「あとはどれだけ自信を取り戻せるか」 最終日の松山英樹のプレーに見た明るい兆し【谷原秀人の目】
<全米オープン 最終日◇15日◇オークモントCC(ペンシルベニア州)◇7372ヤード・パー70>
ゴルファー世界No.1を決める戦いは第1ラウンドが終了した。5人が出場した日本勢で唯一の決勝ラウンド進出を果たし、「マスターズ」に続くメジャー2勝目を目指した松山英樹だったが、トータル12オーバー・42位タイという結果で4日間を終えた。その様子を、プロはどう見たのか? 大会を独占配信したU-NEXTで松山英樹の全ホールを見せる「松山英樹徹底マークチャンネル」の初日と最終日の解説をした谷原秀人に振り返ってもらった。
■ストロークは〇も…グリーン上のタッチで苦戦
トータルアンダーパーは、1アンダーで優勝したJ.J.スポーン(米国)ただひとり。4日間の平均スコアが『74.180』という過酷な戦いが幕を閉じた。松山は、4日間に換算すると、平均ストロークよりわずかにいいスコアの12オーバーという結果に終わったが、それでも最終日はオークモントCCで自身初のアンダーパーとなる「68」を記録し、一矢報いた。
「前半はショットがつかまり気味で、ここまでの3日間を象徴するようなプレーでしたが、アイアンは切れていました。パターが入っていれば、5アンダー、6アンダーが出ていてもおかしくない展開でした」
谷原は同じ東北福祉大出身の後輩の最終日のプレーを、そのような目で見届けた。各項目のスコアへの貢献度を表す指標で「ストロークゲインドアプローチ」は『+3.84』で3位、「ストロークゲインドショートゲーム」は『+1.24』の5位と小技でスコアメイクを続けた一方で、「ストロークゲインドパッティング」は『-0.38』の41位と、やや劣った。
松山自身もラウンドには「2日目以降のストロークはよかったが、距離感が…」ということを口にしていたが、谷原はその原因について、「最後のカップ際が読みづらいんです。球足が弱くなったところで、思った以上に切れるという場面もあったように見えました。切れる前に入れようと思って、強くなってしまったパットもあったのではないでしょうか」と解説する。
2016年に開催されたオークモントCCでの全米オープンに出場し、4日間を戦い切り51位という結果を残した谷原がつぶやいた、「こういうグリーンなんです」という言葉が、その難解さを伝えてくる。
■ショット面は上々「今後の試合が楽しみ」
一方で、ショット面については、「後半は特にフェアウェイをとらえてましたし、うまく対応できているように見えました。今後の試合が楽しみです」と話した。
フェアウェイヒット率は71.4%(10/14)。「77」と苦しんだ3日目の36%と比べても歴然だが、4日間で一番いい数値だった。それにともないパーオン率も77.7%(14/18)と、こちらも4日間で最高の数値。最終18番では、フェアウェイからの2打目をベタピンにつけてのバーディ締めと、まさに次につながるショットになった。
松山自身は「たまたま当たった感じ。これを信じていいのかどうかは、まだ分からない。またあしたから練習して、これが本当かどうか確かめながらやっていきたい」と“半信半疑”の様子だった。
谷原は、これを受け「プラスの部分ではある。あとは明日からの練習でどっちに向かっていくか。いい方向に進めばすぐに優勝争いにも顔を出すと思いますが、納得いかないとなると、また苦しいところをさまようことになる」と選手としての心情を明かす。そして、「楽観的に考えて、微調整くらいで済めばいいですね」ということを願った。
■すぐにビッグトーナメント…次なるメジャーは全英OP
8年前にこのコースで戦った記憶について谷原は、「苦しいプレーということしかない」と苦笑いを浮かべる。それほどの難関が舞台だった。「松山プロにゴルフを見ても分かるように、苦しい方向に進むと、とことん苦しくなる。見える景色が違うんです」という選手目線も明かした。
それでも、最終日の「68」、そして最後のベタピンショットをいい方向につなげて欲しいというのは、日本のゴルフファンの願いでもある。谷原も、「本人としても上位に行くきっかけをつかんだ最終日になったと思います。あとはどれだけ自信を取り戻せるか。今後の試合が期待できる最終日だったと思います」と、後輩へ期待の言葉を送る。
メジャーを終えても、すぐに19日(木)からシグネチャーイベント(格上げ大会)の「トラベラーズ選手権」(コネチカット州、TPCリバー・ハイランズ)が待っている。続くメジャーは7月17日開幕の「全英オープン」(北アイルランド、ロイヤル・ポートラッシュGC)。そこまでにしっかりと牙を研ぐ。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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