“衝撃イーグル締め”で合格圏浮上 18歳の日本タイトル保持者が86位→11位急浮上「挑戦を楽しみたい」
イチオシスト
<JLPGA最終プロテスト 2日目◇5日◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部 (岡山県)◇6464ヤード・パー72>
昨年の「日本女子アマ」覇者で、現役のJGA(日本ゴルフ協会)ナショナルチームメンバーの18歳・鳥居さくら(日本ウェルネススポーツ大)が、86位から出た2日目に大爆発した。この日のベストスコアとなる「66」をたたき出し、トータル2アンダー・11位タイまで浮上。一気に合格圏内に突入した。
いわゆる裏街道の10番からスタートすると、“おはようバーディ”を皮切りに3連続。だが、その後はボギーを打っては、バーディで取り返すラウンドということもあって、スコアとは裏腹に「だいぶ、しんどかった」と一日を振り返る。
だが、そんな疲れを吹き飛ばす一打が、最終9番パー4で訪れた。アゲンストのなか残り157ヤードから6番アイアンで放った2打目が、カップ手前1メートルほどに落ちてそのままカップイン。「下り(奥)にはつけたくないと思って打ったら、運よく入ってくれました」。見事なショット・イン・イーグルを決め、グリーン上では思わずバンザイも飛び出した。
本人からカップは見えず、無観客ということもあって大歓声とはいかなかったが、グリーン付近にいたスコアラーの拍手で“異変”を感じ取った。「“寄ったかな?”と思って行ったら、ボールがなくて、入ってました」。これが合格ラインの20位タイ以内に潜り込む、値千金の一打にもなった。
今年が2度目の最終テスト。兵庫・滝川第二高3年生だった1年前は、合格まで2打届かず、涙をのむことになった。「去年は“一発で通りたい”というプレッシャーがありました」。日本タイトル保持者ゆえの重圧だ。
過去3年間の日本女子アマ優勝者は、プロテストで1次、2次が免除される“特権”があるのだが、それも逆効果に。「予選を通過して最終に進んだわけではなかったので、(プロテストが)どんな雰囲気かも分からなかった」と、いい方向には働かなかった。
2度目のテストも、『当該年度JGAナショナルチーム女子メンバーの者』という規定に該当している鳥居は、昨年に続き、最終のみの受験になった。それでも1度、経験しているのは大きい。「今年は(雰囲気を)だいたい想像できた」と、余計な心配はなくプレーできている。
鳥居がテストに失敗した昨年は、福田萌維、加藤麗奈と同学年選手2人が一発合格を果たした。「2人の活躍ぶりを見ていて、『ここでつまづいているわけにはいかない』とずっと思ってきました」。特に加藤は同じ兵庫県出身で、ホームコースも同じ。「追いつけるか不安ですけど、追いつけるようにベストを尽くしたい」と刺激になる存在だ。なによりも今は「この(テストでの)プレッシャーのなか回れるのもいい経験」と、自分が置かれた立場を前向きにとらえることもできている。
4オーバーと出遅れた前夜は、7、8、9番で2つのダブルボギーを叩くなど5つ落とし、意気消沈もした。それでも、そこまでは1アンダーと内容が伴うゴルフをしていたため、「それより前のプレーを評価したかった」と切り替えがスムーズにいったのも大きい。「昨日は緊張もあったし、落ちるところまで落ちたので、あとは上がるだけ」。9番のイーグルは、モヤモヤを吹き飛ばすカンフル剤にもなったはずだ。
「きょうのイメージを忘れずに。スコアも大事だけど、ゴルフ場にいかに勝てるか。挑戦を楽しみながらやりたい」。1年前はスコアボードを見ながら“順位勘定”をしていたが、それも反省。今年はボードは見ず、自分のプレーだけに集中することに意識を置いている。
もう同じ轍は踏まない。エンジン点火に成功した“日本チャンピオン”は、1年前のリベンジへ、さらに加速していく。(文・間宮輝憲)
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