日本初のBEVキャンパーをメディア初試乗!プロが忖度なしで指摘した「6つの課題」と引き算の美学とは
イチオシスト
「moonn T-01」ってどんなキャンピングカー?

「moonn T-01(ムーン ティー ゼロワン。以下「ムーン T-01」)」は、Carstay株式会社(神奈川県横浜市)が開発・製造・販売するBEV(バッテリー式電気自動車)キャンピングカーです。
同社は、キャンピングカーの車中泊スポットのシェアリングサービス「Carstay」の運営も行う新進気鋭のベンチャー企業でもあります。
また、同社は横浜にキャンピングカー製造拠点「Mobi Lab.(モビラボ)」を展開。ムーン T-01はここで誕生しました。
“moonn”に込められた意味

「moonn」は、モビラボが展開するキャンピングカーブランドの1つという立ち位置だそう。モビラボでは、これまで「SAny(サニー)」という内燃機関(ガソリン・ディーゼル車)キャンピングカーを展開しています。
ブランド名の由来は「Mobility Of New Normal」の頭文字から。サニー(Sunny=直訳では「太陽が照っている日」)に対して、ムーン(月)の意味もあり、「未来のキャンピングカー」という意味も込められているとのことです。
モビリティショーでも話題に
ムーン T-01は、ジャパンモビリティショー2025(2025年10月30日〜11月9日開催・東京ビッグサイト)で出展後、名古屋、福岡、札幌の地方開催にも出展して注目を集めていました。
「日本初」BEVキャンピングカーに「メディア」初試乗!

今回試乗するムーン T-01は「プロトタイプ」とのこと。実際に販売される車両と仕様とは異なります。
ただ、モビラボからは「気になったところがあったら、忖度なしで指摘してください!」とのこと。
クルマとアウトドアのプロの目線で徹底的にチェックさせていただきました!
ちなみに、ムーン T-01は、「日本初」のBEVキャンピングカーです!
さて、その実力はどうだったのでしょうか?
都会の喧噪から離れた山林のRVパークで車中泊!

今回の車中泊は、姉妹サイトのキャンプ場検索・予約サイトの「なっぷ」で2026年2月から掲載が始まった、「丸太の森キャンプ場(神奈川県南足柄市)」内にあるRVパークを利用しました。
東京都心からは約90分、東名高速大井松田インターから約20分*とアクセスの良さがありながら、都会の喧噪から離れた静かな山林に位置するというロケーションの良さも光るキャンプ場・RVパークです。
*公式サイトでは大井松田インターから約25分と案内されていますが、実際は道が空いていたら15分とのこと。筆者が行ったときは20分ほどでした。
「丸太の森キャンプ場・RVパーク」について詳しくは、こちらの記事でご確認ください。
関連記事:東京から90分で“森と温泉”!「丸太の森キャンプ場・RVパーク」が穴場すぎた
試乗は、モビラボ(横浜市旭区東希望が丘)からスタート、片道約60kmを往復するコースです。
キャンピングカーの常識を覆す!そのコンセプトと装備とは?
ムーン T-01のコンセプトのひとつに「動くリビング」というキーワードがありました。
キャンピングカーといえば、ベッド、テーブル、水回り、収納……と無数の装備がクルマに詰め込まれているイメージです。
が、ムーン T-01は違います!
私が感じたのは「引き算の美学」。

ムーン T-01の装備は、至ってシンプル。しかし、必要十分なミニマルなものでした。
室内の第一印象は「おしゃれなビジネスホテル」。

ベッドはセミダブルサイズまで拡張可能!

リアゲートを開放するのもいいですね。

冷蔵庫は、大容量72Lの日立「Chiiil(チール)」、そしてなんとバルミューダのオーブンレンジを備えています。

冷蔵庫・オーブンレンジの上はテーブルと収納。コンロやシンクなどの水回りは省略されています。
ここも「引き算の美学」。シンクはあると便利ですが、給排水がめんどくさいですね。

前席との仕切りはカーテン。右側は跳ね上げ式のサイドドア。
サイドドア内側にLEDランプを内蔵。オープン時は“ひさし”になって足元を照らしてもくれます。
バッテリー消費はどうだったのか?
満充電走行距離は270kmというカタログスペック。実走行距離は、外気温や道路状況によって変動しますが、200km強は走れます。ざっくり、東京から富士山周辺が往復できる航続距離です。
バッテリー容量は43.5kWhと最近のBEVとしては小さい部類ですが、今後、拡張は可能だそうです。
サブバッテリーは、5,000Whと大容量(サブバッテリーとは、車両に元から搭載されているバッテリーとは別に架装するバッテリーのこと)。
ただ、筆者が試乗・車中泊したときは真冬。家庭用電気ストーブを常時使用(最大出力900W)、冷蔵庫常時ON、オーブンレンジ(調理で計10分ほど)を使用したため、RVパーク停泊開始から約6時間ほどで残量40%を切りました。

計算上では、走行用バッテリーからサブバッテリーへ充電しても、ギリギリ帰れる残量がありましたが、電欠は絶対に回避したいのと、せっかくの電源ありのRVパークなので、サブバッテリーに外部給電で充電しながら過ごすことにしました。
5,000Whあれば、暖房器具などの大出力家電を連続して使わない限り、一晩は余裕で持ちます。
忖度ナシの「ダメ出し」!
試乗前にモビラボさんから「プロトタイプなので」という前置きがありつつ「気になったところがあったら、忖度なしでダメ出ししてください!」と言われていました。
試乗後に筆者が率直に感じたムーン T-01の「ダメ出し」は、次の6つでした。
1. 車室内から外へ出る経路が限定される
ムーン T-01は、前席ドア(一般的なヒンジドア)、居住空間部前方右側の跳ね上げ式サイドドア、リアゲートの計4カ所あります。
このうち、跳ね上げ式ドアは車両外側からしか開けられません。
リアゲートは、内側から開閉できますが、ベッドを拡張すると通路がなくなり、車内から外へ出られなくなります(前ページにベッド拡張時の画像あります。ベッド拡張時の出入りは、地面からの高さがあるので危険です)。
車内から外に出る扉が、運転席・助手席ドアしかない上、前席の間にはセンターコンソールがあるため、前席には移動しにくくなっています。

利便性だけでなく、万が一のときの車外待避時にも、サイドドアとリアゲートは車室内から開けられるようにしてほしいと感じました。
2. サイドドアとリアゲートが内側からロックできない
居住空間部前方右側の跳ね上げ式サイドドア、リアゲートのドアロック機構は、リモコンキーによる操作か、物理キーを差し込んで回す操作だけとなっていました。
リモコンキーを使って、車内からドアロックをすると、解錠時にイモビライザー(防犯装置)が反応して、大音量のクラクションが継続的に鳴り響いてしまいます。
車室内からドアロックするときは、運転席ドアにあるパワーウインドウ操作ボタンのところにある、ドアロック・解錠ボタンを操作していました。
3. 換気扇が欲しい

Dometic(ドメティック)製のパーキングクーラーを天井に装備していますが、換気機能はありません。
換気扇がないので、空気の入れ換えをしようとすると、一旦車外に出て、前席ドアかサイドドア、リアゲートを開けるか(特に夜間はあまり現実的ではない)、運転席へ移動して(センターコンソールをまたぐのがやや大変)、車両の主電源をONにしてパワーウインドウを下げるかしかありません。
仕様では、パーキングクーラーかルーフベント(マックスファン)のどちらかがオプションで選択可能になっています。
マックスファンを選択すれば換気の問題は解決しますが、クーラーがないので暑い日は過ごしにくくなります。車両本体のエアコンを使用する手がありますが、室内後方まで冷やせるかどうか、また走行用バッテリー容量(主電源ON状態になり、エアコン単体起動ができない)の懸念点がでてきます。
暖房機能は車両本体のエアコンのみとなります。このため、今回の車中泊では、家庭用電気ストーブ(モビラボで貸出)を使用しました。
現在の使用では、停泊時用の暖房のオプション設定はありませんが、モビラボによると、FFヒーター(車両主電源OFF時でも使用可能な強制給排気式暖房装置)の設置は可能とのことです。
4. 室内LEDダウンライト、調光機能が欲しい。
LEDダウンライトは室内前部・後部の2系統に分かれてON・OFFできますが、調光機能はありません。
できれば、光色変更機能と、明るさを無段階に調整する調光機能が欲しかったですね。
5. センターコンソール撤去したい

運転席・助手席の間のセンターコンソール、これを撤去してウォークスルーにすれば、キャンピングカーとしての利便性がとても高くなります。
ムーン T-01は前席からリアゲートまで“真っ平ら”。BEVならではフラットフロア(エンジン車には難しい構造)なので大きいセンターコンソールが鎮座するのはもったいないと感じました。
ただ、センターコンソールの撤去は、モビラボの技術だけでは難しいでしょう。なぜなら、パーキングブレーキを移設しなければならない(足踏み式に変更するなど構造を変える必要がある)からです(どうせなら、電動パーキングブレーキにしてほしいところ)。
6. ベッド下のスイッチ、足があたりやすい

このスイッチは、車両の走行用バッテリーから、サブバッテリー(家電などを使う電源)へ充電する回路のON・OFFのためにあるのですが、ちょうど冷蔵庫の開け閉めするときなど、よく座る位置にあり、足が当たりやすかったです。
薄型のスイッチに変更するか、位置を変えるかしてほしいと思ったところです。
以上の6点すべてを試乗直後、モビラボさんにフィードバックさせていただいたところ「さっそく検討します!」とのことでした。
7.「8ナンバー」登録にして欲しい
この点は試乗後に気付いたのですが、ムーン T-01は、ベース車両と同じ「1ナンバー」登録です。
1ナンバーは、高速料金が普通車の2割増しが基本になるので、8ナンバーだと普通車と同じになります。
また、車検サイクルは1ナンバーは1年。2年サイクルの8ナンバーのほうが楽です。(車検代が安くなるわけではありません)。
クルマとしての「moonn T-01」はどうだったのか?
ムーン T-01のベース車両は、日本のEV製造販売会社「HW ELECTRO(エイチダブリュ エレクトロ)」のBEV商用バン「ELEMO-L(エレモ エル)」。

HWエレクトロは、2019年5月設立のファブレス(工場を持たない)新興BEVメーカーです。
今回、約130kmの試乗をしたのですが、いくつか“気になるところ”があり、中には改善を急いでほしいところもありました。
この「気になるところ」については、EV専門WEBメディア「EV Smart blog」の記事でお伝えします。
また、エレモLとは、どんなスペックなのか、HWエレクトロとはどんな会社なのかについても詳しく解説しています。
社長がまさかの「インドア派」!
この試乗取材とあわせて、Carstay株式会社 代表取締役 宮下 晃樹さんにムーン T-01の開発経緯などをインタビューしました。
インタビューを進めると、なんと宮下さんは「インドア派」だったことが判明!
また、モビラボでBEVキャンピングカーの開発に至った経緯として、「BEVはキャンピングカーの最適解」だと語ってくれました。
なぜ、BEVがキャンピングカーの最適解なのか、インドア派がキャンピングカー業界に足を踏み入れた経緯について、宮下さんが熱く語ってくれたインタビューの一部始終は、こちらの動画でご覧ください!
【動画】バルミューダでキャンプ飯も「moonn T-01」試乗と車中泊の一部始終
今回の「車中泊徹底検証」動画は、ルームツアー編、試乗編、車中泊編に分けてお届けします。ルームツアー編から順番にご覧ください!
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記事提供元:CAMP HACK
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