北陸新幹線敦賀以西の来年度着工に向け最終局面 国会論戦と与党PTヒアリングから(福井県、京都府)【コラム】
北陸新幹線敦賀~新大阪間延伸をめぐる議論が最終局面に差し掛かっている。路線や駅位置の実質的な決定権を持つ、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(与党PT)
しかし、国土交通省と鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)が2024年8月に与党PTに提出した資料では、工期は想定より大きく伸びて最短20年、最長28年程度、事業費も当初試算の2倍超に当たる5兆円超に膨らむ可能性があり、与党PTの見込み通りに進むかどうかはいささか不透明な状況だ。
北陸新幹線敦賀~京都~新大阪間は2016年、小浜京都ルート採用が政府方針として決定したが、これに異を唱えるのが日本維新の会の前原誠司共同代表。
2024年12月3日の衆議院本会議代表質問では、「国土強じん化や経済発展のためには、早期の新大阪までの全線延伸開業が必要」としたうえで、「(政府は)小浜ルートありきに固執することなく、(早期開業が期待できる)米原ルートも比較検討すべき」と主張した。
前原共同代表は京都2区選出で、地元では小浜京都ルートの地元負担増加や環境影響を懸念する声が上がる。こうした状況を踏まえ、課題の多い小浜京都ルートに代わり、いったんは消えた米原ルートの再考を求めたとみられる。
前原氏の質問に対し、石破茂総理は「与党PTは速達性や利便性を総合的に考えて小浜京都ルート採用を決めたと承知している。政府としては1日も早い全線開業を目指していく」と回答した。
一方、与党PTは2024年12月4日から関係自治体やJR西日本へのヒアリングを始めた。報道を総合すると、会合に出席した福井県の杉本達治知事はスケジュール通り2025年度末までの着工をあらためて主張するとともに、事業費アップに伴う沿線自治体の負担増に懸念を示し、配慮を求めた。
JR西日本の長谷川一明社長は、北陸新幹線の京都駅について「(現在の東海道新幹線や在来線の)京都駅に近い位置が望ましい」と求めた。国交省・JRTTは北陸新幹線京都駅について、ともに現在の京都駅に接続する東西案と南北案のほか、京都駅から離れて新幹線新駅を整備する桂川案の3案を提示している。
また、長谷川社長はこれまでの会見で米原ルートは終点の米原で北陸新幹線から東海道新幹線への乗り継ぎが必要になることをとらえ、「実現は困難。(北陸新幹線は)首都圏、北陸、関西圏を一気につなぐ、新しい国土軸を形成することが望ましい」と主張してきた。
与党PTはあす12月13日の会合で京都府と京都市、大阪府の意見をヒアリングした上でルートや駅位置を最終判断する。
記事:上里夏生
記事提供元:鉄道チャンネル
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