ヨーロッパ企画の上田誠が映画監督デビュー。下北沢を舞台に新たな“構造”で描く「君は映画」
イチオシスト
「サマータイムマシン・ブルース」をはじめ数々の話題作で脚本を手掛けてきたヨーロッパ企画の上田誠が、このたび映画監督デビュー。主演に伊藤万理華と井之脇海を迎え、映画館で予期せぬ事態に直面した二人の奔走を独特の構造で描いた「君は映画」が、2026年に全国公開される。ティザービジュアルが到着した。

下北沢で劇作家をしているマドカ(伊藤万理華)は映画を観に行く。三軒茶屋でバンドをしているカズマ(井之脇海)も映画を観に行く。すると、互いの出来事が映画としてスクリーンに映し出されるという、ありえない“構造”が生まれてしまう。さらに映画館の両隣にある〈グッドヘブンズ〉と〈三日月ロック〉ではのっぴきならぬ問題が発生。マドカとカズマは、この“構造”を利用しながら解決に奔走するが、互いの映画は次第に影響し合い、事態は斜め上の超展開へ──。
ヨーロッパ企画と下北沢の映画館・トリウッドのタッグで贈る本作。両主演の脇をヨーロッパ企画のメンバーが固める。「ドロステのはてで僕ら」では“2分の時差でつながった2階と1階”、「リバー、流れないでよ」では“2分が無限にループする京都・貴船の老舗料理旅館”を描いた上田誠が、このたび新たに生み出した“構造”に注目だ。
〈コメント〉
はじめて映画を撮りました。ずいぶんひねりました。映画側もはじめてだったでしょう。
普段は劇団をやっていて劇作家ですが、いつか映画を撮るかも、という気持ちと、それをすると人生の間尺が足りなくなるなあ、という両方の思いを持っていました。でも自分しか撮らない種類の映画があるなあ、それを撮らずに終わるのはどうなんだ、とか。
つまり撮りたくてしょうがなかったので、エイヤで初監督しました。
ほんとにエイヤで、企画の立ち上げから撮影まで4か月足らずでした。
考えすぎるよりもこのくらいがちょうどいいや、と思って踏み切りましたが、実際慌ただしく、脚本から準備までひとときも止まらずやりました。無理かもと思いました。
魔法のように素敵なキャストとスタッフが集まってくれて、まったく魔法じゃないアナログなやり方で、あるギミック撮影にチャレンジしました。ロケ地であるミニシアター・下北沢トリウッドさんと、その両隣のお店・グッドヘブンズさんと三日月ロックさん、そして階下の古着屋・CHICAGOさんの全面協力が不可欠でした。下北沢の一角を舞台にした、またとないギミック映画ができました。劇団ならではの映画になったし、実際に今回は劇団のことを描いてもいます。かたやバンドの物語でもありますが。
ずいぶん野心的な構造であり撮影でして、全身で乗っかってくださった伊藤万理華さん・井之脇海さんはじめ、キャスト・スタッフの皆様には、感謝が大きすぎてどうしたらいいかわかりません。1カットごとに拍手が沸き起こる、全員映画初めてかな、くらいの熱狂でした。
つまりは青春映画であり映画青春です。僕らは映画だし君も映画です。映画を観て、映画に観られてください。
──上田誠(監督・脚本)
上田さんが映画を撮られるというお話を聞いて楽しみにしていたら出演のお話をいただき驚きました!
舞台の現場を通して宇宙を巡り、絆が深まってきたところだったと思います。
『君は映画』は初体験といっても過言ではない挑戦的な技法をたくさん取り入れています。
頭をフル回転させ、この撮影現場に関われることの喜びを噛み締めながら励みました。
こんなことがしたかった!を上田さんとこのチームでご一緒できたこと、とても幸せでした。
ぜひ映画館で観ていただきたいです。
──伊藤万理華(マドカ役)
見たことのない構造の映画ができました!
今回は、おそらく映画史上でも前例のない撮影方法に挑みました。
その複雑な構造に、全員で試行錯誤しながら向き合った時間は、映画愛に満ちていて、改めて「映画作りが好きだ」と強く感じました。上田誠さんをはじめとする最高の座組に、心から感謝しています。
この作品はSF&コメディであると同時に、“映画を愛するすべての人へのエール”になっていると思います。
ぜひ映画館で、受け取っていただけたら嬉しいです。
──井之脇海(カズマ役)
「君は映画」
監督・脚本:上田誠
出演:伊藤万理華、井之脇海、石田剛太、金丸慎太郎、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、永野宗典、藤谷理子
製作:ヨーロッパ企画、トリウッド
©ヨーロッパ企画/トリウッド 2025
記事提供元:キネマ旬報WEB
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