名門高の3年生が初プロテストで“堂々”首位発進 伊藤愛華「活躍している先輩はみんな憧れ」
            イチオシスト
        <JLPGA最終プロテスト 初日◇4日◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部 (岡山県)◇6464ヤード・パー72>
初めて経験する最終プロテスト。緊張で体が硬くなっても不思議ではない状況でも、埼玉栄高に通う伊藤愛華は、高校3年生とは思えない落ち着き払った足取りでスコアを伸ばしていった。「周りがバーディを取るなか、自分は前半ボギーが2つ出たけど、うまくコントロールできました」。それが、後半に記録した怒とうの6バーディにつながった。
「他の試合でも“自分は自分”と意識する練習をしていました」。スタート時から平静を保っていたわけではない。テストに備えて10月からJFEで練習を続けてきたが、「その時から(テスト本番を)想像しただけで、緊張していました」とも話すほど。そのプレッシャーのなか、日々の“鍛錬”が生きた。
「チャンスが来るまでと思いながら、“無”になっていました。私は考え過ぎても、考えなくてもダメなんですけど、“無”になれたのは初めてですね」。いわゆる、ゾーン状態に突入していた。
後半スタートの10番でバーディを奪い、そこから3連続。ラウンド中は「やっていることはゴルフ。普通の試合と変わらない」と、徐々に考えることができるようになった。「バーディが来た後が大事。悪いイメージでは上がりたくない」。理路整然と自分の心理状況などを振り返る姿も、とても18歳とは思えない落ち着きだ。
埼玉栄高といえば、現在、米ツアーで活躍する明愛、千怜の岩井姉妹や、渡邉彩香、菅沼菜々ら多くのプロを輩出するゴルフ名門校としても知られる。そんな先輩たちの背中は、なによりの見本。「自分がプロテストを受ける年代になって、プロがどれだけすごいのかが分かりました。レギュラーツアーで活躍している先輩は、みんな憧れです」。初日を終えて6アンダーは首位タイ。その場所に近づくうえで、最高の滑り出しを切った。
「きょうは後半だけで言えば100点です」。それでも前半のことを思うと「もっと伸ばせた」という考えも頭に浮かぶ。しかし、その後に続いた言葉も、やはり冷静さを感じさせるもの。「このスコアを毎日出すのは難しい。きょうはきょうで終わりにして、いけるところまでいければ」。いいイメージだけを、あすに残せそうだ。
今回の最終テスト106人の出場者(棄権1名)のうち初受験組は28人。うち16人は伊藤と同じ高校3年生世代だ。前日3日に18歳の誕生日を迎えた中嶋月葉(岡山・作陽高)が3アンダー・6位につけている。また2アンダー・7位タイにはツアー通算4勝の神谷そらの妹・ひな(岐阜・麗澤瑞浪高)、大谷麗音(れのん、長野俊英高)、1アンダー・16位タイに井上姫花(ひな、ECC学園高)と合格ラインの20位タイ圏内で初日を終えている。
同じJFEで行われた2年前の最終テストでトップ合格を果たしたのは、当時高校3年生の清本美波だった。4日間を終えた後、今年は何人の選手が“現役合格”を果たしているのだろうか。(文・間宮輝憲)
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