黄金期を謳歌…“世界最強”シェフラーが表彰台で男泣き 「メダルを持って帰れることは誇り」
<パリ五輪 最終日◇4日◇ル・ゴルフナショナル(フランス)◇7174ヤード・パー71>
「僕は感情的なタイプなんだ」。後半「29」の猛攻で、スタート時にあった4打差を逆転し金メダルを手にした世界ランク1位のスコッティ・シェフラー(米国)は、表彰台でこみ上げてくるものをこらえることができなかった。
「自分が生まれた国、アメリカ人であることを誇りに思っている。先日、体操女子の金メダルのセレモニーを見て感動していた。国を代表していることに誇りを感じている。国歌斉唱はとても特別なこと。国旗が掲揚され、そこに座って国歌を斉唱するのは、とても感動的だった」。今年の大会を含め「マスターズ」で通算2勝など数々の栄冠を手にしてきた男にとっても、表彰台から見る景色は特別だった。
スタート直後から3連続バーディを奪ったものの、「少し寒かった」という前半は4番以降、足踏みをすることになる。だがバックナインに入り、10番でスコアを伸ばすと、そこから再び真価を発揮。14番からは圧巻ともいえる4連続バーディを奪い、一足早くホールアウトすると、プレーオフに備え準備していた時に朗報が飛び込んできた。
ラウンド後の会見で、『この金メダルはゴルフ人生におけるレガシー(遺産)になるか』と聞かれると、「ゴルファーとしてのレガシーについてはあまり考えていない。競技をすることは世界で最も好きなことのひとつ。私の人生における大きな喜びだ」と答える。大事なのは、これが「一生懸命やって」手にしたものだということ。「金メダルを持ってここに座っていることを誇りに思う。自分の力を最大限に引き出そうとしているだけなんだ」。プレー中にはナーバスになることもある。だがそれも、勝利を目指すが故だ。
28歳にとって、今年は特別な年でもある。4月のマスターズ含め、すでに6勝と、まさに黄金期を謳歌している。5月にはメレディス夫人との間に第一子の長男・ベネット君が生まれた。「(長男誕生は)今年私たちに起こった最大の出来事で、とても特別なこと。家族が応援してくれた。最近、笑い方を覚えたんだ。試合が終わった後、彼の顔を見て、またとても興奮したよ」。そんな一年に、大きな勲章が増えたことになる。
まさに世界1位にふさわしい活躍を続ける。だがそんなシェフラーにとっても、後続のプレーを待っている間は平常心を保つことは難しかったという。「打撃練習場で立っているだけでかなり疲れた。リラックスすることに全力を尽くしたよ。ボールを打ちすぎて消耗するつもりもなかった。時にはナーバスになることもあった。そういう時は音楽をかけてリラックスした、少し練習して、体を温めようとしたんだ」。さまざまな思いが頭を駆け巡る時間を過ごした。
五輪のゴルフ競技で、逆転での金メダル獲得は今回が初めてのできごと。そして東京のザンダー・シャウフェレに続き、2大会連続で米国にゴルフの金メダルをもたらしたことになる。「今年のマスターズの後、ちょっと一人になりたくて、大泣きしたよ。ただ、国歌斉唱は本当に感動的だった。。長い1週間だったけど、きょうは素晴らしいゴルフができた。メダルを持って帰れることを誇りに思う」。何度も口にした“誇り”という言葉。それがパリで得た何にも代え難いものだ。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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