漫画家・小田原ドラゴンが語る「桜の木」【連載第13回】
小田原ドラゴン(おだわら・どらごん) 1970年、兵庫県生まれ。『僕はスノーボードに行きたいのか?』でヤンマガ月間新人漫画賞奨励賞を受賞。『コギャル寿司』で第47回文藝春秋漫画賞受賞。代表作に『おやすみなさい。』、ドラマ化された『チェリーナイツ』『3本足のちょんぴー』など。最新作に『今夜は車内でおやすみなさい。』
24年9月から週プレNEWS(集英社)でスタートした小田原ドラゴン渾身の新作漫画『堀田エボリューション』。果たして小田原ドラゴンという奇才はどんな道のりを経て、本作品にたどり着いたのか。ジックリ語っていきます。
連載第13回は「桜の木」ついてのお話です。
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僕は『(隔週誌のヤングマガジン)アッパーズ(講談社)』で連載していた『コギャル寿司』で文藝春秋漫画賞を受賞しました。
しかし、当時の僕は『コギャル寿司』の内容にまったく納得していませんでした。
第47回文藝春秋漫画賞受賞作『コギャル寿司』(講談社)
理由はハッキリしています。ほんの少し前まで素人だった僕に漫画の仕事が次から次へと舞い込んできたからです。
実は当初、ヤンマガ独占というか専属契約を結んでいたんですが、担当編集者から「単発やイラストならいいんじゃない?」みたいに言われていたので、けっこういろんな媒体で描いていたんです。漫画家とはそういうものなのかと思って。
ところが、気がついたら講談社だけで『おやすみなさい。』『コギャル寿司』『妄想トラッカー8823』の3本も同時連載していた(笑)。
隠れた名作『妄想トラッカー8823』(講談社)
原稿はギリギリまで粘っていましたが、やっぱり書き殴りみたいな感じになってしまって......すごくよくないんですけどね。
当然、作品の内容に納得できず、とても苦しかったんですが、もう仕事は止まらないし、賞までもらうし......。
ただ、『おやすみなさい。』に関して言うと、読者アンケートは本当に毎週最下位かビリ2みたいな感じだったんで、いつ連載を打ち切られてもおかしくないっていう状態でした。
元祖童貞漫画『おやすみなさい。』(講談社)
毎年、桜の咲く頃になると家の窓から隣の家の桜が見えるんですが、来年この桜を見る頃、今のこの仕事やってんのかなって思いながら描いていましたね。
しかし、僕の仕事はさらに忙しくなるのです......。
《つづく》
『堀田エボリューション』(©小田原ドラゴン/集英社)は毎月第2/第4土曜日に更新。現在、全話無料配信中
記事提供元:週プレNEWS
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