“下半身リード”がスイングと腰を破壊する! 右プッシュ・チーピンを直す『靴裏見せクローズ』ドリルとは?
プロを目指していた二口涼(ふたくち・りょう)さんは、腰痛に悩まされて一度はクラブを置いた経験を持つ。当時のコーチには「腰を切れ」と教えられ、二口さん本人も「腰を切った方が“下半身リード”になるんだろうな」と信じてきた。一方で、米ニューヨークを拠点にレッスン活動を行う宮崎太輝は「下半身リードは必要ない」と語る。
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■下半身リードの3大弊害とは?
【二口】私は高校を卒業した年(2017年)に一回だけプロテストを受けたんですけど、腰痛になったりして、ゴルフを続けるのが辛くて、試合に出なくなりました。その後は、まったく違う仕事がしたくて、フィットネスのインストラクターに。3年が経った頃に、ゴルフが恋しくなっちゃってレッスン業をスタート。そこから宮崎さんと連絡を取るようになりました。
【宮崎】以前の二口さんは腰を切り過ぎていて、『振り遅れ』るとフェースが開いて右プッシュ、それを嫌がってフェースを返し過ぎると『チーピン』が出ていました。頭が右に移動して、右足荷重になるので『ダフリ・トップ』も出やすかった。
【二口】宮崎さんに習うまでコーチたちはみんな「腰を切れ」と言っていたんです。私も上半身から打ちにいくよりも、腰を切った方が“下半身リード”になるんだろうなと思って、ひたすら腰を回していました。宮崎さんの言うように、そのときはすごく曲がっていたんです。
【宮崎】日本の強い選手が「下半身リード」とか「腰を切る」とか言っていたから、それが良いとされてきた。アメリカの最近の指導の中では、「腰を切らなくていい」という理論も増えてきています。スイング理論によって分かれるんですけど、地面反力系の人は腰を切ってOK。ただし、しっかり左に乗ってから腰を切ります。一方で僕たちみたいにローポイント(クラブヘッドの最下点)コントロールを考えている人は「腰は切らない方がいい」と言っています。
【二口】フック回転だからスピンもかからずコロがっちゃう。小学校のときは、右に打ち出して返ってくるボールで上手くピンに寄せることができて、成績もまあまあ良かったんですけど、中学生、高校生になっていくと、コースの難易度が上がって「通用しないんだな」と実感しました。
【宮崎】バーディを獲りにいったりすると、より癖が出ちゃう。程度が大きくなると思います。肝心なときに勝ち切れない選手は、下半身リードの弊害があるかもしれません。その傷を浅めにする必要があるんです。
【二口】下半身リードを直すのはすごく難しくて、本当に体に染みついちゃっていました。練習では上手くいくんですけど、試合でコースに出たら癖が出てしまう。私はジュニア時代、毎週のように試合に出ていたので、「いい球が出ないんだったら、もう自分の気持ちいいスイングをしちゃおう」みたいな。これはけっこう選手あるあるだと思います。
■腰が切れ過ぎない『靴裏見せクローズ』ドリル
【宮崎】振り遅れてチーピンが出ていた二口さんには、クローズスタンスで右足の裏を後ろに向けて打つ練習をやってもらいました。右足は半足分引いて、内側を地面に引っかけているだけなので、腰を切り過ぎることは絶対にありません。
しかも、腰は最低限しか動いてないのに、インパクト後にクラブに振られるようにして右カカトを浮かせると、ちゃんとフィニッシュの形ができる。フルショットよりは小さめのスイングで、バランス良く振ることを意識するのがポイントです。
【二口】この練習はよくやりました。以前は8度のインサイド・アウト軌道で、それに対して2.5度フェースを閉じて打っていました。今は3度以下のインサイド・アウト軌道になって、フェースは0.25度クローズに。グイーンと曲がるドローから、ベイビードローに変わりましたね。
■二口涼
ふたくち・りょう/1998年生まれ、東京都出身。7歳でゴルフを始め、小中高とジュニア大会で活躍。腰痛で丸3年ゴルフから離れたが、現在はティーチングの道に進みTEAM BRANTAの一員に加わった。
■宮崎太輝
みやざき・たいき/1985年生まれ、神奈川県出身。ニューヨーク市立大学ブルックリン校の大学院にて最先端の運動科学とゴルフを学び、現在はTEAM BRANTAとしてニューヨークを拠点に日本でもレッスン活動を行う。著書に『ローポイント・コントロール』(実業之日本社)がある。
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