チャンス到来! 高市早苗銘柄を追いかけろ!【坂本慎太郎の街歩き投資ラボ】
祖業はガムテープの製造で、1927年の創業以来、赤字になったことがない。 手元の現金は豊富で、海外企業のM&Aを狙う
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
今週の研究対象隠れ半導体銘柄(リンテック)
自民党新総裁が高市早苗氏に決まってから、株式市場の値動きが非常に激しくなっている。このビッグウエーブに乗りたい!! 出遅れているテーマ株を探した。
助手 自民党総裁選、高市早苗さんの勝利で一気に市場の空気が変わりましたね。ニュースやSNSでは「高市トレード」なんて言葉まで出てきて、高市さんが力を入れそうな政策に絡む銘柄が値上がりしてるとか。
坂本 ええ。自公の連立解消で政局はやや不安定になってますが、マーケットでは宇宙・防衛や先端医療に加えて、半導体関連銘柄なんかが好調でしたね。
助手 ここは流れに乗って半導体関連銘柄に投資するのはどうです?
坂本 悪くないけど、"ど真ん中"の半導体関連銘柄は、すでに高値圏で今からは入りにくい。例えば東京エレクトロン、アドバンテストなどで年初来高値や上場来高値の更新が相次ぎました。値動きも大きいし、初心者が投資するのはしんどいかもね。
助手 この波に乗るのは難しいってことですか。
坂本 ど真ん中から少しずらして投資先を探せばいい。今回は隠れ半導体銘柄のリンテックを取り上げよう。
助手 なんで"隠れ"なんですか?
坂本 同社はもともとガムテープの製造で創業したんですが、粘着技術と包装用装置由来の"貼る・剥がす"の技術をセットで磨き込み、今では半導体製造の要になる製品を作っているんです。ただ、世間からは「テープの会社でしょ?」と思われて目立っていない。だから隠れ半導体銘柄なんです。
助手 面白そう。でも、粘着技術と半導体って関係あるんですか?
坂本 半導体製造の後工程でテープや保護フィルムを使うんですよ。
助手 後工程って?
坂本 半導体製造は前工程と後工程に分かれるんです。前工程は、丸いシリコンの板(ウエハー)に回路を作り込む段階です。薄い膜を重ね、光で回路の形を写し取り、不要な部分を削る、この積み重ねを何十回も繰り返します。後工程は、そのウエハーを製品に仕立てる段階。ウエハーを小さく切り、薄く削って部品として封止・実装し、検査して出荷する。リンテックが強いのはここで、チップを守るために貼るテープや保護フィルム、その貼りつけ・剥離を行なう装置まで作っているんです。
助手 同社が後工程に強い理由ってあるんですか?
坂本 繊細なものに対応できる技術力があるからですよ。後工程では加工が進んでチップは薄くて割れやすくなる。だから、保護するためのテープは「加工時は強く保持し、必要な瞬間にスッと剥がせる」という、相反する性質を持つのが理想です。リンテックはUV(紫外線)を当てると粘着力が落ちるテープを開発して、その両立を実現したんです。
助手 なるほど。
坂本 さらに、テープを最適に貼り、UVを照射し、剥がすための装置も自社製。材料と装置をセットでチューニングでき、各社のラインに合わせて微調整可能なのも強みです。実際、同社はUV硬化型ダイシングテープで世界トップシェア、表面保護テープも高シェアを持っています。
助手 そんなに強いんですか。AIで半導体の需要が増えるって話も聞くし、リンテックの業績はまだ伸びしろがありそうですよね。
坂本 そのとおり。AI用の半導体は処理量増加や電力効率の観点からチップをより薄くする流れになっています。微細化・薄化が進むほどウエハーなどの取り扱い難易度が上がるから、リンテック製品の価値は高まるはずです。長期投資で面白い銘柄だと思います。
今週の実験結果
"テープの会社"というイメージが先行しており、半導体銘柄としては安い水準です
構成/西田哲郎 撮影/榊 智朗
記事提供元:週プレNEWS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。