【独占】「0シリーズ」「AFEELA」ホンダ新型EV開発の舞台裏:ガイアの夜明け
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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1月24日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、今、自動車業界で最も注目されるホンダ。
日本経済を揺るがす大ニュース「ホンダ・日産の提携」の行方を握るキーマン=三部社長が放つ“2つのホンダ”の新EV開発に独占密着。100年に一度の大変革期の引き金となった中国やアメリカの新興EVメーカーに対抗する「0シリーズ」と「AFEELA」。それぞれの拘りを持った戦略を独占取材した。
【動画】独占「0シリーズ」「AFEELA」ホンダ新型EV開発の舞台裏
最新技術のひのき舞台で主役を狙え!日本メーカーの逆襲
2040年までに、全ての新車販売をEVなどの電動車にする目標を掲げたホンダは、その計画に向け動き出していた。「N-VAN e:」はその第1弾として投入された。
1月。アメリカ・ラスベガスで開催されたのは、世界から4500以上の企業が出展する最新技術の見本市「CES 2025」。イベントの主役は、半導体からカメラ、センサーまで最先端の技術を搭載するEVで、多くのメーカーが参加している。
この舞台に社運をかけて挑んだのがホンダだ。「0シリーズ」と名付けた新たなブランドで、旗艦モデルの「サルーン」とSUV型のコンセプトカーをお披露目し、2026年以降に、日米などで販売を始めると発表した。
同じ会場の別の場所でも、ホンダが注目を集めていた。ソニーとタッグを組んで作った「AFEELA 1」は、車内をエンターテインメント空間に変える新しい乗物。「CES」で世界の話題をさらったホンダを率いるのが、三部敏宏社長だ。
本田宗一郎氏が1948年に創業したホンダは、バイクの製造から始まった会社。その後、自動車エンジンの技術を磨き上げ、ホンダジェットで空にも飛び立った。
自動車販売台数は年間約400万台で世界第8位のメーカー(出所:マークラインズ)。
4年前からホンダを率いる三部社長は、「2040年の電動化100%」に向け、「0シリーズ」を強力に推し進めてきた。
「新しい時代、100年に一度の変革期は変えるチャンスでもある。時代が安定していると車も変えにくい。今回、ゼロから考えようと思い切って変えてみた。ホンダを買いたいと思ってもらう価値を創らないと、この変革期には追従できない」と話す。
第二の創業 ホンダ「0シリーズ」で挑む!
埼玉・和光市。この日、ホンダの開発の最高機密を扱う拠点に、世界で初めてテレビカメラが入った。
ここを使っているのはデザイン部門で、壁に貼られていたのは、2026年発売する新型EV0シリーズ「サルーン」のデザイン画。クレイモデルという粘土で作られた模型の表面を削っているのは、モデラーと呼ばれるプロ集団だ。
デザイナーが描いたイメージを立体に起こす重要な役割を担い、性能にも大きく関わる細部は、ミリ単位で削り出すことが要求される。
作業を見守るのは「0シリーズ」のデザインを統括する南 俊叙さん。美大を卒業後、1990年に入社。主力車種のシビックやアコードなどを手がけ、現在はホンダ車全体のデザインを統括する最高責任者だ。
粘土から形を削りだすことに時間をかけるのには、ホンダ伝統のこだわりが。
「人が使うものなので、人のこだわり、魂を入れることはすごく大事。それが我々のデザインのやり方。次の時代の自動運転に関わるセンサーが出ているが、それも美しくアートになるように見せたい」(南さん)。先進技術を詰め込む「0シリーズ」ならではの難しさもある。
10月、栃木・芳賀町にあるテストコース。「0シリーズ」の走りなど、ハード面を統括するのが、秋和利祐さんだ。秋和さんはホンダ一筋29年、長年エンジン開発に携わってきた技術者で、エンジンがない「0シリーズ」は秋和さんにとっても新しい挑戦だった。
実はこの車、外見は市販のアコードだが、中身はEVの技術を結集した最先端の開発車両。重要な試乗会に向けて、秋和さんは自らハンドルを握り、チーフエンジニアの森達也さんと仕上がりを確認する。
1時間後、テストコースに現れたのは、自動車業界を専門的に扱う世界の有力メディアの記者たち。「0シリーズ」の技術を一足早く試してもらうと、「非常に良かったです」と話す記者も。
栃木・さくら市にあるテストコースでは、ある技術を進化させる取り組みが行われていた。
直進する車の前にバイクが突然飛び出すと、車が自動で衝突を回避、その後、再び自動で走り出した。ドライバーは乗っているが、全てAIが制御する自動運転だ。
ホンダは4年前、高速道路限定で使える世界初となる自動運転車を発売したが、今回目指すのは、より複雑な環境の街中でリスクを回避する自動運転。最上級の安全性を目指すシステムだ。
「自動運転は快適さも重要だが、世の中の事故をゼロにするという目標を掲げて、まずは0シリーズから搭載する」(技術者)。
12月下旬。北海道・鷹栖町にある、アメリカやヨーロッパの道路を再現したテストコース。この日は、「0シリーズ」の走りを支える新たな制御技術を試そうと、あの開発車両を持ち込んでいた。栃木のコースで磨いてきた足回り…過酷な寒冷地での反応を確かめるためだ。
気温-6℃、雪が降り積もる道を開発車両が爽快に駆け抜ける。実は「0シリーズ」は、二足歩行ロボット「アシモ」の姿勢制御技術を活用しており、「誰が乗っても乗りやすい設定になっている」と森さん。こうした場所でテストを重ねることで、寒さに弱いとされるバッテリーの状態を確認する狙いもあった。
「ホンダの車は意のままに走れて、運転苦手な人でも安心して乗ってもらえる。EVはバッテリーの分、今までの車より重くなるが、それを感じさせない走りができる。ちょっと自信がついた」(森さん)。
ラスベガスでの見本市を1カ月後に控えた12月。「0シリーズ」の最終確認をするため、三部社長が研究開発拠点を訪れた。デザインと技術、ホンダが持てる力を結集した「0シリーズ」だが、その仕上がりは…?
異業種タッグが生み出す新たなモビリティとは
2022年3月。ホンダとソニーの新会社設立に向けた会見が行われ、ホンダが異業種とタッグを組んだ電気自動車「AFEELA」の開発が動き出した。
「我々ホンダは自動車産業の中で生きているので、自動車の壁を破るような新しい発想や考え方が出てこないという気がしていた。違う業種の人たちの考え方や観点が少しあった方が、一つ飛び抜けたイノベーションにつながるのではないか」(三部社長)。
「ソニー・ホンダモビリティ」(東京・港区)のオフィスでは、ソニーとホンダ出身の社員を中心に約300人が働いている。デザイン会議もバーチャル空間が中心で、デジタル技術を駆使したスピード感でデザインを決めていく。従来の車づくりとは一線を画した手法だ。
「AFEELA」もラスベガスでの見本市を大きな目標にしていた。開発中の車体を入念にチェックするのは「ソニー・ホンダモビリティ」副社長・山口周吾さん(ソニー出身)で、山口さんは見本市で「AFEELA」の予約開始を発表しようとしていた。
去年7月、ドジャー・スタジアムにソニーミュージック所属のアーティスト「Creepy Nuts」を呼び、「AFEELA」を持ち込んでアピール。野球ファンの評判も上々だった。
ソニー・ホンダのアメリカ本社は映画制作スタジオ「ソニー・ピクチャーズエンタテインメント」内にあり、ここが山口さんのアメリカでの拠点。ソニー時代、大ヒットしたカメラ「α」の立ち上げなどを担当した山口さんは車を売るのは初めてだが、日本メーカーとしてはかつてない販売方法を考えていた。販売店を一切持たず、ネットだけで勝負するというのだ。そのために必要となるサービスの拠点作りも始めていた。
その頃、日本では中国の電気自動車メーカーが攻勢をかけていた――。
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記事提供元:テレ東プラス
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