琵琶湖に放流したウナギが美味しくなる理由は「メスになって大きく成長する」から

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「放流ウナギ」は美味しくなりにくい 我が国で最も愛される魚の一つ・ウナギ。スタミナ食として夏場を中心に高い需要がありますが、昨今その生息数を大きく減らしていると見られ「絶滅危惧種」に指定されています。 …
イチオシスト
放流されたウナギは美味しくない、という定説があります。しかし「あの湖」に放流したものは何故か美味しいと評判。その理由の一端が判明しました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)


「放流ウナギ」は美味しくなりにくい
我が国で最も愛される魚の一つ・ウナギ。スタミナ食として夏場を中心に高い需要がありますが、昨今その生息数を大きく減らしていると見られ「絶滅危惧種」に指定されています。
ウナギの養殖(提供:PhotoAC)
そのため、ウナギは養殖が盛んに行われており、養殖池で育てるほか、湖沼や河川に稚魚を放流する栽培漁業も行われています。しかし他の品目と異なり、ウナギの場合は放流された個体は美味しくなく、価値が低くなると言われています。
大きく成長しにくい
これは、外敵や競合相手の少ない環境で育てられたウナギが野生の個体と比べると競争力に乏しく、自然環境下では大きく成長しにくいためだと考えられています。
琵琶湖だけは例外?
しかし、これには一つの例外があります。それが日本最大の湖である「琵琶湖」。この湖とその流域に放流されたウナギは大きく成長し、食味が良いことが知られています。
この現象について、近畿大学と滋賀県水産研究所のグループがその理由を解明しています。まずウナギは成長に伴い性別が分化するという特徴がありますが、放流前の時点ではオスかメスかはほとんどの個体で未確定です。これをそのまま育て続けると多くの個体がオスに分化するのですが、琵琶湖に放流された個体はなぜかメスに分化するのです。
美味しいウナギ(提供:PhotoAC)
ウナギはオスよりメスのほうが大きくなり、身の柔らかさや脂ののりといった食味の面でも勝ります。琵琶湖で育った放流ウナギが美味しくなるのは「メスになるから」なのです。
「大豆」を食べさせるメスになる
ただし「ウナギをメスにする」というのは琵琶湖の専売特許ではありません。最後まで管理下で育てる養殖漁業においても、ウナギを雌化して食味を良くすることが行われています。
大豆(提供:PhotoAC)
それを可能にしたのが「大豆」を用いた飼料です。大豆には様々な栄養素が含まれていますが、特に有名なものに、女性ホルモンと似た構造を持つイソフラボンがあります。
イソフラボンが含まれる飼料をウナギに与えると、9割以上の個体が成長後メスに分化するのだそうです。
浜名湖などいくつかのウナギ養殖産地でこの技術が応用され、ブランド化も行われています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
記事提供元:TSURINEWS
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