「右手を消して振り子のタッチに」 先週プロ初V・青木香奈子を開眼させた“急造クロウ”
<パナソニックオープンレディース 事前情報◇1日◇浜野ゴルフクラブ(千葉県)◇6751ヤード・パー72>
先週のステップ・アップ・ツアー「大王海運レディス」でプロ初優勝。ルーキーの青木香奈子は、「LINEで200件くらい。インスタは見切れず…でした」と、“祝福フィーバー”ぶりを明かす。「予想よりも(優勝するまでが)早かったのもあって、自分の中では実感がない」と戸惑いも。それでも、今週出場するレギュラーツアーの会場で何度も『おめでとう』と声をかけられると、「トッププロのみなさんから言っていただけるのはすごくうれしいです」と自然と笑みもこぼれる。
激闘の末の初優勝だった。最終日は終盤の15番から3連続ボギーを叩くと、同期の中村心に並ばれ、決着はプレーオフまでもつれ込んだ。「優勝争いってこういうものなんだなと実感しながら。中村心ちゃんの追い上げがすごくて、勇気をもらった。いいプレーを2人で見せられたと思います」。最後は、「プレーオフよりもバックナインの方が緊張。プレーオフでは守るものはないと思って、緊張せず攻め切りました」と腹をくくってつかんだ勝利でもあった。
今季はここまでレギュラーツアーにも4試合出場。「コースセッティングが成長できるものになっている」と、その経験がステップでも生きた。そして、今週はステップでの経験が生きそうな予感がある。「先週から取り入れたクロウグリップがいい感じなんです」。
「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」、「KKT杯バンテリンレディス」と直近2試合のレギュラーツアーは予選落ち。この大きな原因になったのがパッティングで、「悩んでいた」という課題だった。そこで、ひらめきが。「大王海運のプロアマの時に、クロウグリップにしてみたらちょっとよさげだった」。右手はグリップを握らず、添えるだけというスタイルに変更。「初めてです。10年間くらいクロスハンドだったので」という“大胆チェンジ”を優勝につなげたというのだから驚きだ。
そのきっかけは、バンテリン初日に一緒に回った政田夢乃のプレーにある。「夢乃ちゃんもパターで悩んでいると聞いていたけど、クロウでめっちゃ入っていて。私もありかな、って」。もちろん不安を抱えながらではあったが、いざ試してみると効果を実感。「緊張した時、(クロスハンドだと)右手が強く入るのが怖くて、打ちきれずショートが多かった。(クロウだと)“右手を消す”ことで、振り子のようなタッチが出せるようになりました」。グリップを握らないことで生まれるメリットをしっかり感じられた。
グリーンコンディションは異なるが、平均パット数を見ると、バンテリンが2日間で『31』だったのに対し、大王海運は『28』と劇的に改善。「クロスハンドだとストロークはいいけど、打ち切るイメージがでてしまう。しっかりストロークで打っていたものを、(クロウにし)振り子運動に、という感じです」。あとはそのイメージを、今週もコースで体現するだけだ。
初日は「アクサレディス」の第1、第2ラウンドでも回った同期の吉田鈴とプレー。「鈴ちゃんもパターが上手なので、いいイメージをもらいながら、同期としていいプレーをともに見せたいですね。負けないよう、2人で上位にいけるよう頑張りたいです」。愛媛での3日間で自信を得たルーキーが、レギュラーツアーで掲げている目標「トップ10入り」をまずは目指していく。(文・間宮輝憲)
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