日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『層間騒音』をレビュー!
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。 韓国映画で3週連続
興収1位を記録した、"音系"団地ホラー映画!* * *『層間騒音』
評点:★2.5点(5点満点)
© 2025 FINECUT Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED一人称視点が信じられないのは困る
興収1位を記録した、"音系"団地ホラー映画!* * *『層間騒音』
評点:★2.5点(5点満点)

© 2025 FINECUT Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED一人称視点が信じられないのは困る
映画にはさまざまな「語り口」があって、それを操ることで多くの効果を生み出すことができる。
良い例が三人称と一人称を自在に行ったり来たりすることで、これは、観客の感情を揺り動かす最も基本的な方法の一つだったりする。
客観的な「物語」と思って観ていたものが、一人称視点が挟み込まれた瞬間、突如としてパーソナルでエモーショナルな「体験」として感じられるようになるのはそのためだ。
映画における叙述上のトリックとして、いわゆる「信頼できない語り手」を使うのが難しいのは、その「パーソナルでエモーショナルな体験」が虚偽だったことを観客に受け入れさせなくてはいけないからである。
本作は古びたマンションを舞台に、上の階から聞こえる奇怪な騒音の正体をめぐるミステリーが恐怖へと変わるホラー映画で、着眼点はとても良い。
集合住宅の騒音問題は多くの人が実際に体験することであり、また、壁一枚へだてた隣人の生活の実態は常に謎で恐怖の源泉たり得るからだ。
しかし、一人称視点で語られる出来事がどれも信じられないため、何が本当に「怖い」のか分からなくなっている。
超常現象が「アリ」なのか「ナシ」なのか、曖昧にするべきではないのである。
STORY:ある日、聴覚障害のあるジュヨンの妹が突然失踪。妹の部屋の天井には防音シートが敷き詰められていた。隣人から夜は静かにするよう脅されるが、部屋には誰もいない。部屋に泊まったジュヨンは補聴器を介して奇妙な音を聞く
監督:キム・スジン
出演:イ・ソンビンほか
上映時間:93分(全国公開中)
記事提供元:週プレNEWS
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