シマノ「CUES(キューズ)」とはどんなコンポ?互換性・特徴・おすすめ完成車を徹底解説
この記事では、シマノの次世代コンポ「CUES(キューズ)」について詳しく解説します。CUESの特徴やラインナップ、互換性などを分かりやすくまとめました。
CUESを搭載したクロスバイク・ロードバイク・MTB・E-bikeの完成車もご紹介します。
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top画像出典:シマノ
シマノ CUESとは?

CUES(キューズ)は2023年に登場したコンポーネントで、シマノの中では新しいグレードになります。ハイエンドコンポの信頼性を手が届きやすい価格帯で実現するというコンセプトで、クロスバイク・ロードバイク・MTBなどジャンルを問わずカバーしています。まずはCUESの特徴や従来のコンポとの違いに注目してみましょう。
速さの競技向けではなく、街乗り向け

CUESはミドルグレードのコンポに位置付けられていて、スピードや高い変速性能が求められる競技向けではなく、街乗りやサイクリング向けに設計されています。シマノからリリースされているコンポはドロップハンドルのロードバイク、フラットバーハンドルのクロスバイク・MTB向けの2種類に分かれますが、9~11速以下のグレードをCUESに統合したイメージです。
ロードバイク用コンポでは、レース向けと言われている105以上のグレードを除き、リア10速のTiagra(ティアグラ)以下のグレードがCUESでカバーされるイメージです。
クロスバイクやMTB用コンポも、競技向けのDeore以上のグレードを除いて、リア9速のALIVIO以下のグレードをCUESがカバーしています。
このように、CUESは11速以下のコンポを統合し、ロードバイク・クロスバイク・MTBなどジャンルを問わずに対応できるグループセットになっています。
▼シマノコンポの詳細についてはこちら!
関連記事:シマノのコンポを解説。全グレードの紹介や他社コンポとの比較も、まとめました。
9速〜11速のパーツの互換性がある

次世代コンポとして開発されたCUESと従来のコンポの違いは、9~11速でパーツの互換性がある点にも注目です。
従来のコンポは変速段数ごとにチェーンやディレイラーなどパーツの規格が異なり、基本的には互換性がありませんでした。例えば、9速のロードバイクを10速にアップグレードする場合、シフター・ディレイラー・クランク・スプロケット・チェーンなどのパーツをすべて交換する必要があります。
一方、CUESは9~11速のパーツが全て同じ規格で統一されているため、チェーンやクランクなど使えるパーツを流用して変速段数を変更できるのが特徴です。また、フラットハンドル・ドロップハンドルどちらにも対応できるため、クロスバイクやMTBをドロップハンドル化するカスタムもしやすくなりました。
従来のコンポは各グレードの互換性チェックがかなり複雑で、パーツを間違えると使えないリスクがありましたが、CUESはカスタムの難易度が低くなり、組み合わせの自由度も高くなっています。
従来比3倍の高い耐久性

CUESは新たに「LINKGLIDEテクノロジー」を搭載し、スムーズな変速と耐久性を両立させているのも従来コンポとの大きな違いです。
LINKGLIDEは従来のシマノのコンポーネントに広く採用されている、「HYPERGLIDE」と比較して3倍の耐久性があるとされています。スプロケットの歯の厚みを増すことで、摩耗によるチェーン飛びが発生するまでの寿命を延ばしています。
また、LINKGLIDEはただ耐久性を高めるだけでなく、スムーズな変速性能を実現しているのも特徴です。HYPERGLIDEと比較して変速ショックを67%軽減し、スムーズで快適な走りを楽しむことができます。
高い耐久性やスムーズな変速性能によって、チェーンやスプロケットに大きな負荷がかかるE-bikeに対応しているのもLINKGLIDEの特徴です。
CUESのグレードを一覧でチェック
互換性が高く幅広いジャンルのスポーツバイクに対応するCUESは、パーツの種類が多く公式サイトを見てもどのようなグレードがあるのか分かりにくいです。そこで、CUESのシリーズごとに、変速段数や対応できるジャンルなどをわかりやすくまとめました。
U8000:11速対応の上位グレード

U8000シリーズはCUESの最上位グレードです。
U8000シリーズはリアの変速段数が11段と最も多く、フロントはシングル・ダブルを選ぶことができます。ただし、フラットハンドルとドロップハンドルで、対応できるフロントの変速段数が異なるため注意が必要です。
MTBやクロスバイクなどのフラットハンドルはフロントシングル・ダブルどちらも選べますが、ドロップハンドルのロードバイクやグラベルロードはフロントシングルしか選べません。U8000シリーズはドロップハンドル用のSTIレバーのラインナップがありませんが、後述するU6000シリーズのパーツで対応できます。
ブレーキは油圧ディスクのみで、コントロール性を重視した2ピストンキャリパー、より高い制動力が求められるMTB向きの4ピストンキャリパーを選べます。
また、新たにDi2対応のリアディレイラーU8050がラインナップに加わりました。フロントシングル、シマノ独自のオートマチック変速システム「Q’AUTO(クオート)」との組み合わせが前提ですが、快適な電動自動変速の自転車を組むことも可能です。
U6000:10/11速のミドルグレード

U6000シリーズは、リア10/11段を選択できるCUESのミドルグレードコンポです。
上位モデルのU8000シリーズとの大きな違いは、リアの変速段数に10段が加わっている点です。前述したようにCUESはパーツごとの互換性が高いため、リア10速で組んでおいて、将来11速にアップデートするとき最小限のパーツ交換で済むのが特徴。ただし、ドロップハンドルでリア11段を選択する場合、フロントはシングルのみになるため注意しましょう。
ブレーキは油圧ディスクブレーキのみで、レバーやシフターはフラットバー・ドロップハンドル用両方用意されています。また、U6000シリーズもU8000と同じように、フロントシングル・オートマチック変速システム「Q’AUTO(クオート)」との組み合わせで電動自動変速を選択することも可能です。
U4000:9速のエントリーグレード

リア変速9段のU4000シリーズは、ロード向けのSORA、MTB向けのALIVIO以下のコンポを統合したCUESのエントリーグレードです。
フロント変速段数は1~2段、リアは9段から選べて、変速システムはワイヤー引きの機械式のみ対応しています。U4000シリーズにはドロップハンドル用のSTIレバーがラインナップされていませんが、後述するサブグレードのU3000シリーズのパーツでロードバイクも組むことができます。
ブレーキは機械式・油圧ディスクの2種類ラインナップがあり、フラットバーの場合は油圧のみ、ドロップハンドルの場合は機械式のみと少し規格がややこしいため注意が必要です。
U3000:ロードバイク用STIレバーのサブグレード

U3000シリーズはCUESのサブグレードで、9~10段のリアディレイラーと組み合わせるためのSTIレバーのみラインナップされています。
U3000シリーズのSTIレバーは機械式ディスクブレーキのみに対応している点が、U6000シリーズとの違いです。リア9~10速の機械式ディスクブレーキでドロップハンドルの自転車を組みたい場合は、U3000シリーズのSTIレバーを選べばOKです。
CUES搭載のおすすめ完成車
ここまで見てきたようにCUESはさまざまな組み合わせで幅広い自転車に対応できるコンポですが、カスタムだけでなく完成車を選ぶことも可能です。パーツごとの互換性が高いCUESの完成車を買っておけば、レベルアップや走り方に合わせて変速段数を増やすなどカスタムしやすいのがメリット。
クロスバイク・ロードバイク・MTB・E-bikeの各ジャンルごとに、CUESを搭載した完成車を1台ずつご紹介します。
Defy Advanced 3GIANT(ジャイアント)

コストパフォーマンスに優れるGIANTの、カーボンフレームを採用したエンデュランスロードバイクです。長距離向けに設計されたロードバイクには、耐久性が高いCUESの組み合わせにメリットがありますね。
快適性や走行性能にこだわったカーボンモデルながら、CUESの採用によって価格が抑えられているのも魅力です。
おすすめポイント
- カーボン製のフレームとフォークで振動を吸収し快適な走り心地
- CUESの油圧ディスクブレーキ採用で安定した制動力
- 最大38mmまでのタイヤ幅に対応し石畳なども走りやすい
FX3 Gen4TREK(トレック)

フロントシングル、リア10段のU6000シリーズを採用した、TREKの人気クロスバイクです。スプロケットの歯数が11~48Tと広く、フロントシングルながらさまざまな場所を走りやすい仕様になっています。
パーツごとの互換性が高いCUESなら、将来フロントダブルにしたり、ドロップハンドル化したり、カスタムしやすいのもうれしいポイントです。
おすすめポイント
- 標準で油圧ディスクブレーキを採用し安定した制動力
- フロントシングルによるシンプルな操作感
- 耐久性の高いCUESは通勤通学にもおすすめ
BIG.NINE 80MERIDA(メリダ)
リア9段のCUESで価格を抑えつつ、走破性が高い29インチのホイールを採用したコストパフォーマンスに優れるMTBです。転がりの良い29インチホイールは、街乗りにもおすすめ。エントリーグレードのU4000シリーズが標準仕様ですが、カスタムでリア11段に変更しやすいのもCUESならではのメリット。
おすすめポイント
- フロントサスペンションの動きを止めるロックアウト機能搭載
- 幅2.2インチの太いタイヤで街乗りからオフロード走行までこなせる
- 互換性の高いCUESでアップグレードの幅がある
CRUISE i CS 5080MIYATA(ミヤタ)
クロスバイクの手軽さと、電動モーターによるアシストを組み合わせたEクロスバイクです。パワフルなアシストのシマノのドライブユニットを搭載し、耐久性が高いCUESを組み合わせています。満充電からの走行距離はECOモードで90kmと、サイクリングにも十分対応できる性能です。
おすすめポイント
- 40cと太めのタイヤで快適な乗り心地
- 油圧ディスクブレーキでしっかり停まる
- サークル錠やベルなど標準装備が充実
よくある質問
CUESのカスタムや完成車について、よくある質問にまとめてお答えします。
ほかのコンポとの互換性はある?

CUESは、基本的にほかのシマノコンポとの互換性はないためミックスして使うことはできません。仮に同じ変速段数のコンポでも、ギアやチェーンの厚みなどが異なるため組み合わせると正常に作動しない可能性が高いです。例えば、2×10段のTiagraからCUESに交換する場合、コンポは丸ごと交換が必要になるということです。
古いロードバイクのコンポをCUESに交換できる?

年式の古いロードバイクでも、ドロップハンドル用のCUESならコンポまるごと交換で対応できる可能性があります。ただし、実際はフレームとの互換性なども関係してくるため、CUESが使えるかどうかは実物を見ないと判断できません。ご自身で判断する自信がない方は、信頼できるショップに相談するのがおすすめです。
油圧ディスクブレーキは選べる?

CUESは、ドロップハンドル・フラットハンドルどちらにも油圧ディスクブレーキの設定があります。ブレーキレバー・キャリパー・ローターなど、油圧ディスクブレーキに必要なパーツもそろっています。
フラットハンドルの場合はブレーキレバーとシフターが分かれているため、どのグレードでも油圧ディスクブレーキを選ぶことができます。ドロップハンドル用のSTIレバーは油圧ディスク・機械式ディスクの互換性がやや複雑なため、表にまとめました。
ドロップハンドルの場合、リア10~11段の場合は油圧ディスクブレーキを選べて、9段は機械式ディスクブレーキのみ対応となります。
CUESでレースは厳しい?

CUESは街乗り向けのコンポですが、レースに出場できないわけではありません。ドロップハンドルもあるため、CUESを搭載したロードバイクならレースを走ることも十分に可能です。ただし、CUESは競技向けに設計されていないため、レースで上位を目指すような本格的な使い方には向いていません。
CUESの変速段数はフロント2段、リア11段が上限です。シマノのレース向けコンポと言われている105以上のグレードはリアの変速段数が12段のため、CUESは走行性能や効率の点で若干不利になります。また、105以上のコンポなら変速効率の向上や軽量化のためにアップグレードが可能ですが、CUESだと不可能です。本格的にレースに出場する目的なら、105以上のコンポを選ぶのがおすすめです。
CUESで街乗りやサイクリング、カスタムを楽しもう!

次世代コンポとして登場したシマノのCUESは、街乗りやサイクリングに必要な耐久性や信頼性を備えています。また、パーツごとの互換性があるため、変速段数を増やしたり、フラットからドロップハンドルに交換したり、カスタムも楽しみやすいです。レースやイベントなどでスピードを求める方以外は、ぜひCUESを搭載したスポーツバイクやカスタムを検討してみてください。
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