で1パックあたりの量を減らしたものを販売することが多々あります。そのため、例えば、豚肉コマ切れ200gが売り切れていて、100gのパックをふたつ購入しようとしたら100gのパックのバーコードは配達員アプリに登録されておらず「このバーコードの登録はありません」というエラー表示が出るなんてことがけっこうあります。
アカウントの売買など不正を行なう人がいるので、認証システムの導入に異論はないのですが、意味のわからない認証や精度の悪い認証は配達時間の遅延につながるので改善していただきたいものです。
文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明
記事提供元:週プレNEWS
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