「流行りに乗った」新パターも投入 渋野日向子はボギーフリーの一日も…大観衆の前で「ショートするのはだせぇ」
<スタンレーレディスホンダ 初日◇10日◇東名カントリークラブ(静岡県)◇6435ヤード・パー72>
1番ティに入る時、スタンド、さらに周りを取り囲んだギャラリーから大きな拍手が送られる。『おかえり~!』、『頑張って~!』という声援でも、やる気を奮い立たせられた。3月の「Vポイント×SMBCレディス」以来、約7カ月ぶりとなる日本ツアーを戦う渋野日向子は、「1番や18番は、アメリカにいると当たり前の景色ではない。ずっと見てもらえるのは幸せ」と、平日ながら3046人が集まったギャラリーに感謝した。
そのなかで3バーディでボギーフリーのラウンド。首位と4打差の3アンダー・28位タイで滑り出した。だが、「比較的ボギーになる要素が少なかった内容ではあったので、どちらかというと、もうちょっとバーディが欲しかったという気持ちが強いですね」と本音もこぼれる。特に自分へ注文をつけたのが、グリーン上のプレーだった。
パー5の3番で3メートルのバーディパットが外れるなど、“あと一筋”という場面は本人の気がかりになる部分。「すごくもったいないのが多かった。しっかりラインに乗せれられている感覚はあるし、そんなにひどいミスはしてない。タッチは良かったなと思うけど、“タッチは合うけど入らない”みたいなのが今年は続いて、きょうもそういう流れでした」。
打ち切りたい、でも打ち切れない、もどかしさ。前半9番では、オーバーはしたが、2メートルほどカップを過ぎるピンチもあった。「打ったら9番みたいな、やばい…、セーフ!みたいなのもあったし」。しっかりと仕上がった高速グリーンで、その塩梅を測りながらの18ホールでもあった。
「気分転換に」と、今週からテーラーメイドの大型マレットパター『スパイダー ツアーV V7』を投入している。この会場で試して、即投入したもの。スパイダーシリーズを使用するのは「はじめまして」のこと。理由については、「最近パッティングのイメージがあまり良くなかったので…流行りにのっただけ」と笑う。ただ『スパイダーXカッパーホワイト スモールスラント』で米ツアー初優勝を果たした岩井明愛ら使用者も多いシリーズというのは事実。「結果が出ているものを使ってみようかな」。これも試行錯誤のひとつだ。
ただ、「こういうスコアだし、今年も(ショットが)散らばる時は散らばっているから、落ち着いたゴルフだったなと思います」と、うなずける部分も多い。歓声に加え、ともに2018年のプロテストで合格した同期の菅沼菜々、そして同じ岡山県出身の後輩・桑木志帆とのラウンドで、開幕前に意識したいと話していた「笑顔」も自然と溢れてくる。最後は3メートルを決めてのバーディ締め。いい感触は手に残すことができた。
「今年の結果で偉そうに言うのはあれですけど、物足りなかった」。見据えるのはあす。その2日目はあいにくの雨予報だが、世間は3連休の初日に突入する。ギャラリーを引き連れるのは「気が引き締まるし、緊張する」という、日本ツアーならではのひさびさの経験。「そういう中でパッティングがショートするのはだせぇなと思っちゃいました」。本人もギャラリーも“お腹いっぱい”になるまで、バーディを奪いたい。(文・間宮輝憲)
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。