「なぜセレブがプレーできて選手ができないのか」 開幕戦短縮競技の不透明さとモヤモヤ【現地記者コラム】
イチオシスト
米国女子ツアー(LPGA)の2026年開幕戦は完走することができなかった。最終日に最終ラウンドが中止となり、54ホール短縮競技になった。世界ランキング2位のネリー・コルダ(米国)が15カ月の未勝利に終止符を打つ結果にファンは喜んだが、同時に、後味の悪さも残った。
最終日は、強風により順延となった第3ラウンドの残りと最終ラウンドが、午前10時に同時にスタートする予定だった。早朝から氷点下で、冬でも常夏のフロリダでは異例すぎる出来事。ある記者は北米などのスキー取材のために持っているという分厚すぎるダウンを着ていて、私はうらやましそうにみていた。
前日から天候状況が懸念されていたが、霜が降りていないことから予定通りにスタートする意向が示された。選手はそれぞれ、ウォーミングアップを行い、備えたが、わずか10分ほど前に少なくとも1時間遅れることが発表。遅延を繰り返した後の午後0時40分に、短縮競技になること、午後2時15分から第3ラウンドの残りをプレーすることが決まった。
最終ラウンドが中止となったことで、すでに競技を終えていたネリーに追いつく可能性があったのは、残り2ホールで3打差のエイミー・ヤン(韓国)くらい。大逆転の奇跡は起きず、ネリーはクラブを振らない代わりに、優勝カップを掲げた。
この決定に疑問が残るのは、セレブリティ部門は予定通り、午前10時にプレーを開始したこと。LPGA選手たちがスタートできず待機させられている間に、20人が予定通り第3ラウンド、イン9ホールに短縮された最終ラウンドを完了させた。
『なぜ、セレブが3.5ラウンドをプレーできて、LPGA選手が3ラウンドしかプレーできないのか』。『具体的にどの点がプレー不可能なのか説明がない』。日本勢のみならず、海外選手、関係者、あちこちからそんな声が聞こえてくる。
午前10時の時点でスタートできなかったことは理解できる。「グリーンがコンクリートのようだった」と話した選手がいるように、LPGAは「コースコンディション」を理由に遅延を決めた。だが、昼には太陽がコースを照らし、気温も上がっていった。セレブリティとして出場し、最終日に9ホールを回ったアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)は、午後0時すぎのホールアウト後、米記者に対して「なぜ選手がプレーしていないのか理解できない。グリーンにピッチマークもついた。難しく、寒いけれど、それは誰にとってもフェアだ」とコメントした。
記者陣はツアーに説明を求めたが、明確な理由、回答を得られないまま表彰式が行われ、幕が閉じた。その2時間後、ツアーは声明を発表。
「稀で、難しい決定だった。寒さ、風、日陰になっている場所の凍結などから、公平で一貫したプレーコンディションの確保が困難だった。整備に時間をかけ、選手たちの懸念を直接聞いた上で、その時に得られた情報に基づく最良の判断をした。セレブリティがラウンドを開始したときも、LPGA選手が最終ラウンドをプレーできると信じていた」と記された。なんだか理由は不透明なままに感じている。
この週末の異例の寒さは1週間前から予報されていた。土曜日の夕方に最大瞬間風速18m/s超の強風が吹き、日曜日にかけて氷点下の極寒になることは、その予報通りだった。
事前からそれを想定したプランを考えられたはずだ。第3ラウンドが順延しないようにスタート時間を早めてプロのみの組み合わせにしてもよかったし、順延の理由となった17番を含めたピンポジションを考え直してもよかっただろう。
カットを行って上位者のみが最終ラウンドをプレーできるようにしても、もちろん、日曜日より好天が予想されている月曜日に持ち越してもいい(実際、気温は12度で風も比較的穏やかだった)。大会冠のヒルトングランドバケーションズのアンバサダーであるリディア・コ(ニュージーランド)は、持ち越せないことを残念がった。
今大会には出場できなかったが、ツアー通算6勝のダニエル・カン(米国)は、自身のSNSで「なぜ短縮競技になったのか。いろんな理由があることは分かっているが、PGAは短縮競技が最終手段なのに対し、LPGAは最初の選択肢になっているように感じる」と疑問を呈した。
LPGAは節目を超え、76周年目のシーズンに突入した。華々しいはずの開幕戦はモヤモヤを残した。寒波、雨、暑さなど、異常気象という言葉が多く聞かれるようになった昨今、スケジュールの判断はより難しくなっているが、選手、ファンが納得して楽しめる大会になることが第一である。(文・笠井あかり)
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