"大喜利が強すぎるアイドル"新居歩美、最新デジタル写真集は彼女の作詞曲がモチーフ!「人が怖い」という悩みは「私に原因ありますね!」
今年の春、YouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』で"大喜利が強すぎるアイドル"として注目を集めた、アイドルグループ「ドラマチックレコード」(以下、ドマレコ)の新居歩美(にい・あゆみ)が、10月13日(月)に最新デジタル写真集『夜にほどけて』をリリースする。
大喜利が強いだけでなく、グループでは時おり楽曲の作詞も務めている彼女。今作は「作詞・新居歩美」の看板曲『夜空のよすが』をモチーフに、物憂げな少女とそんな少女を見守る存在という二役を演じるような撮影を行なった。
本インタビューでは、そんな撮影の話や、グループの外で戦い続ける自分自身の分析などを語ってもらった。
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■自認は「ロックンローラー」――『NOBROCK TV』初出演から"大喜利が強すぎるアイドル"と呼ばれ始めて約半年。相当なプレッシャーを受けながら過ごしていると思いますが、すり減ってはいないですか?
新居 いや、実は何なら「前より楽」な状態です。というのも、まず前提として私は自己肯定感が皆無なので、「全員に嫌われている」と思いながら生活してるんですけど、『NOBROCK TV』さんに5回呼んでいただいたことで、動画のコメント欄がすごく温かくなったんですよ!
――前提はさておき、確かに視聴者から認められている雰囲気は増しましたね。
新居 正直、最初の頃はずっと怯えながら出させていただいていたというか、自分はヒールのような存在だと思ってたんです(笑)。今はちょっとだけ気の張り方を緩めてやれるようになりました。でもその代わり、「"大喜利ができる人"からもう1個進まなきゃなぁ」って、タレントとしての壁に今ぶつかっている感じです。なので、すり減ってはないんですけど、悩んではいます。
――なるほど。前回のデジタル写真集こそ、そんな新居さんの大喜利力が生きるような撮影を行なったんですが、今回はグループで何度も楽曲の作詞を務めてきた新居さんの世界観にフォーカス。代表曲『夜空のよすが』から着想を得て撮り下ろしました。
新居 すごくありがたいお話でした。『夜空のよすが』はライブではフロアを沸かす曲なんですけど、歌詞に注目すると、寂しい夜を救ってくれる「お守り」のような曲なんです。作詞するとき、ドマレコのスタッフさんから「応援ソングを」って言われたんですけど、私自身がネガティブなので「頑張れ!!」って言葉がどうしても自分に響かなくて(笑)。それで「大丈夫だよ」って、"夜空はみんなの背中を押すよ"っていうアガペー(「無条件の愛」の意)のニュアンスになりました。
――そんな詞をお借りしたデジタル写真集。仕上がりはどうでした?
新居 いや、最高でした。生活があって、夜が来て、そしてまた朝が来る......っていう、そんな「日常」の中のロマンチックを撮っていただけたのも嬉しかったですし、特に高層ビルの屋上で撮影した夜のカット。夜のグラビア撮影が初めてだったのもあると思うんですけど、こんなに幻想的でドラマチックに写るんだって。
――ファンも見たことない新居さんが写っていたかなと思います。当日の思い出は?
新居 夜の撮影の話が続いちゃうんですけど、最初は遠くの夜景をバックに撮っていたじゃないですか。でも、照明のセットチェンジのときにたまたま生まれた逆光と屋上の床で、予想外にめちゃくちゃ最高な空間が生まれて、そこで撮影することになったという。私、自認を「ロックンローラー」にして生きていたいって思いがあるんですけど。
――Xにいるオタクみたいな表現ですね。
新居 (笑)。そこで撮影したカットが、バンドのCDジャケットになってもおかしくないくらい、自分でもびっくりする神秘的な画で。グラビアの域を超えるあの感じが、偶然の産物で撮れたこと。思い出として大きいですね。
――そしてラストカット、朝のシーン。これまで回数を重ねてきた新居さんのグラビアとしては"最大露出"といえるのかもしれません。
新居 はい。着てないみたいですよね(笑)。でも本当に、夜は少し着飾って、朝は素のまま、さらけ出す感じで。「新居歩美ってこうだ」って、ストーリー性を感じられるのがいいなと思いました。

■こういう考えが「売れるため」には壁になる
――冒頭の話に戻りますが、『NOBROCK TV』も先日の出演で早くも5回目。他の大喜利バラエティ『設定さん。』や、お笑い芸人たちとのイベントにも出演してきた約半年。お笑い界でも「なんだかめちゃくちゃ面白い子」と認識され始めています。
新居 この前、サツマカワRPGさんと共演させていただいたとき、スッと「動画見てますよ」って言われて。"地上"すぎる人からそんなふうに言っていただいて「怖いなー!」って思いました。
――アイドル界の外でも認知度が上がってきた証ですよ。
新居 そうですね......。この前、池袋のサンシャインシティ噴水広場でライブイベントをしたときも、自己紹介で名乗ったら「あの?」って反応があったり、Xでエゴサしたら「池袋にいたドラマチックレコードって、新居歩美がいるところか」って呟きがあったり。一般知名度はグループのためにどんどん上げたいので、より頑張りたいなって気持ちです。
――それこそ冒頭、「タレントとしての壁にぶつかっている」と言っていましたが、どんな壁ですか?
新居 いや、ありがたいことにいろいろ注目していただいているんですけど......私、どう考えてもゴールデンのバラエティで見るタイプとか、朝の情報番組で見るタイプではないんだよなっていう(苦笑)。
――まぁ、どちらかに絞ってしまうなら深夜帯やネット系のタイプですよね。
新居 そうなんです! どんどん明るみを目指して頑張りたいんですけど、多分自分の変なこだわりとか信念が邪魔をしているんだろうなって葛藤もあって。
――そのこだわりや信念、聞いてもいいですか?
新居 もっと「バラエティで売れたいです!」って感じでがむしゃらにやれたらいいんですけど、「アイドル」とかグループが最優先なんですよね。例えば、これだけ注目していただいているんだから、もっとSNSでもネタツイートとか"毎日大喜利"みたいなことをやってもいいのに、アイドルっぽい自撮りポストしかしたくないし。ライブ中にボケてもいいはずなのに、ドマレコの世界観を優先したいから絶対にボケないし。
――コメント欄にもありましたね。「淡々とネタツイだけしてるタイプかと思ったら、普通にアイドルらしくかわいいSNS運用をしていた」と。
新居 あくまで「アイドル」なのでっていう。急に注目していただいたからって、それまでの自分を全部捨てて大喜利に全振りしちゃうのはアイドルの自分を大事にしていないし、アイドルの自分を応援してくれてる人にも失礼だなって。......こういう考えが「売れるため」には壁になるんだろうなーって、ぞっとしている最近です。
――でもアイドルとしてのプライドを感じますし、そこまで分析して葛藤しているのがきっと新居さんの"頭の良さ"という強みなんじゃないですか?
新居 いやいや......自分、もはや高卒でもないんで。高校を卒業したと思い込んでたけど、よく考えたら高認試験を受けた覚えがなくて。でも高校に「卒業できてます?」って確認したら「卒業した」か「卒業できていない」のどちらかが確定するので、怖くて連絡していない......という"シュレディンガーの中卒"なので。
――「箱を開けるまで中の猫が生きているか死んでいるかわからない」という物理学者の思考実験、ふつう学歴トークに使わないですよ!
■私に原因ありますね!(笑)――『NOBROCK TV』最新回あたりから、徐々に"大喜利が強すぎるアイドル"という切り口から、新居さん自身の"人間性"である、「極端に他人と会話ができないこと」にフォーカスが当たり始めた気がします。
新居 それこそ『NOBROCK TV』の初期は「ただ愛嬌がないコ」だったと思うので、佐久間さんがこの性格をすごく面白く昇華させようとしてくださっていて。すごくありがたいです。でも私は愛されキャラではないのでどうなんだろうって。やっぱりテレビマンって、明るい人が好きじゃないですか。
――わかりますけど......今回、ごく普通のトーンでずっと後ろ向きなことを話しますね(笑)。
新居 今、わかりやすい「かわいさ」みたいなものが欲しいんですよ。自分はそれで病むくらい性格がかわいくないので。
――例えばどういうことですか?
新居 例えばグループでの活動中、メンバーの誰かが後ろでつまずいたとして。みんなは「大丈夫?」って言って駆け寄るけど、自分はつまずいた音を聞いて「大丈夫だ」と思いながら、絆創膏とかも持ってないし、「駆け寄っても野次馬になるだけじゃん」って思って、遠くから「平気?」の一言だけ送ってその場を済ませちゃうとか。とにかくかわいくないし、わかりやすくない(笑)。
――合理性だけを重視するような。
新居 そう! 私、"効率厨"なんです!(笑)。これが人付き合いでも悪さしていると思うんですよね。
――今、「他人が怖い人」として知られ始めているじゃないですか。それはどういう部分なんですか?
新居 いや、仲良くなれる人が出てくるならこの上ないんですよ。......根本的なんですけど、「私といてもメリットないだろ」って思っちゃうんですよね。
――メリット?
新居 仮に私と会話が盛り上がっても時間を使わせるだけというか、なら喋らないほうがいいというか(苦笑)。それこそ、前にいたグループで同期だったコとか、同じ中学で一緒に上京してきたコとかだったら、会話に「意味が必要ない」から何も気にせず喋れるし、仲良くなれるんですけど。大人になってからパッと出会った人って、「すみません。私と喋っても何も出ませんよ」と思って、私も喋れなくなるという。
――いや、大人の会話、いわゆる世間話なんてほぼ意味がないんですよ! だけどみんな会話する中で共通点や何かを見つけているんです。
新居 そうなんですけどねー......(笑)。「無駄なことはしない」って"効率厨"が邪魔するんですよね。する必要のない会話、文字通り「必要ない」と思っちゃってるので。
――例えば「今日、本当に暑いですね」「でも午後雨らしいですよ」みたいな天気の話とか、方言が聞こえたら「もしかして西日本ですか?」とか。誰しも、そういう小さいところから会話を始めるんですよ。
新居 でも、それってみんなわかりきってるじゃないですか。だから聞かないし話さないというか......。私も香川出身なんですけど、例えば「香川って何かオススメなものあります?」って言われても、「この人、多分香川には来ないだろうし、来たとしても今私が言うこと、覚えてないだろ」って思って。「なんにもないんですよ」で済ませちゃうんですよ。繰り返しですけど、この会話、相手にとって無駄じゃないかって。
――「人が怖い」や「友達ができない」、過去にもいろいろ言っていましたが......これ、新居さんのその面倒くささが悪くないですか?
新居 あははは、たしかに! 私に原因ありますね!(笑)
――佐久間さんが早く面白く昇華してくれること、楽しみにしています!
■自分の心の中で硬い部分――そんな人柄も見えたところで。先述のトークイベントで「グループのためになって、私が傷つくだけなら何でもやる」と話していたのが印象的でした。
新居 言いました(笑)。でも、前回のインタビューも含めて何度も言うとおり、「グループのため」なら何でもできるんですよね。むしろ、もっと目立って傷つきたいって思うくらい。
――もっとですか?
新居 ファンの人から「ドMなんじゃないか」とも言われるんですけど(笑)、褒められるライブハウスにずっと出続けるなら、自分を知っている人がいないところにも飛び込んでみて、そこから何かを開拓していきたいというか。ちょっとくらい心に負担があっても、グループに何かを持ち帰れるほうが全然いいなって思うんです。
――新居さんが作詞したグループの最新曲『ランナー』。"痛みなら追い越した"という歌詞がありますね。
新居 あれは一番、自分の心の中で硬い部分です(笑)。
――芯の部分なんですね。そして、ドマレコは来月、過去最大規模のKanadevia Hall(旧TOKYO DOME CITY HALL)でのワンマンライブが控えています。
新居 私、過去のどのワンマンライブでも直前に不安になっていて、メンバーからすると「また始まったよ」って扱いなんですけど(笑)。今回は今までとは違う不安を抱えていて。
――どんな違いですか?
新居 前のグループも含めて、今回の会場が今までで一番大きな規模の箱なんです。これまでは「埋められるでしょって思われているけど、埋められなかったらどうしよう」っていう、ガッカリされることへの不安だったんですけど、今回は「ギリギリまで、どうやったらファンの方を呼んでこれるか」っていうポジティブな不安。自己分析すると、これから立つのは大きすぎる箱なんですけど、不安だけどワクワクしている。そんな感じです。
●新居歩美(にい・あゆみ)
6月28日生まれ 香川県出身 身長148cm 血液型=O型
◯アイドルグループ「ドラマチックレコード」の赤色担当。
冠ラジオ番組『新居歩美の番台さんラジオ』(FM高松・毎週水曜23:00~)が放送中。
11月25日(火)、東京・Kanadebia Hallにてグループ3周年記念ワンマンライブ「ドラマチックシンデレラ」を開催予定。
公式X【@DMRC_ayumi】
公式Instagram【@ayuchi_nii】
公式TikTok【@niiayumi_dmrc】
取材・文/アオキユウ(short cut) 撮影/酒井貴弘
記事提供元:週プレNEWS
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