「この時期はメンタルが行き詰まる」逆転女王を狙う河本結が知る“終盤の戦い方”
            イチオシスト
        <樋口久子 三菱電機レディス 最終日◇2日◇武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)◇6690ヤード・パー72>
年間女王争いで独走状態の佐久間朱莉に待ったをかけるのは、メルセデス・ランキング(以下、MR)3位の河本結。最終日に「67」と伸ばして2打差の2位に食い込んだ。MR1位の佐久間と同2位の神谷そらは、最終組からスタートしたが、伸ばしきれずともに7位。わずかではあるが差を縮めた。
最終組には佐久間と神谷の2人が入り、4打差10位につけていた河本はその3組前からスタート。「伸ばしてくると思って、最低でも6(アンダー)いかないときついと思っていた」。神谷は前半で3つ伸ばして単独首位に立ったが、後半に失速。佐久間は前半から伸ばせない展開だった。
ボギーなしでゲームを進める河本に、後半は逆転優勝の可能性も出てきた。それでも「3日間、変わらない状態でプレーをしていました」。“エンジンをかける”、“スイッチを入れる”といった言葉はない。「淡々とこなした結果」と、優勝には届かなかったが、3日間60台を並べた。「大崩れすることなく終われたので、すごくよかった」と振り返る。
女王を争うふたりよりも上位に入って93.33ptを獲得。佐久間との差は676.83pt、神谷とは135.36ptに縮まった。「ちょっとの積み重ねが大事。マスターズGCレディスで朱莉ちゃんが優勝してポイントを離されたので、少しずつでも近づけるようにとは思っていました」。
淡々とプレーする中でも気持ちを入れたのは上がり2ホール。17番はグリーン右サイドのピンに対して、2打目はピンの右、いわゆるショートサイドに外した。砲台&下り傾斜のグリーンという絶体絶命のピンチの状況で、ギャラリーを沸かせるロブショットで3メートルに寄せてパーセーブ。最終18番パー5も、3打目を30センチに寄せてバーディを奪った。
「この時期になると1打、2打のポイント差がすごく響く。2位で終わるのと落として5位、6位で終わるのとでは全然違う。17番は気持ちを入れてアプローチをしました。すごく自信になります」。取りこぼすことなく2位に入れたことには納得する。
シーズンも終盤に入り、少しお疲れ気味の河本。「もう27歳ですから。朱莉ちゃんとそらちゃんの若さがうらやましい」と、女王を争う22歳の若さをうらやむ。「先輩からも『体が変化する』と言われていました。疲れがとりにくいとか故障しやすいとか」。以前から体には気を遣い、最近はケアにかける時間を増やしている。
体の変化を感じる一方で、若さに勝る経験がある。「この時期になるとメンタルが行き詰まるので、『練習しなきゃ』ってなるのが絶対によくない。上位に行きたいと思って練習するよりも、リフレッシュして試合に集中することが大事。残りの試合はメンタルコントロールで戦いたい」。
30試合以上こなしてきた終盤は体力面だけでなく、メンタル面の疲労も蓄積される。過去の経験から、終盤は練習場でビシビシ球を打つよりも、心のケアが大事なことを分かっている。「ラウンド後の練習ではドライバーはほとんど打たないし、ショートゲームが中心」と球数を減らす。
今大会2日目後は、「練習しないでバッティングセンターに行きました」とリフレッシュを優先。次戦の日米共催「TOTOジャパンクラシック」(6日開幕、滋賀/瀬田GC)では「京都の神社にお参りに行こうと思っています」と、考える時間はラウンド中だけにする。
TOTOにも気合いが入る。「海外の選手がいっぱいきますし、日本人で米国に出ている選手もいる。もう1回、JLPGAの意地を見せようかなと思っています。海外でやっている選手を回れるのは楽しみ」と話す。
今季2勝目となった「スタンレーレディスホンダ」は古江彩佳、渋野日向子、岩井明愛、岩井千怜、笹生優花、原英莉花ら米ツアーを主戦場とする選手が多数出場。日本を主戦場とする河本は「JLPGAの意地」を見せての優勝となった。今週のTOTOでも、河本が意地を見せつつ、年間女王争いも面白くする。(文・小高拓)
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