ラフからのアプローチシャンク激減! フェースを開いたらややカットで打つ【四の五の言わず振り氣れ】
昨年でツアーから撤退した上田桃子やルーキー・六車日那乃などを輩出する「チーム辻村」を率いるプロコーチの辻村明志氏がラフの対処法を紹介する。
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日本女子オープンや日本オープンでは深いラフが名物となっています。ボールがどのように飛ぶか計算しにくいため、ツアープロでも打つのが難しいものです。芝の長さ、密集具合、粘っこさ、またボールの沈み方によっていろいろな打ち方が求められる。そのため、なかなか言葉だけで教えられるものではありません。
ボクがアマチュアの皆さんに伝えられる、青々と茂ったラフでのフルスイングの基本があるとすれば、それは“絶対に無理をしない”こと。その方法として深いラフにつかまったら、残り距離を2で割りましょう。例えば残り200ヤードなら2で割れば100ヤード。つまり100ヤード2回、ショートアイアン2回でグリーンをつかまえることができるのです。これならフェアウェイキープしたナイスショットと1打しか違いませんし、残り100ヤードならパーセーブも決して不可能ではありません。
さて、ラフからの打ち方で、ボクが皆さんに伝えたい技術がひとつだけあります。それはアプローチショットです。
ボクの知り合いにアプローチ上手なアマチュアの方がいるのですが、「深いラフに入ると、なかなか寄せワンができない」と嘆いたことがありました。そこで一緒にラウンドした際、そんなアプローチ上手な方でも大きな勘違いをしていることに気が付きました。
深いラフからアプローチをする場合、ロフトのあるSWを使う人が多いはずです。芝の抵抗を考えれば、そのこと自体は間違いではありません。そして、ヘッドがラフでもより抜けるようにアドレスでフェースを開いて打つわけですが、その方はフェースの下目で打とうとしていたのです。
その結果、刃が芝に当たり、その抵抗に負けてしまうのが、ザックリの原因でした。こうした勘違いをしているアマチュアは、とても多いと思います。
そこでまずウェッジのフェース面を、上下左右に4分割してみましょう。ラフからのアプローチに限らずフワリとしたボールは、自分から見て右上、つまりフェースのトゥ側の上側で打たなければならないのです。
そのように聞いて、「トゥの上側にどうやって当てるの?」と思う読者の方もいるかもしれません。
そこで、大切となるポイントが、フェースを開いたらややカットに振っていくイメージを持つことです。ややカットに振りにくければ、オープンスタンスに構えるのもいいでしょう。これによりフェース面を長く、広く使えます。ボールがフェース面を斜めに駆け上がる、といったイメージでしょうか。そのぶん、ボールがフェースに乗る時間も増えて、スピンもかかります。これはバンカー越えや、ショートサイドに切られたピン、まして傾斜が下りのグリーンなどでも使える技術です。ネックに当たってシャンク……といった大きなミスは、このややカットに振るイメージがないからだと思ってください。
ラフに負けないよう、グリップを力いっぱい握り、力任せに振る人もいます。しかし、これも大きな間違いです。ラフからのアプローチはヘッドの重さを感じることが何よりも重要。そのためには、グリップはむしろやさしく柔らかく握りましょう。大工さんでも板前さんでも、道具を力いっぱい握る一流はいません。ゴルフもまた同じです。
重さを感じるためには、グリップを両手の指先だけで握っての素振りがオススメ。ヘッドをゆったり走らせて振るコツを覚えることで、芝の抵抗に負けることなく、芝を上手にカットできるはずです。この芝をカットするイメージがあれば、ヘッドの加速にもつながります。インパクトの減速は、あらゆるショットの天敵です。
さらに加えれば、フォローでは右手のヒラが空に向くよう振っていきましょう。慣れないうちは怖いと感じるかも知れません。しかし、フェースを開いてややカットに振れば、ボールは前には飛びません。これでラフを攻略してください。
■辻村明志
つじむら・はるゆき/1975年生まれ、福岡県出身。上田桃子、六車日那乃らのコーチを務め、プロを目指すアマチュアも教えている。読売ジャイアンツの打撃コーチとして王貞治に「一本足打法」を指導した荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。元(はじめ)ビルコート所属。
※『アルバトロス・ビュー』874号より抜粋し、加筆・修正しています
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