飛ばし屋・幡地隆寛が大会レコードで“完全覚醒” 「ZOZOチャンピオンシップ」出場圏内に
<バンテリン東海クラシック 最終日◇29日◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7300ヤード・パー71>
1打差の3位から出た幡地隆寛が「65」とスコアを伸ばし、逆転優勝を飾った。トータル17アンダーは昨年、木下裕太がマークした15アンダーを2打更新するトーナメントレコードとなった。昨年まで下部ツアーを含めて優勝経験はなかったが、今年3月にアジアンツアーの「ニュージーランドオープン」でプロ初優勝を果たしたのを皮切りに、国内ツアーでも5月の「関西オープン」に続く2勝目。今年6月に31歳になったツアーきっての飛ばし屋が“完全覚醒”した。
「誰が勝ってもおかしくない混戦になるんだろうなと思って、現実逃避と言いますか、その中で自分は勝たないんだろうなという気持ちでスタートしました」。優勝を経験したことで生まれる余裕なのか、勝ち方を覚えたというべきか、幡地は自分にプレッシャーを掛けることなく、最終日に臨んでいた。
そんななか、1番パー4のティショットは大きく右に飛び出しあわやOB。2打目は木の下を抜くしかない状況だった。「めちゃくちゃピンチでした。枝の下をくぐらすつもりが、ちょっと高く出て、打った瞬間、当たったと思ったのが枝の上を抜けて、そこからバンカーでワンクッションして…。バンカーでいいかなと思っていたのがグリーンに乗ってくれたんで、ツイてるな、勝つ運があるのかなとちょっと意識しました」。ティショットも、2打目もミスだったが、結果的には奥から6メートルを沈めてバーディ発進。波に乗るには十分だった。
想定通りの混戦となった終盤はスーパーショットで抜け出した。左サイドに崖が待ち受ける名物ホールの16番パー3では「しっかり怖がらずに左からフェードで攻めてOKバーディ」。実測184ヤードを7I。今大会の最難関ホールを攻め切ったこの一打で優勝を一気に手繰り寄せた。
初めて三好CCでプレーしたのは2011年の「日本アマ」。高校3年生だった幡地は2日間でトータル12オーバーを叩き、決勝のマッチプレーには進めなかった。ただ、プロになってからは相性がいい。「2019年にこの大会に初めて出てから予選落ちはしていなくて、毎年、この大会を機に調子が上がっていく。年々、イメージが変わって、回りやすくなっているので、自分が上手くなっているという目安にもなっていますね」。大会レコードを更新しての優勝は確かな成長の証となった。
この優勝で賞金ランキングは8位に浮上。2週後の「日本オープン」終了後のランキングで決まる日本開催の米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(10月24日開幕、千葉県・アコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブ)の出場権内に入った。赤のシャツ、黒のパンツで最終日をプレーした幡地は「このウエアで分かると思うんですけど、タイガー・ウッズが大好きなんで、ウッズが出ている試合に出てみたい。今回ウッズは出ないと思いまずが、まずは米ツアーに触れてみたいという意識はありますね」。一昨年は米下部ツアーのQTに挑戦。現在は来年の再挑戦を考えているが、その前に目指してきた舞台を経験するチャンスでもある。
「今年は昨年の獲得賞金を超えるのが目標だったのですけど、これで達成できました。次は日本オープンで勝ちたいです」。日本一の称号もさることながら日本オープン優勝の5年シードは海外挑戦を目指す選手にとって大きな魅力。飛距離だけではない強さを身に付けた今の幡地なら昨年3位のリベンジを果たす可能性は十分にありそうだ。(文・田中宏治)
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