ただいま増加中! “鋳造”でなく“鍛造”ウェッジを選ぶメリットとは何だ?【最新モデル試打】
イチオシスト
これまでウェッジと言えば、定番モデルのボーケイ『SM10』を始め、「鋳造」で作られることが多かった。しかし最近では「鍛造」で作られたウェッジがどんどん増えている。多くのメーカーが「鍛造ウェッジ」に移行するのはなぜなのか?そしてクラブとしてどんなメリットがあるのか取材した。
アイアンでは定番の製法である「鍛造」だが、ウェッジでは今まで一部のモデルだけに採用されていた。しかし最近では多くのメーカーが『鍛造ウェッジ』の製造に力を入れている。その理由は何か。
「打感が良くなるという理由もありますが、それ以上に大きいのが金属をヘッドの形に成型したときの精度です。強度の低い軟鉄に限った話になりますが、鋳造よりも鍛造の方がヘッドのバラつきが小さくなりますし、鍛造工程の中でスコアラインの溝を入れることもできます。ウェッジ作りではルールに適合した溝を入れる必要があり、成型後の機械加工が必須となっています。精度の高いヘッドであれば削る量を少なくでき、完成品の精度を高めることができるわけです」(クラブデザイナー松吉宗之氏)
多くのメーカーがウェッジ作りで「鍛造」を採用する理由は、心地良い打感が得られることはもちろん、フェースや溝の精度が上がり、激スピンのかかるウェッジも作りやすくなるからだ。
ギアコーチの筒康博はインパクト時の打点の感じやすさに違いがあると話す。
「鍛造は金属組織が密になる分、打点のフィードバックが強くなります。ツアー系ボールと相性が良いことはもちろん、軟らかく打感がぼやけやすいディスタンス系ボールでも打点がハッキリ分かります。アプローチの上達を考えても、『鍛造ウェッジ』の性質は有利ですね」
また、『鍛造ウェッジ』の打ち比べを行うと、モデルごとに打感やアプローチの飛び方が細かく調整されていた。
「アプローチでは振るスピードとボール初速が同じで1:1になるのが理想で、距離感が合いやすくなります。インパクトのエネルギーを打ち出し高さやスピンに変換するモデルもあれば、フェースの反発を抑えて1:1を実現しているモデルもあります。それぞれ打感も打ちやすいアプローチの弾道にも違いが出ますので、打ち出し角やスピンのデータを参考に最適な『鍛造ウェッジ』を探してみてください」
【試打リスト】
テーラーメイド:MG プロト 58度SCグラインド
ミズノ:ミズノプロ T-1 58度Vグラインド
タイトリスト:ボーケイフォージド 58度Bグラインド
フォーティーン:FR-5 58度
ダンロップ:クリーブランド RTX ディープフォージド2 58度
キャロウェイ:OPUS SP 58度Sグラインド
■解説 松吉宗之
まつよし・むねゆき/1997年からフォーティーンのクラブ開発に携わり、数々の名器を世に送り出す。2018年から自身のオリジナルブランド「ジューシー」を立ち上げる。ギア開発の裏側を知り尽くすクラブデザイナー
■解説 筒 康博
つつ・やすひろ/過去の名器から最新クラブまで、豊富過ぎる知識を持つ通称“ ギアコーチ”。インドアゴルフレンジKz亀戸店でヘッドコーチとして、日々アマチュアの悩みに応えている
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河本のギアを調査。関連記事『“ギア女子”河本結 アイアンの鉛の貼り方は番手ごとで全然違う! 58度だけシャフトが『モーダス3』の理由とは?』を読めば、その秘密がわかる。
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