練習ラウンドで何をやっているの? グリーン状況のチェックや戦術を立てる機会「練習日から勝負は始まっています」【大西翔太のHOTSHOT】
イチオシスト
青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太が、好調な選手や注目選手の強さのヒミツ、女子ツアーでの流行など現場からのホットな情報をお届けする。今回は奥が深い練習ラウンドのお話。
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各大会の開幕前には練習日が設けられている。仲のいい選手とただゴルフをしているわけではない。コースの状況を確認したり、取り組んでいるスイングがコースでできているかのチェック、マネジメントを考えるための時間だ。「勝負は練習日から始まっています」と大西コーチ。実際、どんなことをやっているのだろうか。
練習日は本番とは違う位置にピンが切られている。「練習日はピンを狙わずに、試合のピンを想定して打ったり、アプローチの練習するのが鉄則です」。3日間大会なら3カ所、4日間大会なら4カ所と日ごとにピン位置が変わる。例年のデータやグリーンの形状から試合のピン位置を想定する。練習ラウンドで最も大切なのは、グリーンコンディションの把握だという。
「ヤマハレディース葛城」の7番パー3(175ヤード)を例に挙げる。グリーンの手前と奥の左右それぞれにガードバンカーがあり、左の谷はOBで奥は崖。奥からのアプローチは難しく、オーバーは禁物だ。
「7番は右奥にピンが切られる日が必ずあります。それを想定して打ちます。大切なのは、グリーンに着弾してから何ヤード転がったか。例えば8ヤード転がった場合、試合中もグリーンが同じコンディションならば、『ランは8ヤード』と分かっているので、奥ピンの時はこのクラブで大丈夫と安心材料ができます。逆にランが出ないグリーンならば、デッドに狙ってOKとなります」
ランが出る場合は、キャリーとランを計算して使用する番手、狙う位置を決めるのがマネジメント。雨や風がある場合は、それにプラスアルファをして計算する。逆に8ヤード転がると知らずにピンをデットに攻めると、行ってはいけない奥まで転がってしまう。
「使用クラブや狙いどころを間違えると、ナイスショットがナイスショットではなくなります。いいショットを打っているのにボギーにしたら流れが悪くなってしまいます。グリーンの状況を把握して、ピン位置から逆算して、ティショットから組み立てることが大事です。ナイスショットをいい結果にするために練習ラウンドが重要です」
グリーンを外した時も想定して、アプローチの練習をする。仮想ピンに対して「寄せられそう」「寄せられなさそう」と実際に感じることで、行ってはいけないところの確認なども行う。「同じガードバンカーでもピン位置によっては入れていいバンカー、入れてはいけないバンカーと変わります」。ピン位置によって狙いどころ、マネジメントの仕方が変わってくるという。
「いいショットを打って1打を失うのか、チャンスにつけるのか。その1打を減らすために練習ラウンドをして、本番のマネジメントを考えているのです」
青木瀬令奈は前日の練習ラウンドで、雨で湿ったグリーンが例年より重いと感じた。普段は高速グリーンで知られる葛城GC。ベテラン選手ほどそのイメージがついている。「練習ラウンドで重いと感じたら、ラウンドすぐに練習グリーンで重いグリーンに慣れるように意識的にボールを転がしています」。例年のイメージを払拭するための作業に力を注いだ。
何事も準備は大切だが、ゴルフにおいても練習ラウンドのやり方はとても重要だ。1打で明暗を分けることもあるゴルフ。目に見えない試合前の準備が結果を分けている。いい練習ラウンドができた選手がその週のリーダーボードの上位に名前を連ねるといっても過言ではない。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務め、24年からは安田祐香のコーチングも行っている。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。大西翔太プロデュースの練習器具「Sho_izm(ショーイズム)」シリーズ(朝日ゴルフより全国のゴルフショップにて販売中。豊富な知識を生かして、今年はテレビ解説も行うなど活躍の場を広げている。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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