自動車は「走るスマホ」? シャオミやファーウェイが続々『EV』に参入する理由

近年、Xiaomi(シャオミ)やHuawei(ファーウェイ)といった大手スマートフォンメーカーが相次いで電気自動車(EV)市場に参入する動きが加速しています。この背景には、自動車産業が「電動化」「知能化」へと大きく舵を切る中で、従来の参入障壁が低下し、ソフトウェア技術やユーザーエクスペリエンス(UX)設計といったスマホメーカーの得意分野がEV開発において重要性を増していることがあります。
いわば自動車が「走るスマホ」になりつつあると言えるかもしれません。スマホメーカーがEVに参入する動きについて、詳しく見ていきましょう。
【人+車+家】シャオミによる『EV』参入について

シャオミはAppleが長年開発しながらも断念(※2024年に撤退が全世界的に報じられた)したEVを、短期間で開発・発売まで実現し、大きな注目を集めています。
シャオミはIoT技術を活用し、車をスマートホームやウェアラブルデバイスと連携させ「人+車+家(Human x Car x Home)」という視点に基づいたエコシステムを構築。最初のモデルである「SU7」は、2024年3月末の発売から中国国内で好評を博し、上位モデルのSU7 Ultraも非常に高い人気を集めている。EVとしての品質の高さと異次元のコスト競争力で、シャオミが世界有数のEVメーカーとなる可能性も無視できないものになりつつあります。
自動車業界の構造変化と中国政府のEV推進策
シャオミに代表される従来のスマホメーカーの自動車業界への参入は「EV」なしに語ることはできないでしょう。EVへのシフトは、エンジンやトランスミッションといった複雑な内燃機関部品の重要性を低下させ、代わりにバッテリー、モーター、そしてソフトウェアが車両の中核技術となりました。
特に、コネクテッド機能や自動運転技術など、ソフトウェアが車両の価値を大きく左右する要素となっており、「走るスマートフォン」とも形容される現代のEVは、IT企業の技術力が活かせる領域にもなりました。
この領域に一足早く着目し、水面下で技術研究を続けていたのはAppleです。しかし自動車業界は各国での法的規制が厳しい業種でもあり、先ほど触れた通り、2024年にはAppleのEV撤退が報じられました。そのため一時的に「IT企業のEV参入はやはり難しい」というムードが漂いました。
しかしApple撤退と入れ替わるようにしてEV業界に華々しく登場し、まさに一世を風靡しているのがシャオミです。
【早見表】スマホメーカーによる自動車業界参入の拡大の要因
Appleが撤退したEV業界にシャオミがスムーズに参入し、EVとして空前の大ヒットを記録している背景には中国政府の戦略的支援があります。
中国政府は、新エネルギー車産業の発展を国家戦略として強力に推進しており、補助金政策やインフラ整備を進めてきました。これにより国内に巨大なEV市場と、バッテリーを含む強力なサプライチェーンが形成されています。シャオミやBYDなど中国企業は、こうした国内の有利な事業環境とサプライチェーンを活用してEV開発を加速させています。

自動車業界で高まる『ファーウェイ』の存在感
なお本記事ではここまでシャオミをEV業界を代表する新星として取り上げていますが、シャオミ以外の企業の自動車業界への参入も中国では盛んです。その代表格がファーウェイです。

スマートフォン市場で培った技術力を背景に、自動車業界で存在感を高めているのがファーウェイとその基幹OSである『Harmony OS』です。
例えば、トヨタは中国市場向けのEVに『Harmony OS』の採用を決定しており、同社のフラッグシップセダンへの搭載が見込まれています。さらに、Huawei ADS(先進運転支援システム)の搭載も検討されていると報じられています。
BYDをはじめとする中国メーカーのEVが今後、日本市場で勢いを増すと予測される中、中国向けにトヨタなどの日本メーカーが開発する『Harmony OS』を搭載した日本車が、いわば逆輸入される形で普及する可能性も視野に入れる必要があるでしょう。
他のテック業界の動向は?
中国政府による戦略的な支援の影響に加え、アメリカでAppleがEV事業から撤退したことも影響し、IT企業やスマホメーカーによるEV参入では中国が世界的に見ても先行しているのは否めません。
もっとも日本企業による「異業種からのEV参入」も進みつつあります。
その代表格が『ソニー・ホンダモビリティ』。

ソニーは本田技研工業と合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ」を設立し、新ブランド「AFEELA」を発表。2026年の市場投入を目指し、エンターテインメント性能やセンサー技術を活かした高付加価値EVを開発中です。
2025年現在、自動車を「走るスマホ」と捉え、OS・ソフトウェア技術を自動車に転用したり、IT企業や電子機器メーカーが自動車業界に参入する動きは国内では「大々的に進んでいる」印象はあまりないかもしれません。しかし2026年以後はEVが一層市場に広まり、日本国内での自動車業界の在り方が大きく変わってくるかもしれません。
※サムネイル画像(Image:Robert Way / Shutterstock.com)
記事提供元:スマホライフPLUS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。