MLBオールスター級がズラリ! アメリカラウンドで待つ本気モードの強敵たち
イチオシスト
世界的スーパースターが国の威信をかけて戦うWBC。野球ファン垂涎のドリームチームで臨むアメリカ、ドミニカ、そしてベネズエラの3ヵ国を徹底分析する!
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【日本のライバル! 史上最強のアメリカ】WBC連覇への戦いが続く侍ジャパン。ただ、米国メディアによる「パワーランキング」では、日本の戦力順位は1位アメリカ、2位ドミニカ共和国に続く3位。まさに激闘必至の状況だ。
「今大会の日本は過去最多8人のMLB選手の招集が実現しましたが、日本以外の国でも昨季MLBで活躍した選手たちが数多く名を連ねています。中でも王座奪還に燃えるアメリカとドミニカ、さらにベネズエラも史上最強クラスの陣容です。日本を含めたこの4強が今の世界の野球をリードしていると言えます」
こう語るのは、MLBに精通する野球評論家で、現役投手を指導するピッチングデザイナーのお股ニキ氏だ。日本が順当に米国ラウンドに勝ち上がった場合、準々決勝以降で対戦するのはこの3ヵ国の可能性が高い。では、具体的にどんな顔ぶれがいて、何を警戒すべきか。まずはアメリカから深掘りしていこう。
「30人中、オールスターゲーム経験者が20人超。本塁打王経験者5人、サイ・ヤング賞受賞者3人。各メディアが『WBC史上最強軍団』と評するのも納得のドリームチームです」
投手陣では、2年連続サイ・ヤング賞のタリク・スクーバル(タイガース)が予選ラウンドでしか投げないと判明した点が、ライバル国にとっては朗報と言える。
ただ、もうひとりの昨季サイ・ヤング賞投手、ポール・スキーンズ(パイレーツ)が立ちはだかることには変わりない。大谷翔平(ドジャース)も通算成績11打数2安打6三振と苦手にする難敵だ。

アメリカ代表(投手) ポール・スキーンズ 2年連続でオールスターの先発を務めるなど、MLB史に残る活躍を続けるスキーンズ
「昨季防御率1.97は全30球団で1位。メジャー2年目でサイ・ヤング賞を満票受賞しました。デビューから55先発で防御率1.96もMLB歴代最高記録という怪物ぶりです」
その最大の武器は七色の球種。平均球速159キロ、最速164キロのストレートに加え、スライダー、スイーパー、チェンジアップ、カーブ、シンカー、そして代名詞でもある決め球の「スプリンカー」だ。
「スプリットのように鋭く落ちながら、高速シンカーに近い150~155キロの球速帯のハイブリッド球種です。ストレートと同じ腕の振りから急激に沈みます。また、空軍士官学校に通っていた影響か、内面も素晴らしい。代表でもしっかり投げると公言する、まさにアメリカのエースです」
続いてお股ニキ氏が注目するのは、昨季15勝を挙げ、リーグ1位の224奪三振を記録したローガン・ウェブ(ジャイアンツ)だ。
「スキーンズやスクーバルほどの派手さはないものの、昨季まで3年連続両リーグ最多投球回数を記録。MLBでもトップクラスの球速を誇るシンカーと、スイーパー、チェンジアップという3球種のコンビネーションで徹底的にゴロを打たせてイニングを稼ぐ投手。
しかも左打者対策でカットボールを追加し、さらにレベルアップしました。サイ・ヤング賞投票で3年連続トップ6入りするなど安定感は抜群です」
侍ジャパン同様、先発投手が多くメンバー入りした印象だが、リリーフ陣はどう構成されるのか?
「昨季デビューしたノーラン・マクリーン(メッツ)は評価の高い投手で決勝に進出したら先発予定。クレイ・ホームズ(メッツ)はヤンキース時代に抑え経験がある。このあたりは日本の髙橋宏斗(中日)のような使われ方をしそう。
本職リリーバーで注目されるのはメイソン・ミラー(パドレス)。最速167キロのストレートに加え、スライダーはメジャー最高クラス。追いかける展開でこの投手が出てきたら相当厄介です」

アメリカ代表(外野手) アーロン・ジャッジ 満を持してWBC初出場のジャッジ。MLB最強打者としてアメリカ代表の主将を務める
一方の野手陣。チームの顔はもちろん、昨季ア・リーグMVPの主将アーロン・ジャッジ(ヤンキース)。ほかにも昨季の本塁打王コンビ、56発のカイル・シュワーバー(フィリーズ)と60発のカル・ローリー(マリナーズ)、新人から4年連続20本塁打&30盗塁達成というMLB新記録を打ち立てたボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)......とスター選手ばかり。
そんな中、お股ニキ氏が警戒するのは31歳のアレックス・ブレグマン(カブス)だ。
「昨季18本塁打、打率.273と派手さはないものの、百戦錬磨の野球IQの塊。相手データをしっかり頭に入れ、味方に的確なアドバイスができる。彼が代表にいることで、ただのスター軍団ではない、戦う集団へと変貌します」
【スター軍団! 豪華すぎるドミニカ】日本がいるプールCを勝ち抜いたチームが準々決勝で激突するのは、プールDの上位2チーム。有力なのはドミニカとベネズエラだ。
「特に警戒したいのはドミニカです。投打両面で『オールスターゲーム?』と見まがうメンバーをそろえてきました」
投手陣で注目は、昨季13勝5敗、サイ・ヤング賞投票でスキーンズに次ぐリーグ2位の左腕クリストファー・サンチェス(フィリーズ)だ。

ドミニカ代表(投手) クリストファー・サンチェス 昨季、大谷を12打数9三振と苦しめたサンチェス。ドミニカ最高峰左腕の安定感は抜群だ
「大谷も昨季ポストシーズンも含めて12打数1安打、1試合3三振を2度も喫し、合計9三振。まさに天敵と言えます。最大の武器はシンカーとチェンジアップ。MLB全体でも最高評価のシンカーは年々速くなり、昨季は平均153キロ超。打者の手前でスッと落ちるチェンジアップは約139キロ。この緩急差で打者を手玉に取ります」
また、ルイス・セベリーノ(アスレチックス)、サンディ・アルカンタラ(マーリンズ)らトミー・ジョン手術から復活途上の投手たちが本領を発揮する可能性もある。
「セベリーノは昨季8勝11敗でしたが、後半戦だけ見れば7勝0敗。2022年にサイ・ヤング賞を受賞したアルカンタラもトミー・ジョン手術から昨季ようやく復活。プールD最終戦のベネズエラ戦に先発予定で、準々決勝以降はどこで投げるか未定ですが、昨季終盤は防御率も改善し、球速も160キロ超と完全復活しています」

ドミニカ代表(内野手) ブラディミール・ゲレーロJr. 昨季ワールドシリーズで「投手・大谷」からホームランを放つなど勝負強いゲレーロJr.
一方、打線の軸は、本塁打王経験者のブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)とフェルナンド・タティスJr.(パドレス)、首位打者と盗塁王経験のあるフアン・ソト(メッツ)という豪華布陣だ。
「ゲレーロJr.は難しい状況でこそ結果を残す選手です。昨季はポストシーズン18試合で打率.397、満塁弾含む8本塁打、15打点。リーグ優勝決定シリーズMVPにも輝きました。ワールドシリーズでも勝負強さを見せましたが、WBCでも本領発揮しそうです」
ソトは昨季、大谷とMVPを争ったことが記憶に新しい。

ドミニカ代表(外野手) フアン・ソト 大谷超えの史上最高契約を結んだソト。昨季はリーグ1位の出塁率.396を記録した
「15年7億6500万ドルの史上最高契約の重圧に負けず、昨季は43本塁打、リーグ1位の出塁率.396。ソトの『選球眼+長打力』は投手にとって最も嫌な組み合わせで、際どいボールを振らせることがほぼ不可能。ソトとの勝負を避ければ、後ろにはゲレーロJr.やタティスJr.が控える恐ろしい打線です」
この主軸バッター以外でも、打線に穴がない陣容だ。
「昨季オールスター出場選手ではマニー・マチャド(パドレス)、フリオ・ロドリゲス(マリナーズ)、ケテル・マルテ(ダイヤモンドバックス)ら有名選手がそろい踏みです」
【打線は一級品! 南米の雄ベネズエラ】4強の一角、ベネズエラもチェックしておきたい。お股ニキ氏が「打線はアメリカ、ドミニカに負けず劣らず一級品」と語る野手陣の中でも頭ひとつ抜けた存在が2023年MVPのロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)だ。

ベネズエラ代表(外野手) ロナルド・アクーニャJr. 昨季は左膝の前十字靱帯断裂の大ケガから復帰し、カムバック賞を受賞したアクーニャJr.
「アクーニャJr.は2024年に左膝の前十字靱帯を断裂。昨年5月、復帰初打席の初球に本塁打を放つ劇的な帰還を果たし、95試合で打率.290、出塁率.417、OPS.935、21本塁打の好成績でカムバック賞を受賞しました。この男がWBCで完全復活を宣言する可能性は十分にあります」
その脇を固める選手たちもスター選手ばかりだ。

ベネズエラ代表(内野手) エウヘニオ・スアレス 34歳ながら昨季49本塁打、118打点と大爆発したスアレス。悲願のWBC優勝を目指す
「エウヘニオ・スアレス(レッズ)は昨季49本塁打、118打点と大爆発。チームでも代表でも主将の頼れる捕手、サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)は35歳ながら30本塁打、100打点をマーク。
21歳のジャクソン・チューリオ(ブルワーズ)は昨季21本塁打、21盗塁のホープ。首位打者3度のルイス・アラエス(ジャイアンツ)はMLB屈指のコンタクト能力を誇ります」
そんな隙のないラインナップの野手陣と比較し、投手陣は物足りなさがあるという。
「エース格のパブロ・ロペス(ツインズ)が右肘靱帯損傷で代表辞退。2番手以降は力が落ちます。この先発の駒不足はベネズエラの弱点となりそうですが、軸となる昨季12勝のレンジャー・スアレス(レッドソックス)は、ドミニカのサンチェス同様に厄介な相手となります」
スター競演の末、覇権を握るのはどの国になるのか。
文/オグマナオト 写真/時事通信社
記事提供元:週プレNEWS
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