吉本ばなな原作をアニメ映画化決定 奈良美智との交信から生まれた物語 湯浅政明監督「ひな菊の人生」

30カ国以上で翻訳・出版され、著者累計700万部を超えるベストセラー作家・吉本ばななの小説「ひな菊の人生」が、劇場アニメーション化されることが決まった。2026年に劇場公開される。
「ひな菊の人生」は、1998年から2000年にかけて月刊誌「CUT」で連載された、吉本ばななによる小説を読んで喚起されたイメージを奈良美智が描き、またその絵の力をイメージしながら吉本ばななが書くという交信から生まれた物語。
主人公は、幼い頃にただ1人の家族だった母を事故で亡くしたひな菊。長く寂しい梅雨の夜、小さなひな菊はひとりでたて笛を吹く。その音を聞きつけてはやって来る親友のダリアが、彼女にとって唯一の支えだった。ダリアが母の故郷ブラジルへと旅立ち十数年。大人になったひな菊は、叔父と叔母が営むお店で焼きそばをつくりながら居候生活をしている。梅雨のある日、母を亡くした夜と同じ土砂降りの中、ブラジルから1通の手紙が届く。そこには、遠く離れ、二度と会うことのなかった2人の孤独な魂の不思議なつながりが記されていた。
映画化するのは、「ピンポン THE ANIMATION」「映像研には手を出すな!」などを手掛け、「犬王」で第80回ゴールデングローブ賞にノミネートされた湯浅政明監督。2025年2月に設立した自身のスタジオ「ame pippin」の第1作として、ファンタジックなイメージとともに新しい映像体験に挑む。脚本には、「散歩する侵略者」「寝ても覚めても」など、実写映画でも活躍する田中幸子。幼少期のキャラクターは、奈良美智の原作挿絵をもとに制作する。アヌシー国際アニメーション映画祭2025の「Work in Progress」部門への選出が決定している。
湯浅政明監督らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。
【コメント】
■原作 吉本ばなな
常に同じものを見ている感じがする湯浅監督に撮ってもらうのは、私の夢でした!
湯浅監督は真の意味で「動き」を表せる人です。登場人物たちそれぞれの内面が動きになる瞬間を見ることができて幸せです。
■脚本 田中幸子
湯浅監督&ばななさんの原作&奈良さんのキャラ!この企画に携われてとても光栄です。監督の溢れる想像力を必死に受けとめ、人間のやさしさと繊細さと強さ、主人公の心の動き……大切にしたいことが山ほどあります。
■監督 湯浅政明コメント
ばななさんの中でも終始絵が想起される小説で、生々しく怖い部分がありながら、最後のくだりは、昔 自分が夢想していたような、とても嬉しい内容でした。
半径 100 メートルくらいの下町の焼きそば屋さんの人生を、宇宙規模で描きたいと思います。
【作品情報】
ひな菊の人生
2026年全国公開
記事提供元:映画スクエア
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