ワイヤレス充電は意味ない?「充電効率が悪い」「バッテリー劣化する」のにそれでも使われる理由
ワイヤレス充電はケーブルなしで充電できるので「確かに便利そう」な充電方法です。一方で「充電に時間がかかる」「バッテリーに良くない」といった声を聞いたことはないでしょうか。

たとえば筆者は一時期充電端子部分を汚してしまって充電ケーブルが認識されなくなった際、一時的な救済としてワイヤレス充電器を使用していました。筆者自身の体験に基づいて述べると、ワイヤレス充電器の充電速度が非常に遅いのは事実です。
たとえば外出先で充電が少なくなった際にワイヤレスで充電しながらスマホを操作していましたが、充電しているにも関わらず、バッテリーの消費の方が早く、「充電している意味がない」とすら感じました。
一方、使い方によってはワイヤレス充電のメリットもあります。「ワイヤレス充電は意味がない」のか具体的に見ていきましょう。
ワイヤレス充電は意味ない?長所と短所
「端子に依存しない次世代の充電」であるワイヤレス充電。ケーブル不要で充電できる「スッキリ感」は幅広い層から人気があります。たとえば2025年にはEU圏内で「USB Type-C非搭載の、MagSafe特化のポートレスiPhone発売の噂」も大きく広がりました。これはEUが共通の充電規格としてUSB Type-Cを義務付けていることへの対抗策という見方が一般的ですが、同時にポートレスのスマホが今後定着する可能性を示すものでもあるでしょう。
もっともワイヤレス充電は有線充電に比べて効率が低く、発熱によるバッテリー劣化の懸念が残ることから「賛否両論」の充電方法でもあります。

仮にワイヤレス充電が定着し、ポートレススマホが日本国内でも広まった場合、充電効率や「ワイヤレス充電規格」などは問題となるでしょう。端的に言えば「いくらポートレスであろうと、完全にケーブルを無くすのは難しいうえ、充電効率が悪いなら意味がない」という声が大きくなる可能性も秘めています。
次の項目でより詳しく見ていきましょう。
ワイヤレス充電の「充電効率」について
ワイヤレス充電は、一般的に有線充電に比べて効率が低いです。たとえばワイヤレス充電は有線充電よりも40%ほど多くの電力を消費することがあり、その理由は主に熱としてエネルギーが失われることが原因と言われています。
また充電時間そのものが長く必要な場合もあります。筆者が過去にQi規格のワイヤレス充電をした際には、有線充電の2倍以上の時間を充電に要しました。また充電しながらのゲームや動画視聴などを行うと、消費電力が給電を上回り、バッテリーは減る一方でした。
これは電力伝達中にコイルの配置が影響するためで、ワイヤレス充電器とスマホのちょっとした位置関係やずれも充電効率や充電にかかる時間を大きく左右します。

もっとも近年はQi2規格の導入により、効率と互換性が向上しており、ワイヤレス充電でもスピーディーな給電が可能になりつつあります。とはいえ「有線での充電で十分では」という面も依然として否めず、ポートレススマホが市場で「受け入れられそうなデバイスであるにもかかわらず、まだ存在感がない」理由はまさに「有線で十分」な人が多いからでしょう。
使い方による影響

なお、ワイヤレス充電の効率は、Qi2規格の登場などの影響で年々改善されています。最新のワイヤレス充電規格を使っているのに「充電が遅すぎる」場合は、ワイヤレス充電の「やり方」に問題があるかもしれません。
充電器とデバイスのコイルの位置合わせ(アライメント)、コイル間の距離(ケースの厚みなど)、充電器の品質によって変動します。位置がずれると効率が大幅に低下したり、充電が停止したりすることがあります
そのため、まずはスマホケースを外した状態で、充電器とスマホをきちんと接触させることをお勧めします。近年、従来のワイヤレス充電よりも充電効率が改善されているのは間違いありません。
なぜワイヤレス充電が今も使われるのか
現状は問題があるワイヤレス充電が今でも使われている理由をご紹介します。
手軽さ(ケーブル不要)

ワイヤレス充電器の最大のメリットは、充電パッドにデバイスを「置くだけ」で充電できる手軽さです。ケーブルを探したり、コネクタの向きを確認して抜き差ししたりする手間が省けます。ベッドサイドや車内、カフェなどでの使用が簡単です。特に、夜間に充電する際に便利で、見た目もスッキリします。
端子の保護
ケーブルの抜き差しがなくなることで、デバイスの充電ポートの摩耗や破損のリスクを低減できます。実際に、端子が破損し充電できなくなった場合の応急的な手段として、ワイヤレス充電が使われることもあります。
スマホの「ポートレス化」
スマホは年々性能が向上し、高価格帯の端末も増えています。端末の耐久性向上の重要性も増しており、充電ポートやイヤホンジャックなどの物理的なポートが一切なく、ワイヤレス充電やワイヤレスイヤホンで運用する「ポートレススマホ」への期待度も高まっています。
ポートがなくなることで、水や埃の侵入を防ぎ、耐久性を向上させることができる上、端末のさらなる薄型化などが実現できるためです。
「完全にはケーブルがなくならない」点などは要注意
なおワイヤレス充電には「ワイヤレス充電器そのものにはケーブルが必要」なケースが多く、仮にスマホがポートレスでも、充電器にケーブルがあるならばあまり意味がないという批判的な見方もあります。
またポートレスになると「Lightning」「USB-C」といった物理規格の乱立は避けられるものの、ワイヤレス充電の規格や端末側の対応状況が統一されていないことにも注意が必要です。たとえば『iPhone 16e』はMagSafe非対応が発表済みです。
ワイヤレス充電をメインの充電方法として採用するには、充電効率や端末の普及状況などに課題が残るかもしれません。
一方でスマホのポートレス化の意義は大きく、さらなる充電効率の改善や統一規格の普及があれば「ポートレススマホ」が定着する日も近いでしょう。
※サムネイル画像(Image:「photoAC」より)
記事提供元:スマホライフPLUS
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