「天災」と「人災」の複合 米価高騰を分析 日本国際学園大の荒幡克己教授が講演
共同通信加盟新聞社の記者らが参加する「めぐみフォーラム」(主催:共同通信アグリラボ)は4月28日、荒幡克己・日本国際学園大学教授(岐阜大学名誉教授)を講師に招き、「令和米騒動の要因分析-天災的要素と人災的要素の数値解析-」と題してオンライン講演会を開いた。
荒幡教授は、昨年初夏以降の米不足と米価の高騰は「天災」と「人災」の組み合わせで生じたと分析、2023年と24年の夏の高温で供給不足になったのが起点だと指摘した。作況指数上は不作ではなかったが、精米の歩留まりが低下し粒の小さい加工用の供給も減った。
「人災」としては、政府の需給バランスや在庫水準の読み違いによる政策判断の誤り、量的な確保を最優先する外食産業の需要の増加などを挙げ、在庫の積み増しや買い急ぎなどは、米価高騰の結果であり、原因ではないと指摘した。
米価の見通しとしては、政府の備蓄米が消費者に届くまでに精米や輸送の時間が必要で、外食産業の調達意欲も根強く、急落は期待しにくいとする見方を示した。
各地の供給について、東日本は増産余力がある一方、西日本では生産の衰退が続くなど地域によって事情が大きく異なると強調した。
一部で浮上している「生産調整を廃止して直接支払いで生産者の経営を下支えし、輸出を促進する」という議論について、米の単位面積当たりの収穫量が伸び悩み、国際的な競争力が低下している課題などを指摘した。
また、「自由な作付けを促すと供給が不安定になる恐れがあり、備蓄の充実などとの組み合わせが必要」と述べ、「過剰生産を前提とした直接支払い一辺倒から、適正価格を目指す複合的な政策に変化している」という国際潮流の変化を紹介した。
記事提供元:オーヴォ(OvO)
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