勝みなみがうらやむ名手6人 「バンカーがめちゃくちゃ上手い」と同組で走って見に行っていた選手とは…【女子プロうまい人ランキング】
国内女子ツアーは3月から2025年シーズンがはじまり、ルーキーからベテランまで、さまざまな選手が活躍している。今季も見どころ満載だ。実際にロープ内で戦う選手たちにドライバーショットからパッティングまで、うまいと思う選手を挙げてもらった。プロが選ぶ最高の選手はいったい誰なのか。今回は国内ツアー通算8勝で今は米国を主戦場とする黄金世代のパイオニア、勝みなみに聞いた。
【ドライバー部門】
酒井美紀
まずはドライバー部門で挙げたのは酒井美紀。「フェアウェイキープするのは大事なので、ずっとフェアウェイキープ率1位だから、やっぱり酒井美紀さんかなと思います」。
2010年にプロテストに合格し、12年に初シードを獲得。14年には6月の「アース・モンダミンカップ」でツアー初優勝を遂げ、9月の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で2勝目を挙げるなど、自己最高の賞金ランキング6位に入った。
17年に一度シード権を逃したが、翌年復活すると22年までトップカテゴリーで活躍。現在は復活に向けて下部のステップ・アップ・ツアーを主戦場としているベテランである。
酒井はアマチュア時代からティショットでOBを打った記憶がほとんどないという。フェアウェイキープ率の計測が始まった2017年から、5シーズン連続で部門1位を獲得している。22年にはツアー記録となる驚異の82.6623%をマークし、“日本一曲がらない女”の称号を手にしている。
ちなみに、シード権を喪失したことで義務試合数不足により、23年と24年のレギュラーツアーの部門別データから名前は抜けているが、主戦場のステップ・アップ・ツアーでは、しっかりと2年連続フェアウェイキープ率1位の座をキープしている。
【フェアウェイウッド&ユーティリティ部門】
山下美夢有
フェアウェイウッド部門は「山下美夢有ちゃん。彼女は、飛距離はないんですけど、ウッドでピンを攻めていって、バーディを重ねるショットメーカーだと思うので、美夢有ちゃんを選びました」。
2022年と23年にそれぞれ年間5勝を挙げて、2年連続で年間女王を獲得している日本を代表するプレイヤー。今季は米女子ツアーに参戦している。
ドライビングディスタンスは例年、50位前後だが、フェアウェイキープ率は、酒井美紀が抜けた23年に1位を獲得している。ドライバー同様、フェアウェイウッドやユーティリティでの精度の高さは専売特許である。
【アイアン部門】
小祝さくら
アイアン部門は「小祝さくらちゃんで」。勝と同じ黄金世代の常勝者だ。2019年に初優勝を遂げてから、24年まで毎年優勝を挙げて通算11勝。年間ランキングも毎年上位に入っている。
ずばり、上手いと思うところは?
「さくらちゃんは、すべてが一定な感じがするので、どのピンポジションでも攻めていけるというか、メンタルもそうですけど、スイングがすごく一定でうまいなと思います」。
グリーンのどの位置にピンが切られても、表情一つ変えずにピンに絡めてくる。史上3人目の「日本女子オープン」連覇の偉業を遂げた勝も舌を巻くほどだった。
【ショートゲーム部門】
申ジエ
森田遥
ショートゲーム部門は、2人の名前が挙がった。1人目は元世界ランキング1位の名手、申ジエ。
ジエは、2005年に韓国でプロ転向すると06年から3年連続で韓国ツアーの賞金女王を獲得。09年は米ツアーでも賞金女王を戴冠し、海外メジャー「全英女子オープン」も2度制している。14年からは日本ツアーを主戦場として、通算28勝をマーク。世界の各ツアーを合わせると通算50勝以上にものぼる。
ジエの上手いところは? 「イメージの出し方というか、アプローチとかショットもそうですけど、すべてが一連の流れで全部出来上がっていて、コロがすアプローチから上げるアプローチまで、スゴイなと」。今年37歳になった名手のテクニックは、まだまだ健在ということだ。
「あともう1人挙げていいですか?」と思い出したかのように名前を挙げたのは森田遥。
森田は高松中央高校2年時の2013年に「日本女子アマ」を制し、ナショナルチームでも活躍。15年は米下部ツアーに挑戦し、16年から日本ツアーに本格参戦。1年目からシード権を獲得して、通算2勝を挙げている。
森田のうまさをうらやむエピソードがある。「2023年のTポイント(レディス)の時に回って、端から端の30~40ヤードぐらいあるアプローチで、7番アイアンでOKぐらいに寄せたんです。全然練習していなかったらしくて、そのイメージの出し方がすごい。また、上げるアプローチとかもフワッと打てる。自分はフワッと上げることが出来ないタイプだからうらやましいなと思いながら見ていた記憶があります」。
勝がうらやむ森田のショートゲームは、一見の価値がありそうだ。
【バンカー部門】
アン・ソンジュ
続いてバンカーショット部門は、日本ツアーで4度の女王を戴冠したアン・ソンジュだ。
1987年生まれで韓国出身のソンジュは、韓国女子ツアーを経て、2010年から日本ツアーに参戦。開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」でいきなり優勝。デビュー戦Vはツアー初の快挙と大きなインパクトを与えたが、同年4勝を挙げて韓国人選手初の賞金女王に輝いた。
翌11年も連続で女王の座をつかむと14年、18年と合計4度の賞金女王のタイトルを獲得。ツアー通算28勝、生涯獲得賞金は11億円を超えている。21年に男児と女児の双子を出産するなどツアーを一時休戦。昨年、ママさんゴルファーとして5年ぶりに日本ツアーに復帰したが、現在は主催者推薦でしか出場する資格がない状態だ。
ソンジュのバンカーの上手さは?
「(私が)アマチュアの時に、一緒に回らせてもらって、バンカーがめちゃくちゃうまくて。アゴが高くピンが近い時でも、激ウマ。その時、バンカーから全部パーセーブしていたぐらいめちゃくちゃ上手で。その試合の時は、すごく遠くにいてもアンさんがバンカーを打つときは、走って見に行っていました。どんな打ち方をするんだろうって。意外とフェースを開かないんですけど、スナップというかコックの使い方がうまいなと思いました」
今から10年ほど前、アマチュアだった勝を驚愕させるバンカーショットを見せていたのが、今でも色濃く印象に残っている。
【パッティング部門】
鈴木愛
最後はパッティング部門。2度の賞金女王を獲得した鈴木愛を挙げる。
今年31歳になる鈴木は、通算20勝を誇る。平均パット数(パーオンホール)を見ると、16年、18年、19年と3度1位を獲得するパット巧者としても知られている。
「昨年日本で回ったときに、ファーストパットをめっちゃオーバーして、3メートルぐらいオーバーしていて強気だなって思っていたんですけど、返しを全部入れます。自分だったら不安になって何個か外しちゃいそうなんですけど、愛さんは打ちたいところに打てる自信があるから、入るんだろうなと思いました」
勝がプロ入り当初からツアーをけん引していた鈴木。あらためて同組で回ったことで鈴木のパット力の高さを感じたようでした。
同じ組で回ることでその選手の上手さを実感し、脳裏に焼き付く。いずれの選手も長年活躍していることがうかがえる。
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