外国人観光客爆増の今、ウーバーイーツ配達員が届け先で見た驚きのホテル【チャリンコ爆走配達日誌】
外国人観光客をターゲットにした一風変わったホテルを最近見かけるようになりました
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第101回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
* * *
有名観光地に近いエリアに住んでいなくても「増えたなぁ」と実感するのが海外から日本へやってくる観光客の数。東京都内は特に多く、その影響でホテル代が高騰。宿泊サイトを見ると「あれ? コロナ前は1泊6000円、コロナの時なら3000円ほどだったのに、今は1万5000円もするの!?」なんてホテルもよく見かけます。
そんな現在、配達をしていてよく見かけるのが、コロナ前はほとんど見かけなかったスタイルのホテル。今回は配達で行ったことのある、一風変わったホテルを紹介します。
私が主に配達をしている東京の日本橋、銀座エリアでよく配達するのは、外国人観光客をメインターゲットにしているホテル。ホテルの看板や館内の注意書きなどに書かれている言葉は、英語→中国語→フランス語→韓国語の順に記され、最後に「フロントは2階です」みたいな日本語か書かれています。
ホテルでの商品の受け渡しはフロント前で行なうことが多いのですが、フロントのカウンターにいるのは外国の方。「お帰りなさいませ」「いらっしゃいませ」という日本語より先に「Welcome」という言葉をかけられます。
このようなタイプのホテルのフロントの方は日本語もペラペラなことが多いのですが、中にはそうではない方もいて、その場合はgoogle翻訳を使ってウーバーイーツの配達で来た旨を伝えてフロントのあるフロアで待機します。待機中、宿泊客がフロント前を行き来するのですが、日本語の会話が聞こえてくることはまずありません。
長時間配達を続けて、少し離れた場所まで流されると出てくるのが、ラブホテルを改装した一般観光客向けのホテル。
「海外からの観光客をターゲットにした方が儲かる」という目的で改装されているのか、道路に面した入口周りをリノベーションしているところは少なく、ラブホテル時代のまま、人目につかない感じでこっそり入りやすい構造となっています。なので、フロント周りもあまりいじらず、宿泊客がのんびりくつろぐロビーのようなものはないのでしょう。このタイプのホテルへ行った場合の商品の受け渡しは、大抵ホテルの前の路上になります。
ちなみに以前、F1日本グランプリで各チームは鈴鹿周辺のどのあたりに宿泊するのかをリサーチしていた時「とあるチームが地元のラブホテルを貸し切っていて、バスルームやバスタブが一般的な日本のホテルよりも大きいので、体の大きい海外の選手やスタッフから評判がいい」という記事を見たことがあるので、ラブホをリノベーションしたホテルは、予約サイトの英語版にバスルームの広さをアピールして宿泊客を呼び込んでいるのかもしれません。
夜も賑わう街で見るのは、見た目は完全に雑居ビルというホテル。高度経済成長時代に建てられた「どこをどうリノベーションしたらホテルにできるの?」と思う雑居ビルの入口に「HOTEL」と書かれていると正直驚きます。
配達先に近づくと自転車を停め、配達員用アプリに表示される配達先の場所を確認して届け先を特定するのですが「ホテルとは、こんな感じの建物」という固定概念があるため、見逃してしまいがちです。
雑居ビルパターンのホテルは、私が見た感じ、漫画喫茶や個室ビデオ、ネットルームなど、ひと晩過ごす簡易的な施設が以前に入居、そこから発展したようなパターンが多い気がします。日本人相手より海外の観光客の方をターゲットにした方が儲かるのでしょう。
こういった変わったホテルを宿泊予約サイトで検索すると、出てくる宿泊料金はどこも1万円以上で、空室カレンダーには×や△の表示がびっしり。ホテルの部屋数不足問題って本当に深刻なんですね。
文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明
記事提供元:週プレNEWS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。