パットを科学で…渋野日向子の課題を明確にした福岡での3時間 「変えたい、変わりたい、逃げたくない」
<富士通レディース 事前情報◇16日◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)◇6697ヤード・パー72>
約7カ月ぶりの日本ツアー出場となった先週の「スタンレーレディス」は、2日目の「75」が響き予選落ち。それでも「切り替えてここに来ました」と、その表情は明るい。この大会に出場するのは、2021年以来2度目だが、その時は3位になっている。コースの細かな記憶まではさすがに覚えてはいないが、「前回はいい位置で戦ってたな」という思い出はよみがえってくる。
先週、苦しんだのはパターだった。短い距離を外す場面については「ショックだった」とも話す。だが、今週はそんなグリーン上に期待を抱いている。「修正点がある。手で操作をしないように。ポイントが明確になって、ちょっと先が見えました」。それも明るい声の理由になる。
“明確になった”きっかけは、今週の火曜日にある。「今まではあまり型にとらわれないように、感覚でやっていました」という自分のパッティングを、福岡にあるパタースタジオで見直した。データなども駆使しながらの「パターの勉強」は、以前も「1回見てもらったことがあったらしい! 5年くらい前に」と笑いながら話すほど、これまで本腰を入れてきたものではなかった。ただ「科学的なものも必要かな」と、悩み解消へのひとつのアプローチとして利用した。
そこで判明したのが、手でパターを操る動作が多すぎるという点だった。しっかりと体で打つという基本動作の欠如に気づかされたという。その改善ポイントを洗い出し、新たな“型”を作ろうとしているのが今。「今はまだ考えながらやらないといけない。考えることは多いけど、信じて打ちやすい」。その日以降、これまで培ってきた感覚の不要な部分は抑え込もうとしている。
「ワールドレディスサロンパスカップ」でのツアー初優勝や、「AIG女子オープン」(全英)制覇などを成し遂げ、日米ツアーで年間5勝を挙げた19年の平均パット数を見ると、パーオンホールが『1.7582』の2位で、1ラウンド当たりも『29.11444』の5位と、そのグリーン巧者ぶりが数字にも表れている。ただ、それも「感覚頼りだった」と振り返る。そして3時間のレッスンで、理屈を取り入れた。
先週のパット数は初日が『31』で、2日目が『30』。今季を考えても、ここが不振脱出の糸口と考えている。「悩みに悩んで、悩みまくって。変えたいし、変わりたいし、逃げたくない。頭が地面に沈みそうになっていくから、引っ張ってもらって」。もがいている現状を、こう表現する。
「ちょっとでもきっかけがもらえれば。信じて(パットを)打つこと。予選を通りたいです」。2週後の「樋口久子 三菱電機レディス」まで、日本での4連戦も確定した。しっかりとした土産を手に米国へと戻れるよう、試行錯誤は続いていく。(文・間宮輝憲)
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