オープンカーにもなるのに何だこの上品なフェラーリは⁉ 助手席に愛用のキャディバッグを乗せてコースへGO!
スーパーカーの代表格、跳ね馬のフェラーリ。新しい時代のフェラーリを全身でアピールするローマが登場した。しかも、オープンモデルであるスパイダーということで、乗り手を選ぶクルマなのは確実。フェラーリでゴルフに行く。無類のクルマ&ゴルフ好きとしても有名なアーティスト・松任谷正隆氏のジャッジはいかに? 編集部員との掛け合いでお届け。
究極の贅沢! 名門ゴルフ場にフェラーリで行く
編集部(以下、編):先生、クラブはちゃんと送ってあります。ご安心ください。ひゃっほー。
松任谷(以下、松):あ、そう。
編:顔色もすっかりいいようで、感染症にはくれぐれも気をつけてくださいね。ひゃっほー。
松:まあな。でも対策方法はあまりないよな。
編:先生がいなくなると困っちゃうから。ひゃっほー。
松:あのさあ、何で急に俺が先生な訳? それにその変なリアクションは何なの?
編:だって、これがテンション上がらずにいられると思います? まず、松任谷さんちの名門ゴルフ場でしょ。それにこのクルマでしょ?
松:あのさあ、言っておくけど、俺のゴルフ場じゃないから。一応顧問らしいけど、ゴルフ場は会員のものだから。わかってる?
編:そうは言っても、あそこは会員になるのも大変なところですよ。俺なんか面接で絶対に落とされるに決まってるし……。
松:そうだな。その前に俺が落とすよ。
編:そんなこと言っちゃって。俺のことが好きなくせに。
松:なに気持ち悪いこと言ってるんだよ。いいか、ゴルフ場はジャケット着用だ。派手すぎる格好もダメ。夏はショートパンツはOKだけど、ハイソックス着用。
編:知ってますって。だからこんな格好で来ました。デカいロゴもないし、ポロシャツの裾はパンツにインしてますよ。
松:ま、ぎりぎりだな。本当は性格が問題なんだよな。ぶつぶつ……。
編:さあ、キーを貸してください。今日は行きも帰りも僕の運転でOKです。
松:最初からそのつもりだよ。
編:いやあ、名門ゴルフ場にフェラーリで行く、なんていいよなあ。
松:俺は、こんな奴と一緒にフェラーリなんて、どう見たってチャラく見えるに決まってるから気が重いんだよ。
編:どう見えたっていいじゃないですか。僕はどんなコースだって90は切りますからね。今日のコースは長いそうですね。松任谷さん、ミドルホールで2オンなんてないでしょ?
松:おいこら。人に連れて行ってもらうのに、その言いぐさはないだろ。プレーさせてやらないぞ。
編:大丈夫です。ちゃんと今日は教えてあげますから。でもミドルホール2オンはどうですか?
松:ねえな。
編:やっぱりね。じゃあ今日はアプローチをがんばりましょう。さてと。じゃあ行きましょう。さあ乗った乗った。
松:まったく調子こいてるな。ああ、こんな奴と一緒なんて恥ずかしい。
走りながらオープンにするのもOK
編:幌、開けちゃいましょうね。天気もいいし。
松:えっ? やめようぜ。首都高はちょっと渋滞してるぞ。トンネルの中なんて地獄になるから。
編:はいはい。わかりましたよ。じゃあ渋滞出たら開けましょう。時速何km/hまでなら幌が開けられるの?
松:60km/hまでらしいな。それに開くまでの所要時間は13.5秒とあるね。
編:それにしても立派な幌ですね。まるでハードトップのようです。これならクーペの方を選ぶ理由なんてないですよね。
松:まあ、そこは好みだろうな。セキュリティで言えばやっぱりクーペの方が安心だろう。
編:えーと、エンジンスタートはこのステアリング上のボタンというか、センサーというか、ここを触るわけですね。
松:そうだな。記憶が確かなら、先にデビューしたクーペが、フェラーリの中では一足先にセンサースイッチを多用したモデルということになるな。つまりスイッチ類はほとんど触るだけのセンサーだ。
編:とはいえ、大事なものはちゃんと物理スイッチですよね。シフトとかパドルとか。モード切り替えもダイヤル式だし。
松:そりゃそうだ。そんなものが触るだけだったら危なくて仕方ないよ。
編:シートは割合デカいですね。デカいケツのスポーツマンもこれなら全く問題なさそう。
松:なのにしっかりとホールドする感じがさすがだよな。小さなケツでもすっぽり感がある。
編:でもシート硬くないですか? こんなに硬いもんですか?
松:どうだったかな。こんなもんじゃないか?
編:ではエンジン掛けます。おっ、意外に静かですね。
松:まあ、フェラーリにしては大人しいかな。最近のクルマで吼えるようにエンジンが掛かるクルマは珍しくなったよな。
編:まあ、騒音対策はどこのメーカーにも公平にのしかかっていますからね。じゃあ行きます。
松:どう?
編:まだわからないけど、大きいですね。
松:確かに横幅は大きく感じるよな。実際広いんだから仕方ないよ。
編:足はよく動いているように感じるけど、シートはやっぱり硬いです。
松:うむ、こちら側もゴツゴツして感じるね。いかにも高速域に調律を合わせている感じがするよ。
編:松任谷さん、以前ローマのクーペの方にも乗ったことがあるんですよね? その時の印象はどうだったの?
松:そうだなあ。フェラーリの中にあっては印象が薄めのクルマだったかもなあ。優しめというか、大人しめというか。触るだけでスパッと切れちゃうカミソリのような感覚は薄かったね。
編:なるほどね。このクルマなんてスパイダーカリフォルニアの直系ですもんね。となるとデートカーですか?
松:フェラーリにそこまで甘口なものは作れないよ。だけど、フェラーリの中では、という言い方をするなら、そんな風にも言えるかもな。
編:最近、これの兄貴分というか、12チリンドリみたいな名前のクルマが出たじゃないですか。あれはどうなんだろう。
松:まだ乗ったことがないからわからないけど、値段はこのクルマの倍近くするよね。性能的にこのクルマの倍とは考えられないと思うぜ。
編:へえ、何でわかるの?
松:そのうちわかる。じゃあ、そこで高速道路を降りて、ワインディングロードに入ろう。ところで高速道路をひたすら走っていた時の感想は?
編:実を言えば、俺も印象は薄めかも。乗り心地は悪くなかったっすけど。
松:直進性はどうだった?
編:まあよかったですね。でも何と言うか、ポルシェのような塊感は薄めかなあ。もう少し女性的というか、優しさが先に立つ感じですかね。
松:よーし、本番はここからだ。きっと目から鱗が落ちるぞ。
編:俺は魚じゃないっす。
松:では君を信用して乗るから、好きなように飛ばしたまえ。
編:その前にオープンにします。先生。踏みます!
松:おーっ!
編:おーっ!
松:やっぱり速いな。
編:いや、それ以上になんだこりゃ?
松:どうした?
編:この子、めちゃくちゃ自分の言うことを聞いてくれそうです。
松:やっぱりそう思ったか。
編:えーっ? コーナーでこんなに足が動いてもボディは傾かないし、安定感が半端ないです。
松:だろ? ようやくそういうことがわかるようになったか。
編:シャープなのに危なげないし、すべてが自然ですね。運転が倍上手くなった気がします。
松:そうなんだよ。クーペの時にはそんな感じを受けなかったんだけど、スパイダーになって俄然そんな感じになったんだよな。やっぱり年次変更とか、そういう細かい改良をやっているのかもなあ。
編:この音も素晴らしいですね。V8なのに12気筒エンジンより、むしろ柔らかく澄んだ音がします。
松:そうなんだよ。それにこの不思議なディフレクターが効いているだろ?
編:後席のシートバックが上側を支点にして並行になるやつですよね。髪の毛先だけがそよそよする感じです。音最高!
松:フェラーリにしては控えめだし、上品だよ。
編:ひょっとして僕だけが下品とか言いたいんじゃないですか?
松:まあ、否定はしない。
編:いやあ、それにしてもこんないいクルマだったんですね。
松:困ったろ?
編:困りませんけど、これ人生一かも。
松:僕もこの数年の中でのベストかも。チャラく見えなければ、これ以上ないチョイスなんだよな。しかも12チリンドリのほぼ半額。
編:やっすーい! 社長! ありがとう!
松:おい、それどこかで聞いたフレーズだな。
編:まあいいから、いいから……。
Ferrari Roma Spider
◆全長_全幅_全高:4656×1974×1306mm ◆車両重量:1556kg ◆エンジン形式:V8ツインターボ◆総排気量:3855cc ◆エンジン最高出力:456kW(620ps)/5750 - 7500rpm ◆エンジン最大トルク:760N・m/3000 - 5750 rpm◆ミッション:8速DCT ◆WLTC燃費:11.4 l/100km ◆定員:4人 ◆価格:3280万円
写真/松任谷正隆&近藤暁史(ラゲッジ)
まとめ/近藤暁史【MUSHROOM】
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<ゴルフ情報ALBA Net>
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