藤田さいき、“心が打たれた”4日間 最後は大粒の涙「こんな結果に…」
<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 最終日◇11日◇茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県)◇6665ヤード・パー72>
初日から首位を守り続けた39歳の藤田さいき。15年ぶりのメジャー2勝目には届かなかったが、“ベテランの意地”を見せつけるような、藤田の真の強さが詰まった4日間だった。
2位に2打差で迎えた最終日は、2バーディ・3ボギー・1ダブルボギーの「75」とスコアを落とし、同組の申ジエ(韓国)と18番パー5でのプレーオフへ。1ホール目、ジエが3打目を約50センチにつけてバーディを奪い、優勝が決まった。敗れた藤田は「本当に素晴らしいプレーだったと思います」と潔く勝者を称えた。
4日間、死力を尽くして戦った。大会前から体調不良が続き、先週末には39度を超える高熱で寝込むほどの状態。第3ラウンドの前夜には再び39.5度の高熱に見舞われ、最終日のラウンド中も木陰で休みながらプレー。苦しい表情を浮かべながらも、19ホールを完走した。
プレーオフ後は自力で歩くことができず、関係者に支えられながらクラブハウスへ。その後、救急車で病院に搬送されたが、無事に会場へ戻り、報道陣の取材に応じた。「コロナやインフルエンザの検査もして、全部陰性でした。熱中症ということでした」と説明した。
棄権を選んでもおかしくない状況で、4日間を戦い抜いたのは「メジャー」という“大舞台”だからこそ。そして、「単純にゴルフが好きなのかもしれない」とも話す。2010年の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」以来、15年ぶりメジャータイトル獲得とはならなかったが、「やり切りました」と安どの表情を浮かべた。
ジエは優勝会見で「藤田さんはあきらめずに精一杯、体調が悪い中で頑張っていた。その姿を見て、心を打たれました」と称賛した。
藤田にとって最も心残りだったのは、優勝したジエに祝福の言葉を伝えられていないこと。「ちゃんとジエちゃんに『おめでとう』って言いたかった。最後こんな結果になってしまって、今は申し訳ない気持ちでいっぱいです」と話すと、目に溜めていた涙があふれ出した。最後は「ご迷惑をおかけしました」と何度も深く頭を下げて、会場を後にした。
諦めずに限界まで戦い抜いた藤田の姿に、ギャラリーだけでなく、多くの女子プロも胸が熱くなったに違いない。(文・高木彩音)
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