春のセンバツは菰田、織田、末吉の「BIG3」! この選手&チームを見逃すな!
イチオシスト

今秋ドラフト候補の「BIG3」、春夏10度目の優勝を狙う大阪桐蔭のスゴさ、古豪・帝京の要注目ピッチャー......
3月19日に開幕するセンバツ高校野球。今から注目したいドラフト候補選手や注目の出場校、優勝候補などなど気になる情報をお届けします!
【高校BIG3はどう変化したか!?】連日ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の話題がメディアをにぎわせているが、甲子園球場でも未来のWBC戦士たちが新たな伝説をつくろうとしている。
3月19日に第98回選抜高校野球大会(センバツ)が開幕。今大会から指名打者(DH)制度が導入され、高校野球も新時代に突入する。今まで守備が苦手で試合に出られなかった人材の中から、思わぬ新星が現れるかもしれない。
そのような話題もありながら、今大会の最注目は菰田陽生(こもだ・はるき/山梨学院)、織田翔希(おだ・しょうき/横浜・神奈川)、末吉良丞(すえよし・りょうすけ/沖縄尚学)の「BIG3」だ。
スケールにかけては菰田が頭ひとつ抜けている。身長194㎝、体重101㎏の巨躯の持ち主で、山梨学院の吉田洸二監督は〝日本球界の宝〟と潜在能力を絶賛する。投げては150キロを超え、打っては高校通算30本塁打超をマーク。
吉田監督は「私ごときが彼の適性を決められるはずがないから、投打どちらも選択肢を残してやりたい」と語る。本人も「大谷翔平さん(ドジャース)に続いていきたい」と強い二刀流志望を明かしている。

菰田陽生(山梨学院)身長194㎝、体重101㎏の巨躯で投打共に高いポテンシャルを秘めた二刀流
昨秋の明治神宮大会では故障者が出た関係で未経験だった三塁手に挑戦。ややぎこちない動きだったものの、随所に好プレーを見せてスカウト陣を驚かせた。
父・英典さんが趣味のサーフィンを楽しむため、千葉・御宿町に移住。身近に海がある環境で生まれ育った。両親や再来年のドラフト候補である兄・朝陽(上武大新3年)は標準的な体形であり、陽生のみが突出して大きいという。無限の伸びしろを残した怪童は時代の寵児となれるか。
投手としての素材の良さは織田も負けていない。身長185㎝、体重76㎏のスリムな体つきで、しなやかな投球フォームはほれぼれする。昨春は中心投手のひとりとしてセンバツ優勝を経験しており、今春は大黒柱として連覇への期待がかかる。すでにMLB球団にも存在が知られており、ドジャースなど複数球団が視察に訪れている。
最速154キロのスピードが騒がれるが、本人は数字にはまったく無関心。高校1年時から「チームを勝たせる投手になりたい」と語ってきた。だが、昨秋の関東大会では勝てばセンバツ出場が濃厚になる準々決勝(千葉・専大松戸戦)で2-4と敗退。1月末に開かれた選考委員会によって、滑り込みでセンバツ出場校に選出されている。

織田翔希(横浜・神奈川) 身長185㎝、体重76㎏のスリムな体つきながら、最速は154キロを誇る
ただし、昨秋はコンディションが悪く、本調子には程遠かった事情もある。また、これまでは骨の成長が止まっていなかったため体への負荷を考えてウエイトトレーニングに手をつけていなかった。
今冬は初めてウエイトに取り組んだだけに、大化けの可能性も十分。「平成の怪物」とうたわれた横浜OB・松坂大輔(元レッドソックスほか)を上回る素質の持ち主と評するスカウトもいる。
横浜はほかにも強肩遊撃手の池田聖摩(いけだ・しょうま)らドラフト指名の可能性を秘めた猛者が並ぶ。滑り込みでの出場からセンバツ制覇、そんなドラマチックな大逆襲もありうる。
末吉は昨夏に2年生ながら甲子園優勝を成し遂げたサウスポー。身長175㎝、体重91㎏とずんぐりとした体つきで、中学時代には県外の名門からも勧誘を受けたが「沖縄でやりたい」と固辞。高校1年秋には最速150キロをマークして注目された。宮城大弥(オリックス)への憧れを口にするようにゲームメーク力の高さが武器だ。
ただし、昨夏の甲子園優勝以降は不振に苦しんでいる。周囲の高い期待に応えようともがいた時期もあり、昨秋は九州大会ベスト8に終わった。

末吉良丞(沖縄尚学) 昨夏に2年生ながら、同校を甲子園優勝に導いたサウスポー。不振からの脱却なるか
本来ならセンバツは落選する可能性が高かったが、同じ九州地区の九州国際大付(福岡)が明治神宮大会で優勝。九州地区の出場校が1校増える恩恵を受け、沖縄尚学が選ばれた。昨夏に末吉と二枚看板を張った右腕・新垣有絃(あらがき・ゆいと)も残っており、全国で戦える陣容はそろっている。
昨秋の自分について、末吉は「ただの勘違い野郎でした」と回顧する。大器が本領発揮できればおのずと結果はついてくるはずだ。
【大阪桐蔭と九州国際大付に注目】
BIG3を擁する3校はもちろん有力校だが、今大会の優勝候補筆頭は大阪桐蔭だろう。最速153キロを計測するエース右腕・吉岡貫介(よしおか・かんすけ)、来年のドラフト上位候補になりうる長身左腕・川本晴大(かわもと・はると)の左右二枚看板は脅威だ。
吉岡は身長175㎝と上背はないものの強烈なスピン量の球質が特徴的。川本は身長192㎝の長身で真上から投げ下ろす角度が魅力。中学時代には所属チームを移籍してまで、憧れの大阪桐蔭への進学にこだわった。

川本晴大(大阪桐蔭)身長192㎝の長身で真上から投げ下ろす角度が魅力
伝統の強力打線も昨秋の近畿大会でサイクルヒットを達成した谷渕瑛仁(たにぶち・えいと)ら強打者が並ぶ。センターラインを中心に守備も堅く、勝ち上がる可能性は高い。組み合わせ抽選の結果、有力校が少ないブロックに入る幸運もあった。
一方で、優勝候補がひしめく「死のブロック」もある。昨秋の明治神宮大会で優勝した九州国際大付と同大会準優勝の神戸国際大付(兵庫)はいきなり初戦で激突することになった。
九州国際大付は新2年生左腕の岩見輝晟(いわみ・らいせ)が投打共に主軸を務める。中学時代には40校以上の間で争奪戦が繰り広げられ、九州国際大付に進学したエリート。身長188㎝、体重74㎏の長身痩躯で球速は常時140キロ前後ながら高いゲームメーク力を持つ。

岩見輝晟(九州国際大付・福岡)身長188㎝、体重74㎏の長身で球速は140キロ前後ながら高いゲームメーク力を持つ
九州国際大付はほかにも強肩強打の捕手の城野慶太(じょうの・けいた)、高い打撃技術を持つ2年生遊撃手の吉田秀成(よしだ・しゅうせい)らタレントをそろえる。
神戸国際大付は明治神宮大会の序盤2試合で計5本塁打を放った強力打線が売り。特に主砲の川中鉄平(かわなか・てっぺい)は足を痛めた状態にもかかわらず、神宮球場のバックスクリーン直撃弾を披露。足を引きずりながらダイヤモンドを1周した。昭和の大スターと同音異字で話題になった巨漢打者・石原悠資郎(いしはら・ゆうじろう)がレギュラーを確約されないなど、選手層も厚い。
なお、青木尚龍監督が大のプロレスファンという縁から同校の応援は『スパルタンX』(故・三沢光晴の入場BGM)などプロレスに絡んだ曲が多い。昨秋の明治神宮大会決勝では九州国際大付に1-11と大敗しているだけにリベンジに燃えているはずだ。
九州国際大付と神戸国際大付のブロックには、山梨学院も控える。どのチームが勝ち上がるのか予測するのは極めて困難だ。
大谷翔平、菊池雄星(エンゼルス)の母校である花巻東(岩手)も優勝候補の一角を占める。古城大翔(ふるき・だいと)、赤間史弥(あかま・ふみや)のツインバズーカは、「金属バットより打球が伸びるから」という理由で木製バットを使用する。昨春から3季連続となる甲子園出場で、初本塁打を叩き込みたいところだ。
なお、同校は基本的に岩手県出身者のみのチーム構成だったが、昨年度から県外出身者を受け入れるようになった。社会のグローバル化が進む中、世界的な人材を育成するため方針を転換したのだ。今大会には出場できないが、26年度の新入生にはアメリカからの留学生もいるという。
【今年も21世紀枠は話題性抜群!】意外と知られていない事実だが、センバツは「全国大会」ではない。前年の秋季大会の成績を基に前出の選考委員会が32校の出場チームを選ぶ。形態は夏の甲子園のような「選手権大会」というより、「招待試合」に近い。
そんなセンバツを象徴するのが「21世紀枠」という特別な出場校。さまざまなハンディを乗り越えて活動する高校が2校、甲子園に招かれる。
今年は高知農と長崎西の2校が21世紀枠に選ばれた。高知農は5年前、部員わずか3人まで激減するという苦境に立たされていた。農業実習があるため、全員がそろって練習できる機会も限られる。
それでも、少しずつ力をつけて現在は2学年合わせて18選手まで部員数が増加。昨秋の高知大会ではベスト8に進出し、名門・明徳義塾を相手に善戦。2-3で敗れたものの、延長10回タイブレークまで持ち込んだ。
エース右腕・山下蒼生(やました・あおい)は制球力が高く、完投能力もある。初戦は北信越大会で準優勝した強豪・日本文理(新潟)が相手だが、活躍を見せられるか。
長崎西は県内屈指の進学校として知られ、文武両道が評価されての選出になった。毎日7限目まで授業があるため、平日の練習時間は1時間半だけ。それでも昨秋は長崎大会で準優勝し、九州大会でもベスト8に食い込んでいる。

長崎西。県内屈指の進学校として知られ、文武両道が評価されての選出になった
部員38人のうち、10人がマネジャー(うち男子4人)。対戦相手の分析など裏方としてチームを支える。
また、今大会は2年生の平木悠喜(ひらき・ゆうき)が背番号20でベンチ入り。生まれつき左手首から先がない障害があるが、持ち前の俊足を生かして戦力に加わっている。
右手にはめたグラブで捕球した直後、瞬時にグラブを外してそのまま右手で送球動作に入る。昨夏の甲子園では生まれつき左手の親指以外がない横山温大(県岐阜商)が活躍して話題を振りまいた。平木もその流れに続けるか。
長崎西は過去に春1回、夏3回の甲子園出場経験がある古豪でもある。ただし、前回の甲子園は1981年夏に名古屋電気(現愛工大名電・愛知)の工藤公康(元西武ほか)にノーヒットノーランを許している。それ以降は甲子園出場がなく関係者の間では〝工藤の呪い〟と呼ばれていたそうだ。
まずは甲子園で久しぶりの安打を記録し、勢いに乗りたい。初戦は近年安定して好チームを作り上げている滋賀学園との対戦になる。
【古豪・帝京の個性派エースは必見!】かつて甲子園を熱狂させた帝京(東京)が16年ぶりにセンバツに帰ってくる。春夏合わせて3回の甲子園優勝を飾り、平成期には「東の横綱」と評された。縦縞のユニフォームは強者の象徴と言っていい。
名物監督・前田三夫さんが21年に退任後は教え子の金田優哉監督が奮闘。昨秋の東京大会で優勝し、久しぶりのセンバツ出場の声がかかった。
現役選手にとっては、帝京の黄金時代は生まれる前の過去の歴史である。投打の主軸である安藤丈二(あんどう・じょうじ)に「帝京OBといえば誰が思い浮かびますか?」と質問すると、伊東昭光(元ヤクルト)、吉岡雄二(元近鉄ほか)、山﨑康晃(DeNA)といった偉大なOBを差し置いて「杉谷拳士さん(元日本ハム)」という答えが返ってきた。令和の帝京球児の手によって、不屈の「帝京魂」の歴史が紡がれていく。
前出の安藤に加え、2年生のアスリート型外野手・目代龍之介(めだい・りゅうのすけ)は来年のドラフト候補として要注目。そしてもうひとり、ぜひとも注目したい個性派が帝京にいる。
昨秋にエースナンバーをつけた仁禮(にれい)パスカルジュニア。ナイジェリア人の父を持ち、身長187㎝、体重88㎏の大型左腕だ。いかにも剛速球を投げ込みそうな風貌にもかかわらず、球速は常時120キロ台。上体をくねくねとうねらせる独特の変則投法は誰もまねできないはず。

仁禮パスカルジュニア(帝京・東京)ナイジェリア人の父を持つ大型左腕だが、球速は常時120キロ台で変則投法を駆使する
強打のチームほど打ちあぐねるタイプで、昨秋は公式戦防御率0.65を記録。昨春のセンバツでは変則左腕の石戸颯汰(浦和実・埼玉)が快投を見せ、ベスト4に進出した例もある。今春も仁禮が旋風を巻き起こす可能性は十分あるだろう。
帝京は今大会の開幕戦にいきなり登場し、沖縄尚学と対戦する。昨夏の甲子園優勝校を相手に縦縞の栄光を取り戻すことはできるか。
個性派のチームや選手が集結する春のセンバツ。WBCに負けない激戦が展開されることを期待したい。
取材・文・撮影/菊地高弘 写真/時事通信社(長崎西)
記事提供元:週プレNEWS
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