元戦場カメラマンVTuber・旅野そら、レバノン・シリアを取材 ヒズボラ兵と同乗、同行軍人の家は空爆で破壊 紛争地渡航の全貌を語る

イチオシスト
元戦場カメラマンの女性VTuber「旅野そら」(登録者数7万人)が3月17日、約2週間の活動休止を経て復帰配信を実施。休止の理由はレバノンとシリアへの紛争取材であり、レバノン到着からわずか約2時間後にイラン-イスラエル間の戦争が本格化するという体験を語りました。
旅野そらは2024年3月に活動を開始した女性VTuberで、元戦場カメラマン・元週刊誌ライターの経歴を持ち、国際政治や紛争についての解説配信を軸に活動しています。2025年にはウクライナの戦地取材も実施していました。
出発前から始まっていた”戦争との駆け引き”
旅野そらは元々、中東の複数国を回る取材計画を立てていたといいます。しかし出発が近づくにつれ、トランプ大統領によるイラン空爆の可能性が日増しに高まり、計画を何度も修正せざるを得なくなりました。開戦すれば国境が封鎖され出国不能になるリスクがあるとしてイランへの入国は断念。湾岸諸国の空港が攻撃対象になれば帰国手段が断たれるとして、湾岸経由の航空ルートも避け、あえて遠回りの経由地を選んだといいます。最終的に決まったプランは、比較的脱出しやすいと判断したレバノンを拠点にシリアを取材し、情勢次第でイラン入りも検討するというものでした。
経由地で通知が殺到、搭乗ゲートは何度も変更
日本を発ち、経由地の空港でWi-Fiに接続した瞬間、スマホに通知が殺到したといいます。「米国民宛にイラン退避勧告、原油価格高騰みたいなニュースがブワーッと来て、『え?これ完全にあれなやつじゃん』」と。
この時点ではまだ開戦には至っていなかったものの、航空会社はレバノン行きの便を飛ばすかどうか判断しかねており、出発は大幅に遅延。搭乗ゲートが何度も変更されたにもかかわらず乗客への案内は一切なく、レバノン行きの乗客同士が空港内を走り回ってゲートを探すという混乱が起きていたと振り返りました。
「あと2時間で戦争が始まるよ」
遅延の末、なんとかレバノンの首都ベイルートに到着。空港で待っていた現地ドライバーの第一声は「来ないと思ったよ。もうすぐ戦争始まるからさ」というものでした。
なぜそんなことが分かるのかと尋ねると、レバノンの武装勢力であるヒズボラの戦闘員たちが「今日戦争が始まる」と言って朝から準備に走り回っていたのだといいます。ヒズボラはイランから軍事支援を受けており、イランが攻撃されれば共同戦線を張る関係にあります。実際、ベイルート市内には普段より多くの軍人がおり、緊迫した空気が漂っていたと語りました。
ヒズボラ兵士がヒッチハイクで同乗
移動中には、旅野が乗る車になんとヒズボラの兵士が乗り込んできて、しばらく同乗することになったといいます。その兵士は、ヒックハイクをしていたといい、旅野はドライバーから「かわいそうだからしばらく乗せてあげて」と言われて承諾したとのこと。
旅野によれば、ヒズボラ兵の月給は約300ドル(約4万7000円)。一方でレバノンは日本よりも物価が高いらしく、この給料では公共交通機関の運賃すら厳しい水準なのだとか。旅野はこうした金銭事情からヒッチハイクをしていると推察しています。
ヒズボラ兵は車内で完全に無言。厳しい表情で俯いたまま一言も発さず、写真撮影も拒否されたといい、旅野は「そらがヒヨッてしまって取材ならず」と報告しました。
空爆の音にビクつくと「そよ風だから」
シリア南部のイスラエル国境に近い地域では、滞在中ずっと空爆の音が鳴り響いていたといいます。爆音のたびにビクッとする旅野そらに対し、現地の人々は「これぐらいの空爆はそよ風だから」と笑い飛ばしたのだそうです。湾岸諸国が空爆に大騒ぎしているニュースを見ては「あの人たちは大げさだな」とイジる余裕すらあり、旅野は「雪国の人が東京人が雪で困ってるのを見て笑う」感覚で戦争慣れマウントを取られたと苦笑しました。
さらに衝撃的だったのは、同行していた地元軍人の自宅がイスラエルの空爆で破壊されたことです。しかしその軍人は取り乱すこともなく、「親から今連絡があった」と怒りを見せつつも、そのまま旅野の警護を続行したといいます。
帰国も命がけ――航空券30万円の脱出劇
取材を終えた後も試練は続きました。経由地までの便がキャンセルされたことで、連動して日本行きの区間も使用不能に。シリアは経済制裁下にあるため国際電話もVPNも使えず、ネットでの航空券購入すらできない状態だったといいます。航空会社にメールを送り続けるも返信はなく、検索で出てくる航空券は50万〜100万円。最終的に残り1席だった約30万円のチケットを買い直し、なんとか帰国にこぎつけました。
唯一の救いは、レバノンの国営航空が「俺は意地でも飛んでやるぜ」という姿勢で運航を続けていたことでした。外国の航空会社がベイルートへの離着陸を拒否するなか、レバノンの航空会社だけは2024年の大規模空爆時にも便を飛ばし続けた実績があり、今回もレバノンからの脱出自体は可能だったと語っています。「もうユーラシア大陸を陸路で横断しようかと思った」と、当時の切迫した心境も明かしました。
復帰配信では約3時間にわたって現地での体験を語った旅野。今後は、アサド政権時代の秘密収容所の取材内容なども別の配信で報告する予定だとしています。
記事提供元:YouTubeニュース | ユーチュラ
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