新人、現役ドラフト、戦力外、新外国人......プロ野球2025「期待度MAX」新戦力はこの13人だ!!
中日・投手/金丸夢斗 「うまくハマれば、ルーキーイヤーの東クラスで活躍する可能性も」(お股ニキ氏)
"東 克樹クラス"の活躍が期待される大卒左腕、戦力外から再起を誓うベテランリリーバー、"禁断の移籍"が実現した30歳右腕など、活躍が期待される各球団の新戦力を一挙紹介!
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■即戦力も素材型もめじろ押しの新人いよいよキャンプイン目前。今季のプロ野球を盛り上げる新戦力は誰なのか? まずは期待の新人から見ていこう。
『週刊プレイボーイ』本誌おなじみの野球評論家、お股ニキ氏が真っ先に名前を挙げたのは、ドラフト会議で4球団競合の末、中日が獲得した左腕の金丸夢斗。お股ニキ氏が以前から太鼓判を押していた逸材だ。
「大学3年時には、立命館大学時代の東 克樹(DeNA)クラスで実力がずばぬけていましたし、侍ジャパンに招集された1年前の時点ですでにプロの表ローテ級でした。広いバンテリンドームで投げられるので、ケガがなければ防御率2点台は確実です」
実際、1年前の侍ジャパンでは2回を打者6人で抑え、4奪三振、最速151キロと無双してみせた。具体的には何がすごいのか?
「ストレートの質、抜群のコントロールに加えて、変化球も多彩。フォークとチェンジアップが投げ分けられる上に、カーブ、スラッター、カットボールもキレがあり、プロの1軍捕手が要求するとおりに投げられます。このまま何も変えずに勝負してほしいです。うまくハマれば、ルーキーイヤーの東クラスで活躍する可能性もあります」
ソフトバンク・投手/村上泰斗 「井上温大の右腕版のような投げ方。ストレートも変化球も質が高い」(お股ニキ氏)
もうひとり、即戦力ではないものの、お股ニキ氏が才能を高く評価するのがソフトバンク1位の村上泰斗だ。
「高校最後の夏は甲子園に出られませんでしたが、ソフトバンクのスカウト陣は測定器を持ち込んで村上を調査するなど、甲子園そっちのけでほれ込んだ逸材です」
新聞報道によれば、最速153キロのストレートのスピン量は2500回転超、スライダーは2600回転台を計測。いずれもソフトバンクのエース、リバン・モイネロに匹敵する数字だという。
「〝井上温大(巨人)の右腕版〟のような投げ方で非常にいいフォーム。ストレートも変化球も質が高いです。私自身、高校2年時から期待していた逸材なので、将来が非常に楽しみです」
阪神・投手/伊原陵人 「阪神が好む実戦的な好投手で桐敷拓馬や伊藤将司と同系統」(お股ニキ氏)
ドラフト1位投手ではもうひとり、阪神の左腕、伊原陵人を挙げる。金丸を競合で外した阪神が次なる即戦力左腕として指名した投手で、藤川球児新監督もかつて背負った18番を託されたことからも期待の高さがうかがえる。
「見栄えのする派手な投球をするわけではないものの、社会人出身で完成されていて、とにかくバランスがいい。阪神が好む実戦的な好投手です。桐敷拓馬や伊藤将司と同系統で、彼らのちょうど中間のようなタイプといえます」
広島・投手/佐藤柳之介 「ストレートの質はかなりいい。成瀬善久と同じタイプです」(お股ニキ氏)
左腕ではさらに、広島2位の佐藤柳之介も高く評価している。
「最速148キロとそこまで速くないですが、映像を見る限り、ストレートの質はかなりいい。成瀬善久(元ロッテ、現BC栃木)や伊藤(阪神)と同タイプです。黒原拓未もそうですが、広島はこういうキレのいい左腕が好きですね」
同じ富士大学出身選手では、ソフトバンク3位の最速152キロ右腕の安德 駿も注目度が高い。大学4年間で球速が16キロもアップしたというエピソードを持つ投手だ。
「最近では金村尚真(日本ハム)も富士大学出身ですが、プロで通用させるためのノウハウを大学として持っているのでしょう。安德も投げ方やストレートの質、伸びは相当いい。変化球が良くなれば森下暢仁(広島)のように先発もできるイメージですが、まずは中継ぎとして使われるのではないかと思います」
ソフトバンクは昨季も新人の岩井俊介、大山 凌、澤柳亮太郎らを中継ぎで積極起用しただけに、お股ニキ氏の見立てどおり、ブルペンを支える存在になるかもしれない。
日本ハム・投手/柴田獅子 「二刀流に挑戦する素質はある。打撃は明らかにレベルが違う」(お股ニキ氏)
一方、打者でまず名前が挙がったのは、日本ハムがソフトバンクとの競合指名の末に勝ち取った柴田獅子(登録は投手)。二刀流として注目の逸材だ。
「二刀流に挑戦する素質はあります。投手としては『高校生にしてはいい』というレベルですが、打撃は明らかにレベルが違う。同じく日本ハムで二刀流に挑戦している矢澤宏太と比べると、投手では見劣りしますが、打者の素質は上回っていると思います」
ほかに即戦力として注目の野手といえば、5球団競合の末に楽天入りした宗山 塁が話題だが、お股ニキ氏が推すのはその宗山と広陵高校時代の同期、西武2位の渡部聖弥だ。大学日本代表で4番を打った経験もある右の強打者は、貧打に泣く西武の救世主となれるのか?
「プロで通用する打ち方をしていて、センターやライト方向にも本塁打が打てます。牧 秀悟(DeNA)のドラフト時と同様、『この選手が2位で残っているの!?』という、西武にとっては幸運な指名でした」
もっとも、渡部が活躍できるかどうかは、西武という環境にどう向き合うかが重要になるという。
「以前の西武は山川穂高(ソフトバンク)や浅村栄斗(楽天)らを筆頭に、若手時代は徹底的に振り込ませて育て上げたはずなのに、最近は練習量も少ない状況と聞きます。周囲に流されず、しっかり振り込んでプロのレベルに早く順応してほしいです」
■毎年ブレイクする現役ドラフトの期待株は?
巨人⇒阪神・投手/畠 世周 「巨人の投手が阪神へ移籍するのは41年ぶり。その期待に応えられるか」(お股ニキ氏)
毎年ブレイク選手が出てくる現役ドラフト。今回の注目株は誰なのか? お股ニキ氏は、巨人から阪神へ移籍した30歳の畠 世周の名をまず挙げた。
「球種は豊富で良いものを持っているのに、球の強度、メンタルの弱さでいまひとつ物足りなさがありました。味方が点を取ってくれた次のイニングで力んで乱れてしまいがちですが、そこを改善できるかが鍵を握ります」
阪神といえば一昨年は大竹耕太郎、昨年は漆原大晟と、2年連続で現役ドラフト投手を再生させた実績があるだけに期待は大きい。
「甲子園は広いし、投手再生に長けている阪神なら、いい部分をしっかり引き出せる可能性はあります。巨人の投手が阪神へ移籍するのは41年ぶりという点からも注目度は高く、その期待にうまく応えられるかどうか」
一方、野手の現役ドラフト組では、ソフトバンクから日本ハムに移籍した24歳の吉田賢吾の名前が挙がった。1軍実績はほぼないが、2軍では2年連続で打率3割をキープしている右の強打者だ。
「日本ハム移籍後にオールスターに選出された郡司裕也やアリエル・マルティネスと同タイプの強打の捕手です。打撃は非常にいいものを持っているだけに、郡司を開花させるなど野手の目利き力がある新庄剛志監督なら、コンバートも含めてうまく良さを引き出せるかもしれません」
問題はこの手の選手が日本ハムでは飽和状態なことだ。
「吉田も郡司やマルティネスのように守備位置にこだわらず、与えられた場所で輝く気概を見せてほしいです」
■戦力外から再起を誓う元阪神の男たち
阪神⇒楽天・投手/加治屋 蓮 「実力は間違いないだけに、本来の力を発揮できればまだ活躍できるはずです」(お股ニキ氏)
続いて、戦力外からの逆転劇を狙う選手たちを見ていこう。阪神を戦力外となった33歳の加治屋 蓮は楽天と契約。昨季は13試合登板で防御率4点台と振るわなかったが、一昨年は51試合に登板して日本一に貢献した右腕だ。
「勝ちパターンクラスの力を持っていますが、展開に関係なく使われる傾向があり、疲弊したようです。実力は間違いないだけに、本来の力を発揮できればまだまだ活躍できるはずです」
ただ、楽天のブルペンには侍ジャパンに選ばれた鈴木翔天、藤平尚真がおり、競争は必至だ。
「楽天のブルペン争いが激しいのは間違いないですが、加治屋はフォークが良く、速球は握り次第で改善の余地があります。岸田行倫(巨人)にサヨナラ弾を浴びて以来、封印しているカットボールも本来はいい球なだけに、もっと有効活用してほしいです」
阪神⇒DeNA・投手/岩田将貴 「阪神では評価されなかった左サイドという特殊性も、DeNAは活用しそう」(お股ニキ氏)
阪神から戦力外になった投手では、ほかにもDeNAと契約した岩田将貴に注目。まだ1軍登板実績のない26歳の左のサイドスロー投手だ。
「DeNAはソフトバンク戦力外の笠谷俊介も獲得。1軍実績でいえば笠谷ですが、岩田を支配下、笠谷を育成として契約しました。私の見立ても同じで、阪神では評価されなかった左サイドスローという特殊性も、DeNAはうまく活用しそうです」
DeNAといえば、オリックス戦力外から獲得したアンダースローの中川 颯、ロッテから現役ドラフトで獲得した佐々木千隼、楽天からトレードで獲得した森原康平と、他球団出身のバラエティに富むブルペン陣が特徴だ。岩田はその中に割って入ることができるのか?
「MLBでもレイズなど、さまざまなタイプの投手をブルペンに置き、チームとして多種多様なアングルから投げる球団もあります。これをやられると相手打線は目線が変わってなかなか打てませんが、DeNAもそのような投手編成を目指しているのかもしれません」
■投打で期待がかかる新外国人選手最後に新外国人選手からも注目株をふたり挙げてもらった。まずは阪神が獲得した最速157キロ右腕、ジョン・デュプランティエだ。
「映像で見る限り、球の質が良く、強度もある。変化球はスイーパー、カッター、カーブ、チェンジアップ、ツーシームと種類も豊富。昨季、先発で活躍したジェレミー・ビーズリーにも似ています」
先発での起用が有力視されているが課題はないのか?
「以前は課題だった制球力もまとまり出しており、走者を出したときに乱れがちだった点も改善し始めています。阪神お得意の〝鳴尾浜での魔改造〟でさらに良くなる可能性もあり、期待できそうです」
巨人・外野手/トレイ・キャベッジ 「振りの強さを生かすには、岡本の前を打たせたほうが勝負してもらえそう」(お股ニキ氏)
もうひとりは巨人が獲得したトレイ・キャベッジ。アストロズやエンゼルスでのプレー経験がある右投げ左打ちの外野手だ。昨季、エンゼルス傘下の3Aでは打率.306、本塁打30本、32盗塁でトリプルスリーも達成している。
「守備力も脚力もあるようで、アストロズが契約した点からも一定の資質はあるはず。ただ、この手の右投げ左打ちの外野手はこれまでNPBで結果を出せていません。
阿部慎之助監督は岡本和真の後を打つ5番起用の方針のようですが、キャベッジの振りの強さを生かすには、むしろ岡本の前の3番を打たせたほうが勝負してもらえそうです」
新戦力の中から実際にブレイクできる選手は何人いるのか? キャンプでどれだけアピールできるかも含めて、球春到来が待ち遠しい!
文/オグマナオト 写真/時事通信社 アフロ
記事提供元:週プレNEWS
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