元プロ選手も! 野球を土台から支えるスクールコーチ【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第162回
野球のスクールコーチについて語った山本キャスター
少子化が叫ばれる昨今ですが、その影響は子育てにかけるお金にも表れています。近年に中学受験が加熱している理由は、一人っ子が増えたことや、共働き家庭が増えて、家計のリソースを子供に割いているという背景があるんじゃないかと思います。
習い事にお金をかけるケースも多いそうですね。例えばサッカーなら、地元の少年団だけではなく、近隣のサッカースクールに通うお子さんもいるとか。習い事の"ダブルスクール"も増えているようです。
野球も例外ではなく、野球少年のための野球スクールが各地にあります。自分の住んでいる周辺を検索すると、たくさんヒットするかもしれません。
そして、プロ野球の各球団も少年少女のためのスクールを運営しています。もちろん我がヤクルトも、スクールに力を入れています。「東京ヤクルトスワローズベースボールアカデミー」は、杉並区や江戸川区をはじめ9つの地域で活動を行なっていて、週に一度、地域の運動公園など練習しているそうです。
野球スクールが盛んなのは、野球をやる場所が減っていることも理由のひとつだと思います。昔はどこにでも野球ができる場所がありましたが、今ではそんな空き地が少なくなり、気軽に野球ができなくなってきたからスクールに通う子が増えているのかも。
充実したコーチ陣もスクールの魅力だと思います。ヤクルトスクールのHPではコーチ陣が紹介されていますが、監督は元ヤクルトの度会博文さん。現役時代はシュアなバッティングで知られた"いぶし銀"な選手でしたが、最近では2023年のDeNAドラフト1位・度会隆輝選手の父、と言ったほうがピンとくる方もいるかもしれませんね。
シーズン始まって3週間。いい時も悪い時も、野球が見られる喜びを毎日感じています。
コーチ陣には村中恭兵さんの姿も。2005年のドラ1左腕で、2度の2桁勝利を挙げており、侍ジャパンにも選出されました。おそらく、お子さんをスクールに通わせる親御さん世代にはドンズバで、村中さんを見て興奮しないヤクルトファンはいないでしょう。自分が好きだった選手に、お子さんが指導してもらえるのはすごいことですよね。
一方でスクールは、元プロ選手のセカンドキャリアとしても注目ですね。引退後のキャリア形成の難しさが取り沙汰されていますが、このようなルートがあるのはとても素敵なことだと思います。
侍ジャパンの監督を務める井端弘和さんはU-12、U-15の監督も経験しました。日本代表の監督をやる上で、ジュニア世代の育成に力を入れたことも評価をされていた、と本人もおっしゃっていましたが、育成世代のコーチは選手を育てる喜びも大きいでしょうね。
スクールのコーチも、野球のプロフェッショナルです。2025年からは、佐藤貴規さんがヤクルトスクールのコーチになりました。ヤクルトファンには、由規さん(ヤクルトの二軍投手兼育成担当コーチ)の弟として知られています。
貴規さんは仙台育英高校から育成ドラフト3位でヤクルトに入団したものの、支配下登録は勝ち取れませんでした。その後、独立リーグなどでプレーしながらプロ入りを模索していましたが、果たせず。でも、スクールコーチとして再びヤクルトのユニフォームに袖を通すことになるなんて、すごいことですね。
最近は、私も甥っ子が大きくなってきたので、どこかのスクールに通わないのかなと勝手に悩んでしまったり......。子供は可能性の塊ですから、スクールのコーチは野球を土台から支えるとても尊い仕事なのだと思いました。
それでは、また来週。
構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作
記事提供元:週プレNEWS
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