【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第37回 "神ゴール"連発! 得点にかける板倉の思い
板倉 滉が語るゴールへのこだわり
ボルシアMGや日本代表で、DFでありながら得点のにおいを感じさせてくれる男・板倉 滉。24-25シーズンのブンデスリーガでは、強豪・ドルトムント相手にスーパーゴールを決めている。優れた得点感覚の原点、秘めたる思いをここに明かす!
■ドルトムント戦で〝神ゴール〟を披露自分の本業はDFだけれど、攻撃は好きだ。点を取るのも、もちろん好きだ。4月のブンデスリーガ、所属先のボルシアMGではコンスタントに点が取れた。第28節ザンクトパウリ戦ではヘディングで、第30節ドルトムント戦では、最終ラインからドリブルで運んでゴールを決められた。
ドルトムント戦のゴールは、最初からゴールを狙おうとは思っていなかったけど、ドリブルしていくうちに、これはイケそうだと判断、突破していった。MF・シュテーガーとのワンツーで抜けたように見えるが、実は相手選手が触ったボールがうまく転がり、壁パスのようにして裏に抜けられた。
抜け出した後は、完全に相手GKの位置は把握できていた。だから意識していたのは、とにかくボールタッチが強くなりすぎないこと。細かく触ってシュートまで持ち込んだ。
ただ、この試合は僕のゴールで先制したものの、結果は2-3の逆転負け。やっぱり勝たなければ意味がない。打ち合いとなった第31節キール戦(3-4で惜敗)もそうだったけど、ビルドアップがなかなかうまくいかなかった。
そうやって押し込まれている場合、何か変化をつけないといけない、打開策を見いださなきゃいけないと考えながら、ボールを運んでいる。相手の動きを見て、わずかでもチャンスがあれば、すかさず前へ。僕は決して相手を抜き去るようなドリブルができるわけではないので、スキをついて運ぶドリブルをする。
相手にとっては、いきなりDFが運んでくるというのは予測しづらいだろうし、僕としても相手に向かって仕掛けることで2対1の有利な状況をつくれるわけだから、積極的に狙っている。
劣勢に立たされているとき、あるいはゲームの局面を変えなきゃいけないとき、ロスタイム間際の苦しい時間帯など、チームを鼓舞するためにも、自分が状況を変えるプレーをしようと思っている。それがチームから与えられた役割だからだ。
セオアネ監督からも、僕を含めてDFはフリーなら前に運べと指示されている。もちろん、DFなのでリスクを無視して勝負を仕掛けることはしない。あくまでも味方と相手の位置を見て、いけると思ったところで攻め入っていくのだ。
■得点感覚の原点はブラジルの〝皇帝〟過去にこの連載でも話したけど、少年時代は〝点取り屋〟だった。2005年、川崎フロンターレ アカデミーのジュニア第1期生の2次選考ではFWとして得点王にもなった。その頃は、ひたすら点を決めるためにサッカーをしていた感じだった。
憧れの存在は、当時ブラジル代表とFCバルセロナで活躍していたロナウジーニョ。もうひとり好きだったのが、〝皇帝〟と呼ばれたFW・アドリアーノだった。彼もまたブラジル代表のエースストライカーであり、インテル・ミラノで活躍。
相手をなぎ倒しながらのドリブル突破、左足から放たれる豪快なシュート、打点の高いヘディング。インテルで10番を背負う彼のレプリカユニフォームを着て小学校に通うほど夢中になった。
強烈なゴールシーンを思い出しながら、何度もそれをまねた記憶がある。もともと攻撃が好きな性格もあって、プレースタイルは前へ前へとアグレッシブだった。それが今でもうっすらと残っているのかもしれない。
シュート練習も割と好きなほうだ。心の中で「意外とやれるんだぞ、俺は」と思いながら打っている。ほかのDFと比べても、ゴールを決められる自信はあるし、もしFWをやったとしたら、それなりに点を取れる自信もある(笑)。
あくまで僕はDFで、ゴールに固執するわけではないけど、A代表では37試合に出場して、まだ2得点(25年5月時点)しか取れていない。本音を言えば、10ゴールまで到達したい。
以前からこの連載でも伝えているとおり、僕ら日本代表ではセットプレーの重要度が非常に高まっている。得点パターンのひとつとして、相当力を入れている。
実際、僕も北中米W杯アジア最終予選第6戦・中国戦(11月19日)では、前半ロスタイムにヘディングゴールを決めることができた。この試合の先制点もセットプレーからで、FW・(小川)航基が頭で決めた。
こういう場面で、きちんと決められる選手がどのくらいいるかどうかで、W杯本大会での勝率も全然違ってくると思う。対戦国から「セットプレーでのイタクラには気をつけろ、マークを絶対に外すな」と具体的に名前が出て警戒されるぐらい、大事な場面で点もしっかり取れるような選手を目指したい。
板倉 滉
構成・文/高橋史門 写真/アフロ
記事提供元:週プレNEWS
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