AKB48山内瑞葵(みずき)「舞台女優を目指していたんですけど、宮脇咲良さんに憧れてアイドルをやってみようと思いました」【連載 なんで令和にAKB48? Season2】

2005年(平成17年)12月8日に秋葉原で産声を上げたAKB48。前田敦子、高橋みなみ、小嶋陽菜、篠田麻里子、大島優子、指原莉乃ら数々のスターを生み出し、誰もが知る国民的アイドルグループとなった。
あれから20年、数々の伝説を作ったAKB48劇場は昨年末に完全リニューアルされ、それに合わせておよそ9年ぶりのオリジナル公演がスタート。そしてグループとして再び東京ドームに立つという目標が掲げられた。そんななかで現役メンバーは何を思うのか? 今、AKB48を見る意味とは?
昨年3月よりスタートした若手インタビュー連載に続いて、在籍6年以上のメンバーに話を聞く「なんで令和にAKB48? Season2」がスタート。
第2回は2016年12月8日に15歳でデビューした、16期生の山内瑞葵(やまうち・みずき)。前編は子役時代のことや、初センターの思い出などを語ってもらった。
■劇団四季の「ライオン・キング」に出演していました――最初にAKB48人生のターニングポイントを聞かせてください。
山内 初めてセンターを任せていただいた『失恋、ありがとう』(2020年3月18日発売)の活動期間です。加入してからずっと選抜メンバーになることを目指していて、いつかはセンターとしてグループを引っ張る存在になりたいと思いながら活動していたので。
目の前にメンバーが誰もいない景色は新鮮だったし、AKB48をもっと知ってほしい、好きになってほしいと思いながら活動するうちに、初期は泣き虫だったのが、ちょっと強くなれた気がします。責任感も強まったんじゃないかなと思います。
――小さい頃はどんなコだったんですか?
山内 おうちで歌って踊ることが好きなコでした。自分で作った振り付けで踊るのを、お父さんやお母さんに見てもらうとか。
元気なコだったけど、外に出ると人見知りで緊張しちゃって。初めましての方とかは全然話せなかったです。
――当時憧れていたものは?
山内 お父さんの影響でお休みの日はミュージカルや舞台を見に行くことが多かったので、舞台女優さんとか、ステージに立って踊ることに憧れていました。
――学校ではどんなコだった?
山内 体を動かすことが好きだったので、休み時間は友達と外で遊んでいました。
――何かスポーツはやっていました?
山内 ダンスを小学校1年生のときに習い始めました。たぶん、自分が家で歌って踊っているのを見て、両親がすすめてくれたのかなと。幅広くいろんなダンスを習っていました。
――山内さんはAKB48に加入する前に、子役として劇団四季の「ライオン・キング」に出演していましたよね。
山内 観劇に行ったとき、お父さんがふざけてかわからないですけど「あの役できる?」と聞いてきて。軽い気持ちで「できる!」と答えたのがきっかけで、オーディションを探してくれたんです。
自分もやってみたい気持ちが強かったので、とにかく頑張ってみたら、ありがたいことに合格しました。
お稽古は本当に厳しかったけど、ただただ楽しかったです。「ライオン・キング」もオーディションに受かれば出演できるわけじゃなく、お稽古を重ねて合格をもらえたら、デビューできる形でした。
――そこからどうしてアイドルの道に? アイドルは好きだったんですか?
山内 正直、興味はなかったです。ずっとミュージカルを見ていたので、舞台女優の道に進むのかなと思っていました。自分がアイドルをやることは想像もつかなかったですね。
――きっかけは何だったの?
山内 「ライオン・キング」に出演しているときに偶然、当時HKT48のメンバーだった宮脇咲良さんが観に来てくださったんです。咲良さんも昔、同じ役で出演されていて、それで楽屋にも挨拶に来てくださって。
そこで初めて咲良さんの存在を知ったんですけど、HKT48で活躍されていて、選抜総選挙とか、いろんな場面でどんどん上に登っていく姿を見てかっこいいなと。
咲良さんに憧れて、AKB48とかアイドルに興味が出てきたタイミングで、ちょうど16期生オーディションがあったんです。中学3年生のときでした。
――舞台経験があるから、AKB48のオーディションは楽勝じゃない?
山内 いやいや、めっちゃ緊張したのを覚えています。やっぱりミュージカルとは全然違って、AKB48について詳しいわけでもなかったので。
とにかく咲良さんに憧れて受けていたので、まわりのコたちの可愛さを見て「大丈夫かな」という不安はあったんですけど、ダンスとか活かせる部分もあったので、自分の最大限は出し切れました。
――受かる自信はあった?
山内 うーーん。どちらかと言ったら、あったかもしれないです。
――AKB48に入って、ギャップとか驚いた部分はありましたか?
山内 最初は自己紹介の声の出し方とかが、ミュージカル調でハキハキしすぎていて、よくイジられました。あと、ミュージカルは斜め上を見てパフォーマンスすることが多いんですけど、アイドルはファンの方の目を見るじゃないですか。レスを送るとかが初めは全然できなかったです。
――ステージは緊張した?
山内 それは全然なかったです。でも、MCや握手会とかは慣れなくて苦戦していた記憶がありますね。
――人見知りでしたもんね。
山内 同期とも仲良くなるのに1年ぐらいかかったんです。しゃべることはできるけど、そこまで仲良くなれなくて。
――田口愛佳さんから聞いたんですけど、山内さんは同期ではパフォーマンスがズバ抜けていたと。
山内 本当ですか? 私からしたら愛佳もオーディションのときから目立っていて「このコは受かるだろうな」とずっと思っていました。
16期で一番最初に仲良くなったのも愛佳で、オーディション中に向こうから話しかけてくれたんですよ。当時のことで覚えているのが、待機時間に愛佳がオーディション参加者みんなを集めてストレッチしようって。
――どういうことですか?
山内 審査前で、各自ストレッチをしていたんですけど、「みんなでやったほうがよくない?」と、みんなに声をかけて。私はそういうのができないので、すごい度胸のあるコだなと思っていました。
■ずっと目指していたセンターになるもコロナ禍で......。――初選抜は『Teacher Teacher』(2018年5月30日発売)でした。
山内 SHOWROOMでの選抜発表だったので、私も配信をしながら、本当にドキドキしながら発表を見ていました。名前を呼ばれたときは本当にびっくりしましたし、すごく嬉しかったです。ようやくスタートラインに立てたなと思えたシングルです。
――2017年に研究生からチーム4に昇格。翌年6月より公演が始まりましたが、センターポジションに立つことも多かったですよね。
山内 チーム4で歌った『猫アレルギー』とかではセンターをさせてもらいましたね。懐かしい......。当時を振り返ると(村山)彩希さんに支えてもらったことが大きいなって。16期生のプロデュース公演でソロを任せてもらったのもそうですし。
――山内さんは16期のエースとして順調に駆け上がっていた感じがありますけど、挫折した時期はあるんですか?
山内 初めて挫折したのは『サステナブル』(2019年9月18日発売)で選抜落ちを経験したときです。焦りを感じました。でも、カップリングでNMB48の梅山恋和ちゃんとダブルセンターで『モニカ、夜明けだ』という楽曲をいただいて、その歌詞にすごく助けられたんです。
「君だけが落ち込んでもしょうがない。光が当たらないときもある」、「君が救世主なんだ」とか。当時は自分に当てはめて、改めてまた頑張ろうって。
――まるで山内さんの気持ちを歌うような。
山内 励ましてくださる方も多くて、自分はたくさんの方に愛してもらっているんだなって、改めて気づけたというか。ファンの方のおかげで頑張れました。
――その次のシングル『失恋、ありがとう』で選抜復帰。さらにセンターに抜擢されました!
山内 リクエストアワー(2020年1月20日)の最後にモニターでセンターを発表されたんです。選抜メンバーが次々と発表されていくんですけど、私の名前が出てこなくて、今回もダメだったかと落ち込みそうになったときに、最後に自分の顔がモニターに大きく映って、頭が真っ白になりました。
――サプライズですね。
山内 嬉しさで崩れ落ちました。ずっと目指していた場所だったし、このシングルでさらに自分自身も強くなって、グループをもっと大きくするぞって気持ちでした。
――でもコロナ禍に入っていくという......。
山内 センターとしての楽曲お披露目や握手会、ライブも中止になってしまい、何もできない状況になってしまいました。
――大変な時期でしたよね......。
山内 AKB48としては配信でファンの方を楽しませようとする試みをしたり、ちょっと落ち着いたあたりでソーシャルディスタンス公演をやったり。何かできることを探しながら、みんながひとつになって乗り越えた期間だったなと。
シングルとしては思うように活動できなかったかもしれないけど、あの期間があったからこそ、今は握手会も復活して、「コロナ禍で好きになった」という方もたくさんいらっしゃって。あのとき諦めずに頑張ってよかったなって心から思います。(後編に続く)
【連載「なんで令和にAKB48?」は木曜日更新。ひとりで挑戦中のラジオや今後の夢などを語る後編は10月30日公開!】
●AKB48
2005年(平成17年)12月8日、秋葉原のAKB48劇場で1期生お披露目。
2022年(令和4年)5月4日に17期生、2023年4月9日に18期生、2024年3月17日に19期生、12月20日に20期生がデビュー。
OGメンバーも多数登場する「AKB48 20th Year Live Tour 2025 in 日本武道館 20周年記念コンサート」が12月4日~7日開催!!
最新情報は公式ホームページをチェック
●山内瑞葵(やまうち・みずき)
2001年9月20日 東京都出身
身長163cm
Nickname=ずっきー
公式X【@MizukiYamauchi】
公式Instagram【@zukky_48】
取材・文/関根弘康 撮影/篠田直人
記事提供元:週プレNEWS
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