【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第35回 世界最速のW杯出場決定!! DFリーダー板倉滉、独占激白!
祝・W杯出場決定‼ DFリーダー板倉が独占激白
3月20日、埼玉スタジアム2002で行なわれたバーレーン戦に勝利し、開催国を除き世界最速となるW杯出場を決めた日本代表。昨年9月からのアジア最終予選を唯一、全試合スタメン出場で戦ってきた板倉滉が本誌だけに語ってくれた、大一番の裏側、そして本大会に向けた新たなる目標。
■重圧をはねのけ手にしたW杯出場3月20日、バーレーン戦。試合終了を告げるホイッスルが鳴った瞬間、僕は無意識に両腕を高々と上げた。「やった!」という達成感というよりも、正直、安堵感のほうが勝っていた。
昨年9月から始まった北中米W杯アジア最終予選。数字だけ見れば、点差のついた大勝、もしくは完勝できた試合がほとんどだったけれども、やはり最終予選というのはW杯への出場権がかかっているだけに、毎回が真剣勝負。
グループ同組にはオーストラリアやサウジアラビアといった強豪国がひしめき合い、緊張感とプレッシャーがすさまじかった。しかも、どの試合も準備期間はごく限られており、ほとんどぶっつけ本番。そういった状況をくぐり抜けて本大会出場を決められたのは、本当に良かった。
今回の3月シリーズに入る前までは、グループC組の2位以下は各国とも勝ち点差の開きがほぼなかったので、バーレーンもサウジアラビアも死に物狂いで勝ちにくることは覚悟していた。
サウジアラビア戦(3月25日、0-0で引き分け)はすでに僕らがW杯出場を決めた後の試合だったので、重圧のピークは過ぎていたものの、バーレーン戦は注目度も高く、大一番の勝負だっただけに空気感がいつもと違っていた。
バーレーンは強かった。何がなんでも勝ち点が欲しいという気迫が伝わってきた。ハイラインでコンパクトな守備を敷き、球際も強かった。攻守の切り替えも速く、僕らが思い描いていたサッカーをなかなかさせてくれなかった。
ただ、そういった試合展開になることも想定はしていたので、僕としてはしっかり集中してゲームに入っていくようにした。立ち上がりはあまり難しいことはせず、とにかくセーフティに処理することを心がけた。
前半9分、セットプレーでのMF遠藤航君による〝幻の先制点〟は惜しかった。タケ(MF久保建英)のコーナーキックに合わせ、ファーに走り込んだ僕は飛んできたボールを頭で折り返して、ゴール前へ。
航君が脚を伸ばし決めた瞬間は昨年の中国戦(9月5日)での先制点のようで超うれしかったけど、その後のビデオ判定で得点は無効となった。あのゴールが決まっていれば、その後の展開は相当楽になったと思うが......。
ただ、みんながそこで変に引きずることなく、すぐに気持ちを切り替えられたのは大きかった。僕は僕で、とにかく先制点を取るまでは絶対に無失点で抑えようと意識していた。耐えしのげば、徐々に試合のペースはつかめるはずだと信じていたからだ。
前半を終えて、0-0。無失点で抑えたことはポジティブに受け止めていた。後半、ハイラインの相手の裏を突いていけば、必ずスペースは空いてくる。そのチャンスが生まれるまで、じっと耐えた。結果は(MF鎌田)大地やタケの活躍もあり、2-0で完勝。クリーンシートを達成できた。
■カタールW杯、アジア杯の無念を糧に僕らDF陣に対して、〝急造3バック〟、あるいは人手が少なく大丈夫なのかという危惧の声があったのは承知している。確かにケガ人が続出、この最終予選を通じて固定メンバーで戦えたかといえば、そうではなかった。
ただ、それはサッカーの世界ではよくあること。誰々がいないから脆いと思われないように力を尽くした。もちろん守備陣が反省すべき点は多々あるけど、メンバーが目まぐるしく変わる中で一定の結果を残せたことには自信を持っている。
難しい戦いが続いた前回のアジア最終予選から約4年。振り返ってみると、22年カタールW杯直前での左足側副靱帯損傷、ベスト8をかけた決勝トーナメント1回戦・クロアチア戦は累積警告で欠場、23年秋には左足首の手術とリハビリ、そして昨年2月アジア杯準々決勝イラン戦でのPK献上による敗北など、いろんなことがあった。
特にW杯とアジア杯での無念は忘れたくても忘れられない。だが、そんな挫折の積み重ねがあったからこそ、今につながっている。それはほかのメンバーも同じ思いのはずだ。悔しさをバネにしてきたからこそ、開催国以外で世界最速のW杯出場決定を果たせた。
W杯出場への切符をつかんだのは「始まり」に過ぎない。僕らの目標は、あくまでW杯優勝だ。来年6月の開催まで、およそ1年半。
ここから先、準備期間としては割と余裕があるし、数々のテストマッチが組まれていくと思う。きっとレギュラー争いも激化するだろう。この先も代表から招集を受ければ、チームの一員として結果を出したい。
ただ、前提として、まずは個人でのレベルアップ、所属先での活躍が必須となる。もっともっと自分を高めていきたい。
板倉滉
構成・文/高橋史門 写真/アフロ
記事提供元:週プレNEWS
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