「全英に行かなかった分、絶対に優勝を」 桑木志帆が“勝利の美ビール”に酔う通算2勝目
<ニトリレディス 最終日◇25日◇桂ゴルフ倶楽部(北海道)◇6651ヤード・パー72>
首位タイから出た桑木志帆が「70」とスコアを伸ばし、トータル12アンダーで今季2勝目を飾った。大の酒好きがツアー初優勝の「資生堂レディス」(6月)から「次に優勝するまで」とビール断ち。わずか2カ月で自ら設定したハードルをクリアし「きょうはビールが飲めます」と満面の笑みを浮かべた。
最終日の序盤から単独首位を走ってきた桑木だったが、13番で初ボギーを叩くと、16番では7メートルのバーディトライから3パット。終盤でリードを失った。それでも「最後まで自分を信じることができた」と17番パー3では2メートルのチャンスをものにし、再び1打リード。最終ホールもしっかりパーをセーブした。
決断を下した時点では「体調もゴルフの調子も良くなかった」と海外メジャー「AIG女子オープン」(全英)の出場を辞退して臨んだ今大会。「語弊があると嫌なんですけど、全英に行かなかった分、絶対に優勝したかったので、すごく気合が入っていました」。大会前時点でメルセデスランキングは出場選手中2番目の11位(10位で最上位だった高橋彩華は3日目に棄権)。“本命”として、しっかり勝ち切った。
今大会で桑木のキャディを務めた工藤大之進さんは、一昨年、プロも出場する「北海道オープン」を制し、「日本オープン」にも出場したトップアマ。練習日、プロアマは都合がつかず、開幕前日の水曜日の夜に初対面だったが「そこに不安はなかったですね。週に何度もこのコースを回っている方なので、風が回っている時とか、すごくサポートしてもらいました」と信頼は厚かった。一方の工藤さんは「男子プロの知り合いはたくさんいるんですけど、ロングアイアンやUTの精度は桑木さんの方が上だと思います」とそのショットメーカーぶりを絶賛する。
初優勝以降、禁酒ではなくビールだけを断ってきたという桑木は「ダイエット中なので、ビールをやめようと思ったんですけど、いつまでやめればいいのか分からないので、次に優勝するまでにしてました。これできょうは飲めます」とニンマリ。久々のビールでの祝杯を宣言した。
思い起こせば、昨年の北海道でのこと。桑木が前日に行ったという寿司店の感想を尋ねると「美味しかったんですけどねえ、できればお酒が飲めるときが良かったです。試合中は飲まないので」と返ってきたことがあった。当時は20歳とは思えない言葉に驚いたが、21歳になり、一層お酒の魅力にハマっているようだ。
この優勝でメルセデスランキングは5位に浮上。「えーマジですか?」と驚きつつも「(最終戦の)『JLPGAツアー選手権リコーカップ』までに3位以内に入りたいです。初優勝から2カ月で優勝できたので、この調子でいけば、それも見えてくると思います」と大きな目標を掲げた。もちろん、リコーも勝って年間女王に輝くというのが、その先に続くシナリオ。そのまま、シーズンオフを迎えるだけに、その時は存分に祝杯をあげられるはずだ。(文・田中宏治)
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