【次世代エースストライカーの主張①】後藤啓介「W杯まではあと1年あるので大丈夫。必ず主力選手になってみせます」
後藤啓介 2005年6月3日生まれ、静岡県出身。2023年、J2ジュビロ磐田(当時)でクラブ史上最年少ゴール(17歳260日)を記録。昨年1月にベルギー1部・RSCアンデルレヒトへ移籍し、今年1月にメヘレン戦でトップチーム初ゴール。同月30日にはヨーロッパリーグでもデビュー、初ゴールを決めている
身長191㎝。デカい・巧い・速いの三拍子そろった今年20歳の大型FW・後藤啓介(ごとう・けいすけ)は、ベルギーの地で進化を遂げた。森保ジャパンの主砲に志願する頼もしき若武者を現地直撃!【次世代エースストライカーの主張①】
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■実はFWが一番やりたくなかった――いざお会いすると、やはり大きいですね。幼少期はバレーボールをやっていたとか。
後藤 父が昔やっていたから、僕にもやらせたかったみたいです。バレーボール以外にも、陸上競技ならハードル走や短距離、走り幅跳び。それに水泳やテニスもやっていました。
――幅が広い! 特にバレーボールや陸上競技の経験は、今のプレースタイルにかなり影響を与えているのでは?
後藤 それは間違いないです。僕の場合、走れば時速34~35キロぐらいは出せます。それにバレーボールだと、トスが上がってきたときにどのタイミングで打つのがベストなのか、その感覚が備わっているので、サッカーではヘディングに生かされています。
――サッカーを始めたのはお兄さんの影響で、2010年南アフリカW杯をテレビで見て、世界への憧れを抱くようになったのだそうですね。
後藤 ええ、ちょうど5歳ぐらいですかね。遠藤保仁さんの味方を動かす司令塔的なプレー、長谷部 誠さんのチームのためにひたすら走って戦う献身性にひかれました。
――あれ、FWではないんですか? 中盤が好き?
後藤 僕、もともとFWが一番やりたくなかったんです(笑)。FCバルセロナの試合もずっと見ていて、憧れたのはシャビやイニエスタら、小柄ながらボールや人を動かす力、確かな技術を持った選手たちでした。
――視点が渋い。ちなみにプロを意識し始めたのは?
後藤 その頃からです。
――早っ! なぜゆえに?
後藤 ずっと、同年代の子ではなく、常に2~3コ上の子たちと一緒にサッカーをやっていて。生意気ですけど、小学校に入る前からプロになるのは必然だと思っていました。
――それはジュビロ磐田に入ってからもずっと変わらずですよね? U-18ジュビロ磐田では、中3にして身長186㎝もあった後藤選手が清水ユース相手にゴールを決め、J2磐田のトップチームには17歳でデビューしました。
後藤 はい。僕が思い描いていたビジョンは、17歳でプロデビュー。3年はしっかり磐田に貢献して、21歳でA代表としてW杯に出場、そこで目をつけられて海外移籍という感じでした。
――でも、ご自身の予想をはるかに上回るスピードで出世してきましたよね。磐田ではルヴァン杯を含めて、33試合7得点3アシスト。これはもう海外に目がいくでしょう。
後藤 ええ。細い体と少ない経験値、33試合の合計出場時間がわずか15時間程度で10得点に絡めたのは自信につながりました。となれば、次は世界だなと。A代表のメンバーはほとんどが海外組ですし、あくまで目標はW杯に出て優勝することなので、そのためには一刻も早く海外に出ようと決めました。
5月1日に行なわれたベルギー1部リーグのプレーオフ第7節、ロイヤル・アントワープ戦で約3ヵ月ぶりの先発出場を果たした後藤(右)。55分にはヘディングで先制点を奪い、チームの勝利(3-1)に貢献した
――熱心に口説いてきたベルギーのアンデルレヒトに来てみてどうでした? セカンドチームからの出発でしたが。
後藤 見据えていたのは、トップチームでした。DFフェルトンゲンやFWアザールといったビッグネームの選手たちと早く一緒にプレーがしたかったので、ただ結果を出すことに専念しました。
――最近、ホームシックで日本に戻るのか!?という報道も一部ありましたが......。
後藤 いや、それは絶対にないです(笑)。日本が恋しいと思う瞬間はあるけど、こっちに来たのは目標達成のためなんで。普段は英語で、聞き取りもほぼ完璧ですから、日常会話に支障はないです。
――ここから先、強化していきたいポイントは?
後藤 当たり負けしない体と、ゴール前での強引さです。もともとFWはやりたくなかった人間なので(笑)、ゴール前でもパスを出せちゃう性質なんですよ。でも、欧州にはストライカーとして来た以上、マンチェスター・シティのハーランドみたいに〝デカい・巧い・速い〟大型FWとして活躍したいです。
――そして、夢はあくまでも来年の北中米W杯出場という。
後藤 サプライズ選出といった扱いではなく、後藤啓介こそが先発候補で、選んで間違いはなかったというポジションにつきたいです。そのために、森保監督はじめコーチ陣、そしてファンの皆さんが納得するようなプレーを見せ続けたいです。
例えば、前回のカタールW杯では、DF伊藤洋輝選手は半年前ぐらいから招集され始めて、本大会に出場されました。あと1年あるので、W杯を「狙えるようにする」のではなく、必ず出るようにします!
構成・文/高橋史門 撮影/Taisei Iwamoto 写真/アフロ
記事提供元:週プレNEWS
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