プロ野球選手はオフシーズンも「真剣勝負」【山本萩子の6−4−3を待ちわびて】第203回
イチオシスト

プロ野球選手はオフシーズンについて語った山本キャスター
オフシーズンです。野球選手はどう過ごしているのでしょう。
ひとつ言えるのは、私たちが思っているよりもハードなオフを過ごしている、ということです。
オフシーズンの選手が第一に行なうのが「自主トレ」です。自主トレは文字通り、自主的なトレーニングのこと。オフはチームとしての練習がありませんから、選手は個人でトレーニングを続ける必要があります。時には、複数の選手が集まって合同で行なうこともあります。
ヤクルトでは、長岡秀樹選手と内山壮真選手が、宮崎・西都市での合同自主トレを公開し、私も取材でお邪魔しました。オフの日にも宮崎市内のジムでトレーニングするなど、「かなり追い込んでいるな」という印象を受けました。オフだけど、オフではない。気が緩みがちなオフシーズンに、どこまで自分を高められるのかという姿勢に、プロの覚悟を感じました。
この自主トレは、長岡選手が実施すると聞いた内山選手がアプローチしたそうです。今年は互いに内野手としてライバルになるふたりですが、長岡選手の守備や打撃などを間近で見て貪欲に吸収したい、という意気込みを内山選手から感じました。
同じくヤクルトの澤井廉選手は、レッドソックスの吉田正尚選手と自主練を行ないました。これには、原樹理投手の口添えがあったそうです。
澤井選手がチームに入ってきた時に、左打ちで体つきも吉田選手にどこか似ていて、周囲と「吉田選手っぽいよね」と話していたことを思い出します。澤井選手もおそらく、吉田選手を自分の理想と考えて、自主トレに参加させてもらったのでしょう。ちなみに原投手と吉田選手は、東都リーグ時代によきライバルでした。
吉田選手と澤井選手の例を見てもわかるように、自主トレはチームの垣根を超えて行なわれます。誰と自主トレを行なうかで、その選手がどこに向かいたいのかがわかりますよね。
ちなみに自主トレにかかるお金の多くは、先輩が払うことが多いとか。トレーナー、栄養士、打撃投手、ブルペン捕手などを帯同させることが多く、会場代、食費、宿代、謝礼を含めると数百万円かかるそうです。

収録中のひとコマ。球春到来に向けて私も準備中です。
オフシーズンの取り組みとしてもうひとつ、ウインターリーグもありますね。
中には、「テレビなどで耳にするけど、よくわからない」という方もいるかもしれません。ウインターリーグはひと言でいうと、若手や出場機会の少ない選手のための実戦的な野球リーグのこと。そこには世界各国から選手が集まり、レベルアップを目指します。海外の有望な若手にとっては、スカウトの目にとまりプロ契約を目指す場にもなっていて、単なるトレーニングの枠を超えて真剣勝負の様相を呈しています。
ウインターリーグに参加するためには、40万円ほど費用がかかるそうです。球団から派遣される選手は費用を球団が負担しますが、個人参加の場合は自己負担となります。
現在、ウインターリーグが行なわれているのは、中南米やオーストラリア、台湾など温暖な地域が多いですが、2022年から沖縄の「ジャパンウインターリーグ」が加わりました。
沖縄で行なわれるようになったメリットは、もちろん海外に行くよりも楽ですし、設備もより整っていることが挙げられます。 昨年は11月23日から2回にわけて行なわれ、15カ国から120名を超える選手たちが6チームに分かれて、約1カ月間のリーグ戦を戦いました。
ヤクルトからは鈴木叶選手、坂本拓己投手が参加し、試合の中で経験を積んでいます。プロ契約を目指すトライアウト組からも、大きな刺激をもらっているでしょうね。ペルーから参加したホルヘ・ロヨラ投手は、最速167キロを出して話題になりましたが、彼は日本でのプレーを熱望していました。こういったひたむきな選手から刺激を受けないわけがありません。
シーズン中では難しい、新しいフォームにもチャレンジできますね。そうして若手たちが貴重な実戦経験を積むのと同時に、コーチも派遣されることがあります。
ヤクルトの川端慎吾コーチは、先日お会いした時に「ウインターリーグにいつ派遣されるかな」とおっしゃっていましたが、選手だけでなく、コーチの練習の場でもあることはあまり知られていません。
昨年の台湾アジアウインターリーグには、由規コーチ、西浦直亨コーチが派遣され、日本チームの監督を務めたのは、巨人の金城龍彦2軍コーチでした。
ウインターリーグは各国で行なわれていますから、今後は違いを出すことが重要になるのかもしれません。その中で、立地や環境を含め、大きな注目を集めているのが沖縄ウインターリーグなのです。
冬の沖縄は観光客が少なくなる傾向があるでしょうから、ウインターリーグがもたらす経済効果も大きそうですね。もちろん、そこで鎬(しのぎ)を削る選手は真剣勝負ですが。このようなリーグは、別の地でも開催されるようになるかもしれませんね。
それではまた来週。

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作
記事提供元:週プレNEWS
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