三つ巴のプレーオフ制し大逆転V 山下美夢有の“ビタ止め”フィニッシュは2タイプある?【優勝者のスイング】
イチオシスト
米国女子ツアー「メイバンク選手権」にて、山下美夢有が三つ巴のプレーオフを制し「AIG女子オープン」(全英)に続くツアー2勝目を飾った。そのスイングをプロコーチの南秀樹が解説する。
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最終日に米ツアー自己ベストタイとなる「65」をマークし、プレーオフの末に優勝。調子が上がるとショットがベタベタとピンに寄る、精度の高いアイアンショットが持ち味の山下さんらしい勝利でした。
海外ツアーでも強さを見せる要因に、クラブの入れ方が上手いことが挙げられます。ボールをクリーンに打つ技術が優れているからこそ、芝質や地面の硬さ、コンディションに左右されずに同じ球を打つことができる。加えてスピン量も安定するので、タテ距離を合わせるのも上手く、パットが噛み合えば最終日のようなビッグスコアを叩き出す可能性が高くなるわけです。
安定した入射角を可能にしているのが、ダウンスイングでクラブを体で引っ張っていること。ムチのようにシャフトをしならせ、ヘッドが後から来るので、インパクトがゾーンに。ボールの赤道を捉えやすくなります。インパクトではどこかが止まることなく、動き続けるので振り抜きも良い。腕や手首の運動量が大きく、スイングが安定しないゴルファーとは対極にある。学ぶべき点が多いスイングだと思います。
山下さんのようにスイングの再現性を高めるには、フィニッシュでバランスよく立つことを意識しましょう。インパクトよりもフィニッシュへの意識が強くなれば、体の動きがスムーズになり、結果的にヘッドスピードアップも期待できます。
ポイントは左足にしっかりと乗ること。左サイドの壁を作ることですが、スイングタイプによって意識したいことが異なります。
山下選手のようにインパクト前に左ヒザを伸ばしたり、ジャンプしたりする人は、左お尻で体重を受け止め腰を回していくイメージを持ってみてください。お尻がその場にとどまり腰が回転、楽に左足に乗れてフィニッシュを迎えられると思います。
一方で、ヒザを曲げたままインパクトを迎えるタイプの人は、右腰を回す意識を持ちましょう。左ヒザの角度と位置をキープしようとすると、腰が回転しにくく、腰が引けてスライスが止まらなくなります。右サイドを意識すればスムーズに回転できるので、結果的に左サイドの壁ができるのです。女子プロでいえば、木村彩子さんが良いお手本ですね。
フィニッシュでバランスよく立てないなら、ヒザの動きにフォーカス。タイプによって左お尻か右腰か、意識するポイントが変わってきます。フィニッシュが決まる回数が増えてくれば、ナイスショットの確率を上げることができると思います。
■山下美夢有
やました・みゆう/2001年生まれ、大阪府出身。2022、23年と2年連続で年間女王を獲得。24年も2勝を挙げたものの、メルセデス・ランキングは竹田麗央に次いで2位だった。今季から米国女子ツアーに主戦場を移し、「AIG女子オープン」にて海外メジャー初優勝。「メイバンク選手権」にて、ツアー2勝目を飾った。花王所属。
■解説:南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。
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