女子プロさん、なぜ6番アイアンを抜いてショートUTを入れるのですか?
最近女子ツアーでは5・6Iを抜いてUTを入れるプロが増えている。今回はUTを多く使っている女子プロにそのメリットを聞いてみた。
青木瀬令奈は7Iをセッティングから外し、その代わりに『スリクソン ZX』(30度)に『アッタス MB HB 65R』を採用している。「30度のロフトに寝かせて、7Uとして使っています。シャフトの挿し方などを工夫して調整したようです。7Uと比べるとスピン量が約800回転増えたにもかかわらず、キャリーは同じでした」と、クラブに厚い信頼を寄せている。
大里桃子は4・5・6Uとして『G410』(22・26・30度)に『N.S.PRO 850GH neo S』シャフトを組み合わせて使用。「6Iを抜いて6Uを入れているのは、よりやさしいからです。球が止まりやすく、距離の計算もしやすい。アイアンよりはるかに楽で、とくにラフからのショットで威力を発揮します」と絶賛する。
新垣比菜も6Iをセッティングから外している。5・6・7Uとして『Qi10レスキュー』(25・28・31度)に『ベンタス HB 7S』を採用。「やさしいので6Uを入れています。昨年の夏ごろから6番アイアンは使っていません」と語る。
一方で、尾関彩美悠はUTをアプローチにも使用するという異色のスタイル。3・4・5・6Uに『スリクソン ZX Mk II』(19・22・25・28度)と『ディアマナ サンプ 90S』を採用している。「6Uは、深いラフでも6Iよりも球が上がりやすいので使用しています。また、春先はグリーン周りのライが悪いため、アプローチでも頼りにしています。6Uは、最も多用するクラブです」と話す。
アイアン中心のセッティングは、ウッドとアイアンでヘッド構造が異なるため、2種類のスイングを使い分けなければならない難しさがあると、ギアコーチの筒康博氏は指摘する。
「シャフト軸を中心に見たとき、フェースの芯の位置はユーティリティが前方、アイアンでは後方にあります。その差は約2センチ、つまりボール半個分です。この違いは意外と大きく、アイアンでは打点が後方にあるため、ボールを右寄りに置き、ダウンブローかつハンドファーストでロフトを立てるようにスイングしないと芯を捉えられません。ドライバーのように打点がシャフト軸の前方にあるクラブとは、全く異なるスイングが求められます。一方、ユーティリティはドライバーと同じく、打点が前方にあるため、ドライバーのようなスイングでナイスショットが可能です。つまり、ウッド系のスイングだけ覚えればよくなります。また、フェースの反発力や寛容性の面でも、ユーティリティにはメリットがあり、プロの間でも採用本数が年々増えているのです」
今回試打した最新のショートユーティリティでは、低スピンで直進性の高い飛距離重視タイプと、高打ち出しでスピンがかかる高弾道タイプに大別できることが分かった。
「モデルごとの性能を見極めるには、『フェース高』『シャフト長』『ネック高』『ソール角』の4点をチェックするのがおすすめです。これにより、モデルごとのスピン量、打ち出しの高さ、振り感が把握でき、自分の目的に合ったモデルが選べるはずです」(筒氏)
ユーティリティの本数を増やせば、ゴルフは確実にやさしくなる。この機会に「打てないアイアン」を抜き、高性能な最新ユーティリティの導入を検討してみてはいかがだろうか。
【今回試打したUTリスト】
テーラーメイド:Qi35 MAX
ピン:G440
キャロウェイ:ELYTE MAX FAST
ダンロップ:スリクソン ZXi
ヤマハ:インプレスドライブスター
ダンロップ:XXIOプライム
キャスコ:UFO AIR UT by POWER TORNADO
■試打・解説 筒 康博
つつ・やすひろ/過去の名器から最新クラブまで豊富過ぎる知識を持つ通称“ギアコーチ”。インドアゴルフレンジKz亀戸店でヘッドコーチとして、日々アマチュアの悩みに応えている
■試打・解説 小坂圭司
こさか・けいじ/インドアゴルフレンジKz亀戸店支配人。所属コースでクラブチャンピオンを取った経験を持つトップアマで、ドライバー飛距離は300ヤードを超える
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