種の保存と繁殖技術の確立に一歩 和歌山・アドベンチャーワールド、エンペラーペンギンの人工授精で有精卵を確認
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イチオシスト
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イチオシ編集部 旬ニュース担当
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和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドが、エンペラーペンギンの人工授精による有精卵の確認に成功した。エンペラーペンギンは、世界でもアメリカ、中国と日本の3カ国でのみで飼育されている希少な種で、人工授精によって受精卵が確認された事例は、把握できている限り世界で初めての成果だという。
エンペラーペンギンのオスから採取した精子を、今年7~8月にかけて4羽のメスに複数回注入し、3羽のメスが産卵した。うち8月に産卵した卵が有精卵であることを確認したという。その後卵殻に異常が見られ、胚の発生が途中で止まったためふ化には至らなかったが、飼育下における遺伝的多様性の維持に向けた繁殖研究の大きな一歩であることに変わりはない。
現在、日本国内でエンペラーペンギンを飼育しているのはアドベンチャーワールドと愛知県の名古屋港水族館のみ。アドベンチャーワールドではこれまで誕生した16羽の赤ちゃんはすべて同じ両親から生まれており、血統の偏りが課題。未来の繁殖のため2009年から動物園や水族館同士で動物を貸したり借りたりする「ブリーディングローン」を開始。2019年には10年ぶりにブリーディングローンとして1羽ずつ血統交換を行ったという。ペアを作って産卵をしても有精卵につながらないことも多く、自然繁殖のみでは特定の遺伝子に偏るなどの問題があるため、ペンギンの羽数維持、遺伝的多様性を保つためには人工授精の技術が必要だという。
記事提供元:オーヴォ(OvO)
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