波に乗り始めたPGAツアー 今は“ノリノリ”!?【舩越園子コラム】
イチオシスト
2026年のPGAツアーの始まりは、従来の開幕戦だった「ザ・セントリー」が中止され、続く「ソニーオープン・イン・ハワイ」は大会消滅がウワサされるなど、少々暗い空気が漂った。
しかし、戦いの舞台が米本土の西海岸に移るやいなや、一転して明るいムードに包まれている。
昨年12月にLIVゴルフから正式に脱退したブルックス・ケプカ(米国)が、PGAツアーへの復帰申請を提出したのは今年1月9日のこと。彼の復帰が正式に承認されたのは、それからわずか3日後の1月12日だった。
ケプカ復帰へのスピーディーな展開が世界中のゴルフファンや関係者の興味関心を引きつけた中、西海岸シリーズ第1戦の「ザ・アメリカン・エキスプレス」が開幕。スポンサー推薦で出場していた18歳の新鋭ブレイズ・ブラウン(米国)が優勝争いに絡み、最終日は世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー(米国)とともに最終組でプレーした。
ティーンエイジャーと王者の対決には大きな注目が集まったが、シェフラーは王者の貫禄を見せつけ、ブラウンら他選手を引き離して堂々圧勝。通算20勝目を挙げて、生涯シードを獲得した。
そんなドラマのような展開はゴルフファンを魅了し、4日間のTV中継の視聴率は前年比125%アップを実現した。中でも第3ラウンドの視聴率は驚異の284%アップを記録。最終日は127%アップで、約61万7000ビューアーが視聴したことを示していた。
シーズン開幕早々に、これほどの数字が出たことは、ここ数年、視聴率が伸び悩んでいたPGAツアーにとって、この上ない喜びだった。
そして、西海岸シリーズ第2戦の「ファーマーズ・インシュランス・オープン」は、ケプカの復帰戦ということで、予選ラウンドのTV中継に急きょESPN局が名乗りを上げるなど、お祭り騒ぎになった。
ケプカの復帰に際して、PGAツアーは「リターニング・メンバー・プログラム」なる復帰プログラムを作成。ケプカには1年間のサスペンション(出場停止)を科すことなく、即復帰に近い特別待遇で迎え入れることを決めた。
それは、PGAツアーがそれほどケプカのカムバックを歓迎していることの表れであり、ケプカの復帰をきっかけにして、LIVゴルフ選手をもっと呼び戻そうという意思や意欲の表明でもあった。
「そのかいあって」と考えていいのだろう。パトリック・リード(米国)がLIVゴルフからの脱退を表明すると、PGAツアーからも声明が出され、リードは今年の秋からノンメンバーの資格で、2027年1月からは過去の優勝者の資格で、PGAツアーに復帰できることが伝えられた。
さらにPGAツアーは、リードが今年のDPワールド(欧州)ツアーの最終ポイントランキングでトップ10に入り、来季のPGAツアー出場資格を手に入れることができれば、過去の優勝者の資格より優先順位が高い形で復帰することも可能であると明言した。
LIVゴルフからPGAツアーへの返り咲きを望んだ選手は、ここ数カ月だけを見ても、ハドソン・スワフォード、パット・ペレス、ケビン・ナ(いずれも米国)、そしてケプカ、リードと、すでに5人を数え、この流れは今後、加速して行きそうな気配だ。
ケプカの復帰戦に話を戻すと、出場選手の人数は、事前には144人でフィックスされていたが、ケプカが加わることで145人へ増やされた。
しかし、ケプカ1人を増やしただけでは、スリーサムで回る予選2日間の人数が中途半端になってしまうため、2人を補欠から繰り上がらせ、出場選手の総数を147人へ増やした。
昨季から今季にかけて、PGAツアーは少数精鋭化をうたっており、シード選手の人数を125人から100人へ、1試合の出場人数も156人から144人へ、144人から132人へと減らしている。
その流れと、ケプカのために出場枠を3つも増やすと決めたことは、まさに逆方向を向いている。だが、そのような一見ちぐはぐな対応も、PGAツアーがケプカの復帰を大歓迎していることの表れだと思いながら眺めれば、ちょっぴり愉快で愛らしいとさえ感じられてくる。
そんなふうに年明け早々から目まぐるしく動いているPGAツアーだが、今ようやく活気を取り戻し、良き波に乗り始めたと見ていいのではないだろうか。
ファーマーズ・インシュランス・オープンでは、英国出身のジャスティン・ローズが4日間首位を独走する一人舞台を演じ、2位に7打差で圧勝した。
昨年の「マスターズ」ではローリー・マキロイ(北アイルランド)とのプレーオフに敗れたが、シーズンエンドのプレーオフ・シリーズ「フェデックス・セントジュード選手権」を制し、そして今、通算13勝目を挙げたローズは、45歳にしてノリノリの様子である。
ツアーの大改革が予想されている2027年シーズンへの過渡期という意味も含め、2026年はまだまだ様々な変化が起こる1年になりそうだが、ローズ同様、PGAツアーも、今、波に乗ってノリノリだと思えば、目まぐるしい変化も楽しく思えてくる。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
<ゴルフ情報ALBA Net>
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