次世代ロープウエー 成田空港「第2の開港」見据え導入なるか? 自動運転でターミナル間移動も
イチオシスト

日本発の新しい交通システム「Zippar(ジッパー)」が、成田空港の将来構想と重ねて注目を集めています。訪日外国人旅行者が過去最多となるなか、空港ターミナル間や貨物地区の移動効率をどう高めるかが課題となっていますが、福島発の次世代ロープウエーは解決策になり得るのでしょうか。
どうなる?次世代ロープウエー構想
福島・南相馬市のスタートアップZip Infrastructureは昨年、自走式ロープウエー「Zippar」が成田国際空港会社の新交通システム調査でヒアリング対象になったと明らかにしました。同社によると、新ターミナル内の旅客の移動、新貨物地区と旅客ターミナルを結ぶ貨物・従業員などの交通システム、空港周辺とターミナルを結ぶアクセスなど、複数の輸送ニーズに応じた新たなモビリティの検討が進められ、Zipparのほかモノレールや次世代型路面電車(LRT)なども候補とされています。
観光庁によりますと、2024年の訪日外国人旅行者数は3687万人と過去最多を更新。日本政府観光局の推計でも、12月の訪日客は約348万人、年間では3686万9900人に達しました。成田空港の2024年の旅客数は3980万人で、国際線は3220万人。そのうち外国人旅客は2179万人と初めて2000万人を超えました。12月の外国人旅客数も205万56人と単月で過去最高を更新しました。
こうしたなか、成田空港では「新しい成田空港」構想に基づき、新滑走路の整備とあわせて空港全体の機能を抜本的に見直す方針を打ち出しています。国際競争力の強化を目的に、旅客ターミナルを再構築して集約型のワンターミナルを目指すほか、航空物流機能を一体的に集約した新貨物地区を整備し、自動化・省力化や最新技術の導入による高度化を図る計画です。
あわせて、空港内の幹線道路の再編や新駅整備などにより空港内外のアクセス向上を進め、地域との一体的・持続的な発展も視野に入れた将来像が「とりまとめ2.0」として示されています。

滑走路については、B滑走路の延伸と新C滑走路(第3滑走路)の建設を柱とする「更なる機能強化」が進められており、これらと「新しい成田空港」構想を包括したプロジェクト名称として、2025年6月に「成田空港第2の開港プロジェクト」が公表されました。B滑走路を2500メートルから3500メートルへ延伸し、その南側に3500メートルのC滑走路を新設する計画で、2028年度末の供用開始を目標に工事や用地確保が進められています。完成すれば年間発着容量は現在の約30万回から50万回規模へ拡大するとされ、滑走路整備と並行してターミナル再編や新貨物地区整備、空港内外の道路・鉄道アクセスの再編などが段階的に進む見通しです。
こうしたなか、空港内の移動を担う新交通システムの検討が進んでいます。Zipparは、バッテリーとモーターを搭載したゴンドラが自走する次世代ロープウエーで、直線区間はワイヤーロープ、カーブや分岐はレールを走行する仕組みを採用しています。従来モノレールの半分程度の輸送力を持ちながら、建設コストと工期を約5分の1に抑えられるとされ、道路上空を活用できるため渋滞や用地確保の制約を受けにくい点が特徴としています。
主な特長として、軽量構造による低コスト化、カーブや分岐を自在に設計できる路線の柔軟性、自動運転方式、そして風速30メートル毎秒でも運行可能とされる安定した走行性能が挙げられています。

導入検討は成田空港だけでなく、宮城・富谷市では泉中央駅と明石台を結ぶ公共交通としてZipparの導入可能性調査を実施し、2025年11月に結果を公表。2ルートとも整備可能で、2033年以降の導入を目指すとしています。
東京・稲城市では、新たな公共交通システムの導入に向けた可能性調査に着手します。京王よみうりランド駅、稲城駅、(仮称)根方谷戸公園、そしてTOKYO GIANTS TOWNを結ぶルートを想定し、地域特性に応じた移動需要や適した交通手段を検討するとしています。
世界の主要空港では、ロンドン・ヒースロー空港の専用列車、ニューヨーク・JFK空港のエアトレイン、シンガポール・チャンギ空港のスカイトレイン、カタール・ハマド国際空港の自動運転列車など、ターミナル間移動を担うシステムが整備されています。短時間で移動できるシステムは各国の空港で広がっており、成田空港でも同様のニーズが高まっています。
(写真:PIXTA)
鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)
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