【ピエール瀧の「萌え萌やしソバ探訪録」】3杯目「もやしソバにひき肉バージョンが初登場!しかし、そこには深い意味が」
今回は東京・神田神保町「神田餃子屋」に来たピエール瀧
町中華で"孤高の存在"と呼ばれている(らしい)、瀧さんの好きなもやしソバ。王貞治さんが通う店、専門店に続き、今回は餃子が人気の店に。どんな出会いがあるのか......。
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――この連載も3回目となりました。今回は東京都千代田区神田神保町にある「神田餃子屋」に伺います。
ピエール瀧(以下、瀧) 神保町は基本、古本屋さんの街だよね。「三省堂書店」という大きな本屋さんもあるけど、今は建て替え中だね。実は以前、昼に三省堂近くの「蘭州牛肉拉麺」に入ったことがあってさ。で、蘭州牛肉拉麺に辛いやつとかパクチーとか入ってるじゃん。汁をすすったら辛パクチーでむせちゃって、せきを勢いよくしたらギックリ腰になっちゃったんだよ。仕方ないから、腰に負担がかからないようにそっと食べて、そっと店から出ていった苦い思い出がある。
――それは、もやしソバを食べなかったバチが当たったんじゃないですか。
瀧 なんでだよ。もやしソバにそんな力ないでしょ? 怖ぇよ。
――食べ物の恨みは恐ろしいっていいますからね。
瀧 意味が全然違うじゃん。村上さん、本当に編集の人?
――あ、お店はこの路地を入った所ですね。
瀧 ごまかすなよ。でも、いい感じの細い裏路地を入った所だ。近くで働いているビジネスマンや学生さんたちがよく来るのかな。
――瀧さん、ここです。
瀧 店構えは、非常に町中華っぽいたたずまい。入ってみましょう。
――おじゃましますー!
瀧 お、すごいね。壁に作りつけの服をかけるハンガーのパイプがすげーしっかりしている。こういうところからも、ビジネスマンが多く来るっていうのがわかるね。だって、みんなこのパイプにジャケットや冬場はコートをかけるんでしょ。たくさんかけても壊れないように丈夫にできてる。
――細かい気遣いがいいですね。
瀧 メニューを拝見。店名が「神田餃子屋」だから、餃子を頼まないわけにはいかないよね。オススメは黒豚餃子か。で、普通のラーメンが660円(税別)で、その上の価格帯に800円のもやしソバとタンメンがある。
――もやしソバのライバルがタンメンってことなんでしょうね。
瀧 タンメンを頼むときってさ、健康に気を使ってるときでしょ。「野菜をちゃんと食べてるよ」って自分に言い聞かせるみたいな。でも、もやしソバはそれに該当しない。やっぱり、もやし単体のシャキシャキ感を味わいたいわけだから。孤高なのよ(笑)。
――よく「もやしは栄養がない」って聞きますけど、もやしって豆ですよね。豆って栄養があって健康にいい気もするんですが。
瀧 そうなんだよ。ここで「もやしは健康にいいのか」という問題も出てくるわけ。で、これに関しては、今はあえてつまびらかにしないということでいいんじゃないかな。栄養価のこと気にして食事するのとかしんどいから。
――じゃあ、取りあえず黒豚餃子ともやしソバを頼みますね。
瀧 この店は夜は仕事が終わった人たちが餃子とビールを頼んで、シメにラーメン食べる感じなのかもね。なんか楽しそうだなあ。
――あ、餃子が来ましたよ。
瀧 おお。この餃子、けっこうデカくない? 6個入ってるけど、小柄な女子だったら3個とライスでおなかがいっぱいになるくらいのサイズだよ。皮もしっかりしてる。中身のあんは肉汁が非常に多いね。これはもう飲み物だよ。
オススメの黒豚餃子は大きめサイズで肉汁多し
――もやしソバも来ました!
瀧 ほほう。具がいろいろ入ってる。もやし、ニンジン、タマネギ、キクラゲ、タケノコ、そして肉はひき肉だ。ひき肉初登場。
「もやしそば」(800円)
――具材の種類が多いですね。
瀧 それをあんがうまくまとめている。麺は平打ち麺かな。スープは非常にあっさりしている醤油味ね。でも、そこに炒めた具の香ばしさが足されて残っている。それに具が多いから、食べるたびにいろんな味が楽しめるな。
――前の2店の具は、もやしと豚肉のみでしたからね。
瀧 前回は専門店だったから、食べるときにちょっと構えちゃってたけど、今回はいわゆる町中華だから気楽に向き合える感じ。
――タマネギが入っていると、また違った感じがしますね。
瀧 そうなんだよ。もやしソバってシャキシャキ感を楽しむ感じがあるじゃん。でも、食べているうちにもやしに熱が通っちゃって、後半はそのシャキシャキ感が薄れるんだよ。でも、タマネギが入っていると、後半もそのシャキシャキ感がタマネギによって持続するの。先発投手もやし、抑え投手タマネギっていう感じ。
瀧いわく「先発投手もやし、抑え投手タマネギっていう感じ」
――ちゃんとシャキシャキの継投ができてるんですね。
瀧 それから、肉がひき肉っていうのもいいよね。後半になると残ってるひき肉のエキスでスープがうまくなる。で、最後は丼の底にひき肉がたまるから、それをすくって食べるんだけど、これがまた味わい深い。最初、あっさりとか言ってたけど、その後から何回も味が変わってくるわ。
――ひき肉、恐るべしですね。
瀧 でね、なんでひき肉がこんなにうまいんだろうって思ったら、ここは餃子屋さんなんだよ。
――あ、餃子のあんなんですね!
瀧 店の強みを生かしてるのかな。社長さんに聞いてみよう。
社長の森部賢さん(以下、森部) うちはもともと餃子とタンメンの店なんですよ。だから、肉は全部ひき肉でやってます。
瀧 こだわりのひき肉だ。ちなみに、もやしソバを頼む人は多いですか。
森部 いや、タンメンを頼む人のほうがやっぱり多いですね。
瀧 でしょうね(笑)。やっぱそうなりますよね。ありがとうございます。
「うちの肉は全部ひき肉です」という社長の森部さんと
――瀧さん、今、お昼時だからお客さんが表でいっぱい待ってますよ。われわれは出たほうがいいかもです。
瀧 そうね。あの中の何人がもやしソバを頼むかな? 見ていたい気もするけど、われわれは次の店を目指そう!
――はい。次回も楽しみですね!
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■神田餃子屋
東京都千代田区神田神保町1-4
03‐3292‐5965
※営業日時、メニュー、価格などは変更になる場合があります
※この連載は隔号で掲載予定です
■ピエール瀧(ぴえーる・たき)
1967年生まれ、静岡県出身。ミュージシャン、俳優、声優、タレント。
「無駄こそ宝なり」が信条。好物はもやしソバ。
公式Instagram【@pierre_taki】
構成/TAKA-HO
記事提供元:週プレNEWS
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